[267]カジノ法案、オスプレイ事故、あまりにひどい「偏向報道」 |
2016年 12月 15日(木曜日) 17:33 |
アメリカでもMSM(メインストリーム・メディア)の偏向報道に対する不信感が高まっているが、日本の場合は偏向報道に加えて、明らかな情報操作(スピン)が行われている。「カジノ法案」「オスプレイ事故」報道は、その典型だ。
■信じがたい新聞各紙の「カジノ反対」社説
まず、「カジノ法案」の報道だが、新聞各紙がなぜみな反対して、いい子ぶっているのか本当にわからない。まるで、この法案が通れば、明日にもカジノができ、国民がギャンブル漬けになって、ひどい目にあうような印象操作が平然と行われている。以下は、主要3紙の社説のタイトル。 【読売】カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか 【朝日】カジノ法案 危うい賭博への暴走 【日経】拙速なカジノ解禁は問題多い このうちとくに、「朝日」はひどい。「刑法が禁じる賭博に、民間業者が営むカジノという新たな例外を認めようとする法案だ。国内外の反社会的勢力に利用されないか。治安が悪化しないか。国民の懸念は根強い。」 新聞記者はけっこうギャンブル好きだ。競馬も麻雀もパチンコもやる。それなのに、よくもまあ、こんな社説が書けるものだと思う。
■ギャンブル依存症を言うならパチンコは?
はっきり言って「カジノ法案」と言っても、本当は「IR法案」であり、さらにプロセス法案であって設置法ではない。つまり、この法案が通ったからといって、すぐにカジノができるわけでないし、1年後に設置法ができたとしても、本当にできるとしたら5、6年後だ。 しかも、いまさら、海外のカジノビジネスが、マカオでもシンガポールでも売り上げを落としているカジノを日本につくるだろうか? 日本は、どこの町にもカジノ(パチンコというスロット)がある国だ。 それはそうと、メディアが問題視しているのが、ギャンブル依存症だ。テレビのワイドショーはわざわざ韓国の江原(カンウォン)まで行って、「韓国ではカジノ解禁により依存症患者が増えて社会問題化しました」などと大嘘のレポートをしている。確かに、カジノ依存症患者は増えたが、それは韓国が2006年にパチンコを禁止したためだ。 韓国のパチンコは「メダルチギ」(釘なしパチンコ)といって、最盛期には全国に2万店あり、依存症患者を大量生産していた。ところがワイドショーは、このことを一切無視して、「韓国のようになる」と言いたいのだろが、それを言うなら、日本でのパチンコを禁止するというのが正論だ。カジノではない。 しかし、日本のテレビなどのメディアはパチンコ産業の広告漬けだから、カジノとパチンコを同一に論じられない。パチンコの存在を隠して、完全な情報操作を行っている。
■かつて推進派だったのに猛反対という茶番
カジノ法案の成立を阻止するために、民進党は不信任案まで出した。この民進党を、批判しないのも、メディアとしてはおかしい。なぜなら、彼らは一時カジノ促進派だったからだ。
「なにが成長戦略だ。人の金、負けた金が利益になるようなカジノが本当にこの国の経済の柱になるのか」(蓮舫代表)「日本をギャンブル大国にでもしたいのか。カジノ法案を強行採決するのは、まさに数のおごりだ」(安住淳代表代行)などと、彼らはいまさら、なにを言っているのか? 民主党政権時、カジノ検討ワーキングチームが超党派で組織され、カジノ法案は正式承認されている。前原誠司氏などはカジノ推進議連の中心メンバーだった。
