[247]マイナス金利1カ月、黒田・日銀総裁の「仕手買い」次第になってきた日本経済と株価 |
2016年 3月 12日(土曜日) 00:56 |
マイナス金利が導入されてから約1カ月が経過した。このマイナス金利導入が「黒田バズーカ第3弾」とすれば、今度もまた不発に終わる可能性が濃厚になった。ともかくデフレを脱して「2%の物価上昇」というインフレを達成するのがバズーカ砲の目標だが、いまだにそうなる気配はない。そのうえ、日本経済は不況入りしている。企業の景況感も悪化しているし、先ごろ内閣府が発表した2015年10−12月期のGDP2次速報値も、1次速報値から上方修正となったものの、前期比はマイナス0.3%(1次速報値マイナス0.4%)、年率換算ではマイナス1.1%(同マイナス1.4%)だ。株価も低迷して1万6000円台に落ちている。
はたして、今後どうなっていくのか? エコノミストや評論家の予想は、もとより当たるわけはないが、かなり混乱している。そんななか、一つだけはっきりしていることがあるので、それを書きとめておきたい。それは、「黒田東彦・日銀丸」の緩和政策は今後もずっと続いていくこと。追加緩和もあること。そして、その先にあるのは、株価なら「仕手崩れ」か「総踏み上げ」のどちらかということだろう。
なぜ、そうなるのか?というと、私の信頼する人物がそのように見立てているからだ。彼は、黒田さんのパーソナリティは仕手そのもの」と言う。つまり、1度買うと決めたら玉がなくなるまで買い続ける。要するにゲームから降りない、「強気な勝負師」と言うのだ。 そこでまず、黒田東彦・日銀総裁の略歴を見ると、以下のようになっている。 [1944年生まれ。教育大駒場、東大法学部卒、1967年財務省(大蔵省)入省。オックフォード留学、主に主税局畑を歩んだ後、国際金融局をへて財務官。2003年、退官後は一橋大学大学院教授。2005年、アジア開発銀行総裁。2013年3月20日、日銀総裁に就任] これだけ見ると、完全な官僚エリートで、経済学の学位を持つ学者肌な面もある人物となるが、以下の発言を見るとそうではない。 次は、黒田総裁の主な発言を時系列で拾ったものだ。
■2013年4月1日、バズーカ第1弾(異次元緩和):「日銀が供給するマネタリーベースを2年間で2倍にする」「2年を念頭に置いて大胆な金融緩和を進めていく」「2%の物価目標の実現に、出来ることはなんでもやっていく」「現時点では必要にして十分な対策をとった」「日銀の国債保有はあくまで自主的に金融政策を進めるため」「今回の金融緩和は量・質ともにこれまでとまったく次元が違う」 ■2014年10月31日、バズーカ第2弾(追加緩和):「マネタリーベースが、年間約80兆円(約10~20兆円追加)に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」「長期国債について、保有残高が年間約80兆円(約30兆円追加)に相当するペースで増加するよう買入れを行う」「必要があれば金融政策をちゅうちょなく調整する」「戦力の逐次投入には当たらない」 ■2015年10月7日、金融政策会合後の記者会見:「物価2%の達成時期は2016年度前半、原油価格の動向によって前後」「2%の目標を早期に達成する方針に変わりはない」「物価の基調は着実に高まっている」 ■2016年1月29日、バズーカ第3弾(マイナス金利導入):(1月21日、参院予算委員会の場で、「マイナス金利は考えていない」と表明したにもかかわらず、わずか8日後にマイナス金利導入を発表) 「新興・資源国経済の先行き不透明感から市場は不安定な動きになり、企業心理や人々のデフレ心理の改善が遅れ物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している。リスクを未然に防ぎ2%の物価上昇に向けた勢いを維持するため、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入する」「物価上昇目標を達成するためになんでもする」「金融政策の限界はない」 ■2016年3月7日、都内で講演:「(マイナス金利は)株高、円安の方向に力を持っているはずだ」「(追加緩和の可能性は)他の条件を一定とすれば、資産価格にはポジティブな影響を与える」
本当に強気な発言を繰り返している。しかも、その言い方には官僚特有の回りくどさはなく、そのものずばりだ。黒田氏の性格はザックバランで、その人柄から省内では「クロトン」の愛称で呼ばれてきたという。こうした性格の由来は、一説によると、戦国大名として名をはせた黒田官兵衛(如水)から来たという話もある。というのは、黒田氏は福岡藩の領内に近い大牟田市の出身で、ルーツは黒田家にあると言うのだ。
現在、日本株は外国勢のファンドが売りに転じているなか、親子クジラが買い支えている。GPIFなどの政府資金と日銀のETF買いである。これはまるで、仕手合戦である。だから、個人はどちらにつくかで迷いに迷っているようだ。 前述の人物によると、「仕手は買い占めれば価格は上がると信じている。買わないと夜も眠れないほどに落ち着かなくなる」と言う。 「現状を見ていると、消費者物価2%アップの達成より、株価が上がること自体が目的となっているように思う。そうなると、仕手崩れになるか総踏み上げになるか二つに一つだろう。 仕手崩れは米国株価大暴落や日銀が物理的、政治的に買えなくなったときに起こる。片や、総踏み上げは大量に売り込んだファンドが買い戻しをさせられると売り向かう者がいないから起こる」
円安による見せかけの企業業績の好転にのっかり、親子クジラによるPKO(価格維持操作)と企業の自社株買いで上げてきた日本株。このまま行くと、一気に日銀という仕手筋の仕手崩れ相場になるかもしれない。親子クジラに打つ玉がなくなったら、そうなる可能性がある。 |
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