[263]トランプ惨敗で「ナスティウーマン」が大統領に。日本は徹底した属国路線を! |
2016年 11月 02日(水曜日) 10:20 |
「ワシントンポスト」紙とABCテレビの世論調査で、トランプの支持率がヒラリーを1ポイントリードしたと、メディアが騒いでいる。しかし、トランプの惨敗は必至だ。「USA TODAY」の「ELECTIONS OUTLOOK」を見ると、ヒラリー263人、トランプ180人とダブルスコアになっている。Tossupは95人だから、これを全部落とせば、アメリカ大統領選挙史上、記録的な大敗を喫するだろう。 スイングステート(激戦州)が勝負だなどと言われているが、選挙人が多いフロリダ、オハイオ、バージニアなどは、ことごとく落とすはずだ。とすると、取るのは10州ほど、選挙人は150人程度ではないだろうか?
だいたい、世論調査(ポール)は信用できない。これは支持率であって、実際の投票行為にはあまり影響しない。ポールはあくまで誰を支持するかの回答で、その通りに投票に行くかどうかとは関係がない。そもそも有権者登録しなければ投票に行けない。また、有権者登録した人間のうちの10人に6人しか大統領選には投票しないというデータもある。 見ていると、もうトランプ自身も負けを確信しているようだ。10月21日のペンシルベニアでのキャンペーンでは、自分の当選を「世界にショックを与えるだろう。ブレグジット以上(の驚き)になるはずだ」とぶち上げた。要するに、ブレグジットのような逆転劇がなければ勝てないということだ。
はっきり言って“毒舌大旋風”を巻き起こしたときは、トランプ大統領も「あるかもしれない」と思えた。しかし、1年間も同じ毒舌を繰り返していたら、誰だって飽きる。中身がないからだ。 当初、トランプは毒舌を計算してやっている。大統領候補の指名を得るための「戦術」で、ウケ狙いであんな発言を繰り返しているのではと思った。ところが違った。 トランプは、単なる教養ゼロの差別丸出しの金持ち“クイーンズおやじ”に過ぎなかった。これでは、UペンのウォートンMBAが泣く。 トランプ支持層のほとんどが低学歴、低所得の白人ブルーカラーであると、すでにはっきり分析されている。 しかし、そういう層は選挙に行かない。トランプと同じクイーンズで育った白人ブルーカラーが、地下鉄Fラインでマンハッタンに行き、金ピカのトランプタワーを見てどう思うか考えてみればいい。
信じがたいが、11月8日は火曜日だ。この火曜日投票は法律で決まっている。車も飛行機もない昔、投票に何日もかかったときにできた制度をそのまま使っている。火曜日なんかに投票に行ける、一般ピープルがどれほどいるだろうか? とくに、時給で働いている低所得者層は仕事があって行けっこない。 2014年の中間選挙では、低所得者層の80%は投票しなかった。また、オバマ大統領が再選された2012年の大統領選挙でも、実際に投票した有権者の割合は、年収2万ドル以下が48%、7万5000ドル以上が78%となっている。
では、最初に述べた「USA TODAY」の「ELECTIONS OUTLOOK」に戻るが、ヒラリーの263人は、過去6回の大統領選ですべて民主党が勝った19州に基づいている。この19州の選挙人を全部足すと242人になる。過去6回、共和党が全部勝ったのは13州で選挙人は102人。この時点でダブルスコア以上である。 というわけで、今回、結果がこの通りに出れば、スイングステートのほぼすべてでトランプは勝たなければならない。不可能だろう。 激戦州はメディアによると、13州ある。このうちネバダ、ジョージア、アリゾナなどは、所得の増加が全米平均を下回っているのでトランプは有利だという。しかし、選挙人数は少ない。
こうして、中間層も低所得者層も本当は支持していない「ナスティウーマン」が、アメリカ初の女性大統領になる。しかし、このヒラリーは日本にとっては、かなり手強い。夫のクリントン時代、どれだけ日本企業が痛めつけられたか思い出して欲しい。 ただ、対中強硬派で、習近平が唱えた「G2」論を一蹴している点は、日本にとっては希望だ。とはいえ、アメリカ第一主義、エリート主義、white supremacyの塊だから、日本は徹底して属国路線でついていくしかない。 と思うと、安倍首相は来年早々に渡米して、ヒラリー大統領に恭順の意を示すほかないだろう。 |
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