ようするに、彼らは、カジノのことなど本気で考えたことはなく、出来ようと出来まいとどうでもいいのだ。ただ、反対すれば野党らしいと思っているだけだ。とくに、国民が依存症になるなどいうのは、国民の自由を無視し、愚民扱いしている点で、鼻持ちならない考え方だ。 日本の問題点は、刑法で賭博を禁じているのに、事実上はギャンブル大国だということ。しかも、国が胴元だということ。さらに、パチンコのように賭博場が住民の生活圏の中に溶け込んでいることだ。
■カジノ法案の背景にある人間関係
ところで、カジノ法案成立が急がれたことには「裏」があるという。陰謀説と言うほどではないが、確かに、いろいろなことがつながっている。 そのラインを手短に書くと、
ソフトバンクの孫正義社長→サンズ会長シェルドン・アデルソン氏→ドナルド・トランプ次期大統領→ネタニヤフ・イスラエル首相→安倍晋三首相 となる。
孫正義氏は12月6日にNYのトランプタワーを訪ね、トランプ次期大統領と会談した。これを仲介したのを彼は「共通の知人」と言ったが、それはおそらくアデルソン氏だ。アデルソン氏はトランプ氏の選挙の最大の資金提供者で、ネタニヤフ首相の親友だ。 安倍首相は昨年1月イスラエルを訪問し、イスラエル主導の中東和平に賛同している。安倍首相は2014年10月に辞任したとはいえ、それまでカジノ議連の最高顧問を務めてきた。 ソフトバンクは、1995年、店頭上場時にコムデックスを8.6億ドルで買収している。このコムデックスの持ち主がアデルソン氏だった。アデルソン氏はその資金を元手に、ラスベガスでサンズを会社ごと格安で買い、1999年にベネチアン・ホテルとして開業してカジノ業界に進出。その後、マカオ、シンガポールとカジノビジネスを拡大してきた。 アデルソン氏は2014年3月に来日した際、「私は日本のカジノビジネスに100億ドルを用意している」と豪語していた。
■大口顧客も小口顧客も減っているという現実
以上をつなげると、カジノが今後解禁され、日本でカジノができるとしたら、サンズになるだろうとする見方が鉄板となる。 しかし、前記したように、もう世界のカジノビジネスは衰退している。すでに、フィリピンのマニラにも巨大カジノができて、チャイニーズのハイローラーはアジア各地に散ってしまった。しかも、習近平の贅沢禁止令で派手なマネロンもできなくなくなった。 また、いまのカジノは、監視カメラ、IT機器が張り巡らされている。テーブルが「i-table」なら、カードによる自動決済ができる。もはや、マネロンができるような怪しいところではないのだ。 では、小口の一般ギャンブラーはどうかといえば、こっちも、もうおカネを落とさない。いま、ラスベガスに行くと、1階のフロアにあるのは、スロットの1セントマシンばかりだ。昔は、スロットの25セントマシンがずらっと並んでいて、人がいっぱいだった。 こんな状況で、本当に日本でカジノをつくる事業体があるだろうか? サンズを筆頭にMGMなどのラスベガス資本、メルコ・クラウンなどが本当にやってくるだろうか?
■日本的なカジノでなければ成功しない
悪いが、カジノにハマる客は減っている。とくに、いまの若者は、スマホゲームばかりやっていて、カジノにはあまり興味がない。とすると、日本でも韓国と同じようにパチンコを禁止しないと、カジノはビジネスにならないだろう。 また、カジノによって賭博を合法化するなら、賭け麻雀、賭け花札などもOKにしなければおかしい。そうして、そうした日本的ギャンブルを日本のカジノに取り入れれば、日本人を中心に集客は可能になるかもしれない。また、外国人客も、世界のほかのカジノと違うので、興味を示すかもしれない。 いずれにせよ、カジノ法案の報道には、このような視点はゼロだ。大メディアはカッコだけつけて、あたかも自分たちの主張が正義のように報道している。 まったくもって、見ていられない。
■本当に「沖縄県民の怒りは頂点」なのか?
