教育[001]英語で授業で大騒動。こんなんでいいのか? |
やっと目覚めた文科省「英語はコミュニケーションのツール」 これまでの日本の英語教育は、日本人の教師が、日本語で英語を教えていた。そして、その英語は、ほとんどが受験英語。だから、日本人は、中学、高校、大学 と10年も英語を習っても、しゃべれなかった。しかし、今後、英語教育をコミュニケーション重視に切り替え、「コミュニケーション英語」という科目を設 け、そこでは、「実際に英語でコミュニケーションを行う」ことにするということが決まった。 つまり、文科省も、やっと、日本人に英語をしゃべらせようと本気になったということなのだろう。とすれば、少なくとも一歩前進だから、これはこれでいいことであり、大騒動になるようなことではない。
ところが、これが発表されてから、現場教師の間や教育現場では、大騒動になっているというから、信じがたい。要するに、「そんなことできない。どうしたら いいんだ」と、英語教師があせっている。一部は、抵抗している。さらに、その声を聞いて、周囲も「なんとかならないか」と言い始めたのである。 2009 年2月1日の『朝日新聞』の「耕論」欄は、「本当に英語で授業できるの?」という現場の不安を背景にして、3人の識者の意見を載せている。これを読むと、 大方の識者は、「そこまでしなくても」と考えているようだ。ただ、3人の識者のうちの1人、ダニエル・カール氏だけは、「もっとやれ」という意見だと思わ れた。
さて、私に言わせれば、文科省の新方針は一歩前進だが、「いまさらなにを」であり、さらに、このことが議論されること自体が滑稽である。というのは、すで に、英語は世界共通語になっていて、これを話さなければビジネスはできない。つまり、英語を話すことは死活問題であり、今後の子供たちに未来はないとまで 言えるからだ。 それなのに、日本の教育現場は、この問題を放置してきた。そして、遅ればせながら 「話す」ことに重点が置かれると、今度は「教えられない」と英語教師自身が言い出したのだから、本当に滑稽だ。そもそも、英語を話せない人間に「英語教 師」をさせていること自体が間違っている。 しかし、彼らはそのことを棚に上げ、会話重視の教育が議論されるたびに、「英語は話すことより、読み書きの方が重要」「きちんと文法を覚えてからでも話すことは遅くない」という、ありえない主張(完璧に間違っている主張)をくり返してきた。 私も、その被害者の1人だから、このことは声を大にして言いたい。もし、私たちの世代で、英語教育がまともに行われていたら、ここまで、苦労する必要はな かった。私は、大人になってから、英語をやり直したが、そのとき、つくづく、子供の頃からやっていればと思った。そして、自分が受けた英語教育は、英語教 育ではないとはっきりと思い知った。 正直に言って、いまだに英語は話せない。いつも、娘にバカにされながら、徹底的になおされる。最悪なのが、娘がまともな発音をすると、聞き取れないことだ。だから、娘は、日本語のカタカナ発音に言い直してくれることもある。ただ、機嫌がいいときだけだが……。
英語もいいが、中国語教育も緊急の課題
子供たちの将来を考えれば、できるだけ早く、日本人は日本語と英語のバイリンガルになるべきだというのが、私の考えだ。というのは、すでに中国も韓国も、 それを目指して英語教育に取り組んでいるからだ。中国も韓国も、とっくの昔に「英語で授業」などは実施している。そして、その成果も出ている。それなの に、日本はいまだに、高校段階での「英語で授業」で、大騒動になるのだから、情けない。 一部に、「日本語もまともにできないのに、英語 を教えるなど間違い。それより、正しい日本語を教えるべきだ」という意見があるが、これは決定的に間違っている。言語というのは、どっちがどっちというものでなく、両方正確に教えれば両方とも身につくものだ。 そして、世界的に見れば、モノリンガル(一言語しかできない)の人間より、バイリンガル(二カ国語ができる)人間のほうが多い。その意味で言うと、英語しか話さないアメリカ人や、日本語しか話さない日本人は、マイノリティである。 さらに、今後の世界を考えれば、英語はもちろんのこと、中国語も大事だ。中国がやがて日本を抜く時代に、旧来の漢文教育をやっているのは、アナクロニズム以外のなにものでもない。 日本が東アジアに位置する以上、そして、日本語は中国語を取り込むことで成立した以上、中国語を私たちはもっと知るべきだ。いまや二国間の経済関係は強力 だし、今後、アメリカが衰退していくとしたら、中国が日本の死活的な存在になる。とすれば、本来なら、今後、子供たちに、どの段階から中国語を教えていく かが、もう議論されていいときに来ている。 いまや、英語がどうだこうだという時代ではなくなっている。 (以下、次の記事に続く) |
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