14/05/14●朝日がついに「緊デジ」批判記事を掲載。税金の無駄使いに終わった電子化事業 |
書籍の電子化を通じて東北復興を支援する「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)に対する批判は、業界内外をとおしてずっとくすぶってきた。新聞でこのことを真っ先に取り上げたのが河北新報だったが、5月14日の朝日もついにこの問題を取り上げた。 つまり、デジタル化した本に不適当な本(アダルト本など)があり、それがなんで東北支援なのかという批判だ。仙台市の出版関係団体がこれを問題化し、この22日にイベントを開くという。 もともと、緊デジは、書籍の電子化推進で国から10億円をもらい、電子化費用の半額を持つ。だから、本を提供してほしい。その電子化は東北の事業者が行う。それで、東北にお金が落ちるという、わけのわからない屁理屈スキームで始まった。ところが、電子化費用などに相場はなく、また、電子化をどうするか(ファイルフォーマットなど)という点もあいまいのうえ、東北にそれがきちんとできる事業者もいなかった。 だから、それがわかっている出版社は本を出さなかったが、それだと予算が消化できないということで、出版大手は仕方なく本を提供した。また、電子化費用を浮かせようとした中小は、これに便乗して本を出した。つまり、電子化点数は予算消化のための辻褄合わせに過ぎなかった。 これでは、どんな本が事業にふさわしいのかなどという点検などあるわけがないし、審査委員も現場に丸投げだった。 簡単に言えば、こんなおバカなスキームをつくって税金を使うなら、政府はそのまま復興支援に全額を回せばよかったのだ。 この緊デジと同じようなバカげた電子化事業が、同じく国が出資(産業革新機構が150億円出資)した出版デジタル機構だ。いまはビットウェイとして存在しているが、こちらもひと言で言えば税金の無駄使いになる可能性が高い。必要のない公共事業に税金をつぎ込むのと同じで、ゼネコンの税金食いパターンと変わらない。 ただ、これまであまり批判が出なかったのは、これが、メディアがからんでいる事業だからだ。メディアは自分自身を批判できない。 私も電子書籍ビジネスをやってきたので、大きな声で批判はできないが、反省を込めて言うと、業界は3年前の電子書籍ブームに浮かれ過ぎた。今後は、もっと冷静に電子書籍の普及がどうあるべきか考えていくべきだろう。 |