続いて、オスプレイ事故についてだが、これは「ヤフー個人」欄に先に書いたので、以下、それをほぼ再録する。 まず、言いたいのは、今回のオスプレイの墜落は、単なる事故で、それ以上のものではないということ。ただ、死者がでなかった点、海上に墜落した点で「不幸中」の幸いだった。 米軍機は最近では、9月に沖縄本島の沖合でAV8攻撃機ハリアーが墜落、12月初めに高知県・室戸岬沖約100キロの海上でFA18ホーネット戦闘攻撃機が墜落している。前者ではパイロットは助かり、後者では死亡しているが、この二つの事故に関しては、メディアはただ事実関係を報道しただけだった。 ところが、今回は違う。オスプレイをまるで「悪魔のヘリコプター」扱いして、「それみたことか」式に報道した。この点を強調して、社説にまで仕立て上げた新聞もあった。つまり、メディアはこの事故を起こるべくして起こった事故だと言いたいのだ。そして「市街地に落ちていたらどうするんだ」とし、「沖縄県民の怒りは頂点」などと、続報を自ら膨らませていった。 テレビは住民にインタビューし「怖いです。なんとかして欲しい」などいう声を垂れ流した。こんなふうに思っている住民など一部しかいないのに、あたかも沖縄住民はみなそう思っているように報道するのだから、偏向もはなはだしい。
■信じがたい副知事の「植民地」発言
このような偏向報道があるから、沖縄県の安慶田光男副知事は“調子にのって”、ローレンス・ニコルソン中将(沖縄米軍のトップ)に直接抗議に出向き、その後、「謝罪はまったくなかった。本当に植民地意識丸出しだなと感じた」という恥知らずな会見をしてしまった。 さらに、翁長雄志知事は、必要もないのに上京して、政府に抗議、普天間基地に配備されているオスプレイを撤去させると息巻いた。 軍用機だろうと民間機だろうと、事故が起きたときは、まず乗員の安否の報道が優先だ。次に、事故原因だ。しかし今回、日本のメディアはそんなことは二の次で、恣意的な報道に終始した。
■ニコルソン中将の話を恣意的にしか伝えず
米軍の発表によると、事故を起こしたオスプレイは、空中給油の訓練中に、燃料を送るホースが切れて羽根に当たったために、飛行に障害をきたした。そのため、パイロットは住宅地の上空を通って嘉手納基地や普天間飛行場に戻るルートを避け、キャンプシュワブのある名護市に向かったという。 したがって、メディアはニコルソン中将のインタビューをもっと詳しく伝えるべきだろう。しかも、オスプレイは日本防衛のための訓練を行っていたのだ。 ところが、メディアは「住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」「(事故を)政治問題にするのか」というところばかり切り取って、ニコルソン中将の発言を伝えた。 ニコルソン中将はこのように言っていた。 「よく訓練されたパイロットたちの素晴らしい判断と技能で最悪の事態を避けることができました」「沖縄の一般市民をいっさい危険にさらさないですみました」「若いパイロットたちは入院中です。私は彼らを誇りに思っています」「事故自体そのものは遺憾に思うし謝意を表明します」「航空自衛隊、海上保安庁をはじめ日本や沖縄の関係各所の迅速な対応にも感謝します」「日本を守るために多くの兵士が訓練しています。任務の内容について謝ることはありません」(Yahooニュース、コメント欄から) 正確には、このサイトですべてがわかる。 http://tkatsumi06j.tumblr.com/post/154513044606/動画付き会見書き起こし全文対訳 「この事故については、当然ながら遺憾に感じております。しかし、わが若きパイロットが行った素晴らしい働きと、沖縄の人々に類が及ばないようにと行った判断については、遺憾に思っておりません。」「(パイロットは)両名とも到着時には意識があり、両名とも話すことができました。1名は明日、骨折を抱えながら〔肩を指しながら〕退院できると思いますが、もう1名のほうは若干深刻でもう少し入院を続けるでしょう。」 この司令官は、軍人として立派である。
■オスプレイの事故はそれほど多くない
このような偏向にさらに輪をかけているのが、日本のメディアがオスプレイの利点をまったく伝えないことだ。 日本のメディアによると、オスプレイは事故多発の危険なヘリだという。しかし、本当にそうなら、自国の若者を死なせてしまうのだから、なぜアメリカ軍自体が使用を止めないのか? じつは、オスプレイの事故はそれほど多くない。産経新聞記事によると、海兵隊の平均事故率は2.45となっていて、オスプレイの事故率は1.93と平均を下回っているという(記事のこの部分ははなぜか削除された)。それとは別に、ヘリコプターというのは結構事故が多いが、どちらかというと軍用機より民間機のほうが多い。 そもそもオスプレイは、通常飛行をするために開発されたものではなく、主に特殊作戦で使用するのを目的とするために開発された。そのため、夜間や低空など過酷な条件での飛行が多い。だから、訓練を徹底して行っている。今回も、そんななかで起きた。要するに、オスプレイは一般の飛行機のように、安全な条件下での飛行を目的としていない。
■入院しているパイロットを見舞いに行け
この点で言うと、これまでオスプレイは大活躍してきた。たとえばフィリピンが巨大台風の災害を受けたとき、ネパールで大地震が起こったとき、オスプレイは被災現場に大量の物資を運んだ。つまり、日本のように台風や地震などの自然災害が多い国には、オスプレイは必要なヘリなのである。実際、熊本地震の際は、オスプレイが大活躍した。 しかし、こうしたことを、日本のメディアはいっさい報道しない。 翁長知事と安慶副知事は、行くべき場所を間違えている。まず行くべきなのは、オスプレイのパイロットたちが入院している病院である。そうして、彼らに、日本国民と沖縄県民の謝意を伝えるべきだろう。
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