15/04/18●電子書籍の価格で出版社が主導権を取り戻す(米HCが委託販売復帰を通告) |
アメリカでは電子書籍の価格が元のエージェンシー価格に戻り、出版社が価格設定権を取り戻すことになった。この4月15日、大手のハーパーコリンズ社(HC)が、小売側に通告した。その内容は「価格はすべて出版社の指定によるものとし値引は認めない」というもの。 2012年、出版大手5社の談合が問題化したとき、裁判所からの和解裁定によってエージェンシー価格は撤廃された。しかし、契約そのものは合法がとされたので、今回の通告はそれが実施されたということになる。すでに、昨年、アマゾンとアシェットは紛争の後に、「修正エージェンシー・モデル」というかたちでエージェンシー価格を復活させている。 こうなると、電子書籍は既存出版社のものは12〜13ドルが最低価格となり、アマゾン独自のKDPのようなセルフパブリッシング本は3ドルから10ドルというレンジになるはずだ。 日本では、まだアマゾンが価格決定権をある程度握っているが、いずれアメリカのようになるだろう。もちろん、値引き販売はなくならないが、今後は出版社主導で行われる。アマゾンによってセルフパブリッシング本が活況を呈したが、今後は「素人作家の廉価本」と「プロ作家による高価格本」に、電子書籍は2極化するだろう。 ただし、日本の電子書籍は漫画が主体だから、どうなるかはよくわからない。 |