16/12/01●出版不況が続くなか大手書店のみが増益を記録 |
帝国データバンクの調査レポートによると、出版関連企業(2528社)の2015年度総売上高は約4兆8867億円。前年度からマイナス3.6%、金額にして1805億円の減少で、出版不況は続いている。 ただし、その内訳は、出版社はマイナス5.8%(1兆8927億円)、出版取次はマイナス7.2%(1兆6354億円)だが、書店を運営する企業4.8%のプラス(1兆3585億円)に転じている。 この売上を牽引しているのが、大手書店チェーン。売上規模が100億円未満の企業は前年度比でマイナスなのに対し、100億~500億円の企業(19社)はプラス1.8%プラス、500億円以上の企業(5社)はプラス23.4%と、規模の大きい企業ほど増収となっている。 たとえば、11月28日に発表された紀伊国屋書店の第122期(平成27.9.1~平成28.8.31)決算は6期連続の増益を記録した。売上高は1059億6048万円(前期比2.5%減)、営業利益は6億5459万円(同10.5%減)とマイナスだが、経常利益は14億3063万円(同17.0%増)、当期純利益7億6981万円(同2.6%増)とプラスを計上している。
帝国データバンクは「大規模な書店経営業者は一定の収益を見込める堅調な本業部門を持つだけでなく、書店へのカフェ併設や電子書籍とリアル書籍の連携、中古本や書籍以外の物品の扱いやポイントカードサービス、インターネットサービスなど、さまざまな試みが全体的な底上げにつながっているものとみられる」としている。要するに、大手は書籍から離れ多角経営化と大規模化によって収益を確保するようになっているということだ。 |