15/07/08●日本の出版文化の凋落を象徴する「東京国際ブックフェア」の低調 |
7月1日〜4日の4日間、東京ビッグサイトで開催されていた東京国際ブックフェア(TIBF)だが、今年は見るべきものがまったくなかったという。私は、毎年出かけていたが、今年は海外に行っていたために行けず、帰国後、業界関係者から話を聞いた。それによると、もはや業界的に参加する意味がなくなったと誰もが言う。紙出版に関しての未来展望はゼロ、電子書籍もただダラダラと展示があっただけだと言うのだ。 ここ数年でブックフェアが注目されたのは、電子書籍元年と言われた2010年から2回ほど。「電子書籍が出版を救う、変える」というムードがあったときだけだ。その電子書籍は、いま1300億円市場になったとはいえ、その8割は漫画で、売上の6割はアマゾン。世界とは隔絶した市場となり、日本発のデバイスは消滅し、日本発のサービスも国内の一部の層にしか受け入れられていない。 さらに、紙出版の版権取引などはまったく進んでいない。欧米の出版関係者はほとんどやって来なくなった。つまり、世界の主要ブックフェアの一つとしてのTIBFはもう終わったと言っていいかもしれない。 日本のコンテンツを海外発信する場としてなら同時期にパリで行われている「ジャパンエキスポ」のほうがはるかに賑やかだし、アジアのブックフェアとしては北京のほうが盛況だ。 こんなことになってしまって本当に残念だが、主催者側もそれをわかっていて、毎年7月第1週目に行われてきたTIBFは、来年からは9月のシルバーウィークに移行することになった。つまり、単なる本が好きな人のための「読者イベント」になってしまう可能性が高い。 |