14/08/04●なぜ電子書籍が普及しないのかのもっとも妥当な見解 |
先日、インプレスから電子出版の市場規模が発表された。それによると、電子書籍936億円、電子雑誌77億円の1013億円で、調査開始以来、初めて1000億円突破となり、電子出版市場は順調に伸びているという。しかも18年には13年度の2.9倍、2790億円となるというから、本当に驚いた。 また、先日の東京国際ブックフェア(TIBF)で、立花隆氏が「小中学校、大学でデジタル教科書が導入されれば、電子書籍も一気に普及し、今度こそ本当に電子書籍時代が到来する」という主旨の講演をしたのには、もう本当に驚いた。
(出典)「電子書籍ビジネス2014 」
実際のところ、電子書籍化は進んでいるが、市場などできていないのだ。これからもできるとはとても言えない。現在、できているのは電子漫画市場だけである。この事実を、どうしてみなさん知らないのか?と思っていたら、ライターの鷹野凌氏が、自身のブログ「見て歩く者」で、本当にまっとうな答えを調査のうえに出してくれていたので、ここで紹介しておきたい。 鷹野氏は「2014年上半期ベストセラー(日販調べ)に見る「電子書籍」市場が離陸しない理由」として、ベストセラーがどの程度電子書店で売られているか調べた。その結果が、以下の数字(電子化率)である。
単行本フィクション:平均 2.0 単行本ノンフィクション他:平均 4.8 単行本実用:平均 2.0 単行本ビジネス:平均 6.4 新書フィクション:平均 1.0 新書ノンフィクション:平均 5.6 ゲーム攻略本:平均 1.6 文庫:平均 4.0 コミック:平均 9.6
つまり、ほぼ電子化されているのは漫画(コミック)だけなのである。それ以外は、まあ10冊のうち2、3冊といったところ。そこで、鷹野氏は次のように結論している。 《売ってなければ、買いたくても買えないです。特にフィクション系は、東野圭吾氏、村上春樹氏、百田尚樹氏、西尾維新氏、宮部みゆき氏あたりの人気作家作品が、まったく電子化されていない。逆にコミックは、ほぼ電子化されている。ビジネス書がそこそこ強いのも、ラインナップがあるからこそだというのがよく分かります。 もう1回言いますけど、売ってなければ、買いたくても買えないです。》 |