16/04/30●報道の自由度で日本は世界72位に転落。しかし、大手メディアにはほぼ無関心。政権のメディア懐柔は進む |
パリに本部を置く国際NGO「国境なき記者団」は4月20日、2016年版の「報道の自由度ランキング」を発表した。日本は、対象180カ国・地域のうち、なんと72位に転落した。これは、アジアのなかでも、台湾、モンゴル、香港、韓国より下という最悪のランクである。日本は06年版(05年現在の評価)では51位、それが10年版(09年)では11位に急上昇し、12年版(10~11年)でも22位だったが、13年版以後は、53位、59位、61位、72位と急降下。この急降下は、安倍政権と重なっている(次のグラフ参照、出典:朝日新聞)。
発表に先立つ4月19日に、調査担当の国連の特別報告者・デビッド・ケイ氏(David Kaye:UCアーバイン教授)がFCCJ(日本外国特派員協会)で記者会見をし、「日本の報道の独立性は重大な脅威に直面している」と訴えた。しかし、これを大きく報道した大手メディアはない。 ケイ氏は、当初、昨年12月に来日する予定だったが、日本政府の要請で直前に延期になり、今回の訪日でも放送局の電波停止に言及した高市総務大臣との面会を何度も求めたが、国会会期中との理由から断られたという。 FCCJでのケイ氏の会見 安倍政権と自民党はメディア懐柔に長けていて、日本の大手メディアはその懐柔策に自ら乗っているとしか、外国メディアには見えていない。これほど、経済政策(アベノミクス)に失敗しているのに、批判されない政権も珍しい。 このメディア懐柔をサポートしているのが、ネトウヨなどのメディア攻撃だ。彼らは少しでも日本批判を展開すると、いっせいに「反日記者」「クズ」「豚野郎」「国に帰れ」などとツイッターなどで攻撃してくるので、外国人記者たちは困っている。 このままでは、日本の情報空間からますます自由度が失われるだろう。 |