メディアの未来[014]アップル「タブレット」は出版界を救えるか? |
アマゾンの「キンドル」に変わる新しい書籍リーダーとして注目されているのが、来年にも発売されるとされるアップルの「マルチスクリーン・タブレット」機だ。これは、キンドルのような書籍リーダー専用機ではなく、簡単に言うと「iPhone」「iPod」を発展させたコンテンツの受信•保存媒体である。
Appleは10月15日、『App Store』ポリシーについて改正を行ない、無料の『iPhone』アプリケーション内でもコンテンツを販売できるようにした。これは小さな動きだが、じつは重要な改正だ。 というのは、将来、本当にアップルがタブレットを発売すれば、出版業界などのコンテンツ販売業界は、これまで以上の利益を生み出せる可能性があるまからだ。
すでに、アメリカでは「無料雑誌アプリケーションとそれに続く有料コンテンツ」のようなビジネスが考えられている。まずサンプルとして、画像付きのテキスト記事だけを表示し、アプリ内で料金を支払うと、音楽や動画付きの本体コンテンツが買えるというようなスタイルである。 これは、以前から言われてきた「フリーミアム」[free(無料)とpremium(割増金)の合成語]で、基本サービスは無料、完全なサービスは有料というビジネスモデルである。
いずれにしても、将来の書籍や雑誌は、マルチコンテンツ化したデジタル製品にならざるを得ないから、アップル・タブレットができれば、一気に開発が進むと考えられる。
アマゾンのキンドルは、単なる書籍リーダーの発展商品で、対応は旧来の活字メディアだけである。これに対してアップル・タブレットはマルチメディア対応である。それだけで、雑誌的であるから、キンドルは一気に過去のものとなる可能性がある。
ただ、日本はどうだろうか? いまの出版業界の動きを見ると、まだ、そんなことまで想定していないと思える。なにしろ、電子ブックをつくることすら自社内でできない出版社が多いだけに、マルチメディア対応となれば、多くの企業、技術者の協力を得なければならない。そうすると、コンテンツからあがる収益は、みな外に持っていかれてしまうだけだ。
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