14/08/20●ドイツでも出版社と作家がアマゾンに抗議、電子書籍の価格問題は解決できるのか? |
アメリカでアシェットと係争中のアマゾンが、今度はドイツでも同様な問題で、出版社と作家の抗議を受けた。AFPが伝えるところによると、スウェーデンの出版社ボニエール(Bonnier)のドイツ法人とドイツ語作家1200人近くが、このほどアマゾンに対する抗議文に署名した。ドイツの出版団体は6月下旬、アマゾンが値引きを求めて出版社を「脅迫」しているとして、国内の価格競争監視当局に苦情の申し立てをしているが、この係争が今回さらに拡大した。 出版社と作家がここまでアマゾンに対して抗議をするのは、電子書籍の販売市場をほぼ独占するアマゾンに価格決定権を握られると、出版社は経営に、作家は生活に響くからだ。 しかし、この抗議は、消費者にとってはアマゾンの言い分のほうが有利だ。なぜなら、アマゾンは価格を少しでも引き下げようとしているからだ。 しかし、ここで不思議なことがある。それは、市場を独占される弊害は、価格をつり上げ、それによって消費者が損害を被るからである。しかし、アマゾンは値下げをしている。とうことは、これは「独占の弊害」ということには当たらない。また、アマゾンの独占的な地位は、あくまで流通であって、供給ではない。 ただし、それでもなおアマゾンがここまで強くなると、紙市場が縮小した場合、出版社と作家が困ることは確かだ。作家にとって、自分が苦労して書いた作品がコーラ1杯の値段より安いということは、やはり耐えられるものではない。 また、安売りばかりになると、出版を文化とするなら、文化の劣化が起るのも間違いない。とすると、最終的には消費者も損をする。というわけで、「アマゾンVS出版社、作家」の争いが今後どうなるかは、いまの状況のままでは、先行きが見えない。 |