[316]中国経済のメルトダウンとトランプ弾劾 |
2019年 1月 27日(日曜日) 02:33 |
テレビで、大坂なおみの全豪オープン優勝を見ていて、思わず涙が出てしまった。こんなことはめったにない。日本は真冬に突入したというのに、メルボルンは40度を超える夏真っ盛りだ。いつも気になるのは娘が住むNYだが、NYはこの21日、華氏4度(マイナス15.5度)と今年いちばんの寒さを記録した。
そんななか、厳冬期に入ったと言えるのが中国経済だ。 どうやら、中国は本当におかしくなり、経済的なメルトダウンが始まったと見て間違いないだろう。北京(中学国家統計局)の21日発表によると、2018年のGDPは前年比6.6%となり、2年ぶりに前年実績6.8%増を下回った。ただ、去年後半の自動車販売、スマホ販売、輸出入額などを見ると、いずれも急降下しているので、この数字はあやしい。もともと北京が発表する数字はあやしいので、下手をすると成長は止まったのではないかと思う。
それで、昨年から寄稿をはじめたウエブメディア『Soysauce Magazine』に、このことについて書いたら、かなりのアクセスが集まり、人気記事ランキング2位になった。やはり、中国経済については関心が高いようだ。
→「さよなら、チャイナ」。中国経済衰退で迎える恐ろしい結末 https://soysauce-mg.com/2019/01/23/china/
はっきり言って、中国経済はすでにピークアウトし、このまま国力を落としていくのは間違いない。まだ、日本人にその認識は薄いが、昨年から始まった「米中新冷戦」は、歴史の大転換であり、中国が明確に敗戦するまで続く。
アメリカは、トランプ政権になってから急に「中国叩き」を始めたわけではない。アメリカの政治家のほとんどはドラゴンスレイヤーだから、中国叩きは共和党も民主党も一致している国策だ。 なにしろ、トランプと鋭く対立している民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、筋金入りの中国嫌いだ。ブッシュ政権時代には、「北京オリンピックをボイコットせよ」と主張している。 中国を徹底的に叩く。そして、2度とアメリカの世界覇権に挑戦できなくなくする。そういうアメリカの国家意思は固い。これを見誤ると、日本は大きなトバッチリを受けるだろう。
安倍首相は、昨年10月の訪中で、中国との友好を深めることで合意し、「一帯一路」に協力することを表明した。これは、ロシア外交と同じで、とんでもない時代錯誤、デタラメな「地球俯瞰外交」である。さらに、経団連の中西宏明会長は「一帯一路」について、「中国は日本に協力を求めている。日本に大きなチャンスが来ている」と発言したというから、信じがたい。この先が本当に思いやられる。
ただ、日本にとって、米中新冷戦は長引くほうがいい。 現在、貿易交渉では休戦中だが、期限切れの3月以降、さらに激しくなるのが望ましい。長引けば長引くほど、経済の脱中国化を加速できるし、「中国の次は日本だ」と考えているに違いないトランプの圧力をのらりくらりと交わせるからだ。
最近の報道によると、米中交渉は、かなり難航している。 習近平は、メンツにかけても譲歩する気はないようだ。譲歩すれば、北京政権が崩壊しかねないからだろう。 ロス米商務長官はCNBCのインタビューで、「米中は解決から何マイルも離れている」と言っている。 トランプは株価を上げたいのか、「中国とは話し合いが進んでいる」というようなノー天気発言をしているが、アメリカの中枢部はもはやトランプを相手にしていないようだ。
なにしろ、たかが「国境の壁」のために国家機関を麻痺させ、さらに「非常事態」を宣言する可能性も示唆したのだから、さすがの共和党幹部も呆れる。トランプはなにがなんでも壁をつくろうとしたが、25日、ついに折れて、つなぎ予算に署名した。トランプもこのままでは、やばいと思ったのだろう。
しかし、もう手遅れかもしれない。去年までは「弾劾」はほとんど無理と思われてきたが、ここにきてありえるかもしれないという動きが出ている。 『BuzzFeed』が、トランプの弁護士マイケル・コーエンが捜査当局に対し、2017年に上下両院の情報特別委員会に対しモスクワでのトランプタワー建設計画について偽証するようトランプから直接指示されたと供述したというスクープを報道したからだ。トランプ大統領は「刑期を減らすためにウソをついている!」とツイッターで反論したが、どう見ても形勢不利だ。
すでに、トランプ反対運動は全米でヒートアップしている。ヘッジファンドの「Farallon Capital」の創業者トム・スタイヤーは、1月9日、トランプを追放するキャンペーン「Need To Impeach」(弾劾が必要だ)に追加で4000万ドルを寄付すると宣言している。さらに20日には、トランプに対する抗議デモ「女性大行進」が、全米で行われた。ワシントンには6万人が集まったという。 はたして、どうなるのだろうか? ただトランプがいなくなったとしても、副大統領のペンスが大統領になるので、アメリカの中国叩きは変わらない。今年は、中国がどのように衰退していくのかを見極める年になるだろう。
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