[004]100年に1度の危機はルールメーカーになれるチャンス! |
2009年2月5日
文庫化は、通常なら親本の出版から少なくとも3年を経ないとできない。また、親本が市場にあった場合は、さらに期間をおくのが常識だ。しかし、今回は、異例の早さで文庫化された。 その経緯は、この文庫版の「あとがき」に、著者の高杉良氏が書いているので、ここでは省くが、異例のスピードで文庫化された理由は、ただ1つ。このタイミングがベストだからだ。 文庫版の「あとがき」と「まえがき」で、高杉氏が主張されているのは、小泉・竹中コンビによる改革が今日の日本の惨状をもたらしたということ。つまり、タイトルにあるように、アメリカ流の行き過ぎた市場原理主義は、日本ばかりか、世界を破壊してしまったのである。このことに、いま、異論を唱える人はいないだろう。 つまり、今回の文庫化の最大の理由は、ここにある。要するに、改めて私たちは、あの小泉改革の5年間をふり返らなければならない。いまこそ、それをすべきときなのだ。そして、そのためには、この本は最適の本だと思う。 小泉・竹中コンビを「亡国コンビ」と言ったのは高杉氏だけ 昨年秋のリーマンショックから、世界は大きく変った。アメリカ発の金融危機が世界中を巻き込み、いまや日本経済も底なしの泥沼に沈んでいる。トヨタをはじめとする日本の有力企業の惨状を見れば、ここにいたる道筋で、なにかが間違っていたと言うしかない。 では、なにが間違っていたのか? それは、アメリカの市場原理主義、新自由主義に、わが国の経済システムを合わせすぎたことである。つまり、それを「改革」と称した首相と改革の旗を振った経済学者の罪は、ことのほか大きい。実際、アメリカのコピーをやり続けたイギリスは、もはや日本以上に救い難い状況に陥っている。 しかし、小泉・竹中改革に、異を唱えたメディア、評論家、エコノミストは、どれほどいただろうか? あの郵政民営化の熱狂のときをふり返れば、皆無だったのではなかろうか? そんななか、高杉氏は著名な作家のなかで、ただ1人、「2人は亡国コンビ」だとして、論文を月刊誌などに発表してきた。 だから、私としても、お願いしてペーパーバックスから『亡国から再生へ』を出させてもらった。 手前味噌になるが、このペーパーバックスでは、一貫して日本の構造改革路線を批判する本を出し続けてきた。最初は、ベンジャミン・フルフォードの『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』だったが、その後も、『2008年IMF占領』(森木亮)『国家破産以後の世界』(藤井厳喜)『小泉純一郎と日本の病理』(藤原肇)などを出し、郵政民営化総選挙後は、破れた小林興起氏による『主権在米経済』を出した。 こうした編集部のスタンスを、アメリカ嫌いの「反米愛国右翼」と勘違いされたこともあるが、それは違う。私としては、グローバル化を前提とした多文化主義(マルチカルチャラリズム)に軸足を置くことにしていたので、なかなか理解されなかった。
個人的なことを言えば、私は、娘をアメリカンスクールに通わせ、アメリカの教育と文化で育てたから、アメリカが好きである。私の親戚もアメリカンスクールを出てアメリカの大学で博士号を取っているから、アメリカには知り合いも多いし、娘の恩師もいる。ただし、それと、私たちがすべき仕事とは違う。
いまも思うが、小泉・竹中コンビは、common goodなどには興味はなく、ただ、徹底的にアメリカの言う通りのことをしただけだ。なにも考えず、市場原理主義で儲ける金融資本と結びついたブッシュ政権の言うとおりのことをやったにすぎない。そして、それを改革と称したのだ。
しかし、いま、私が愕然とするのは、日本のメディアの豹変ぶりだ。金融危機が起ってから、あれほど改革をあおり、バラマキを批判したにもかかわらず、アメリカが自国経済を救済するために国民の金をつぎ込み出すと、「日本もそうしろ」と主張することだ。
私の考えは、ほかの国がそれほどバラマキをするなら、そのカネを日本が取りにいけばいいのだ。日本企業が、バラマキをする国の公共事業を積極的に受注に行けばいい。
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