[127] 増税はほぼ決まった。日本は決定的に衰退する。民主分裂、小沢離反、解散総選挙などはみな茶番 印刷
2012年 6月 15日(金曜日) 13:48

今日(6月15日)の各メディアは、いっせいに「民主・自民きょう合意へ」 「民主・自民は大筋合意」というニュースを伝えている。野田佳彦首相が期限としたのが、今日(15日)。紆余曲折があったが、実務者レベルで決着する見通しなのだという。

  となれば、今後の増税路線は決まったも同然。日本国は、今後、重税国家になるのが間違いなくなった。消費税増税だけが騒がれているが、じつは所得税も相続税も上がる(13年度税制改正に先送り)。そうなると、「働いても報われない」というムードが社会に蔓延し、日本はますます衰退していくだろう。日本は、本当に社会主義国家になってしまった。

  合意が決定的になったとはいえ、「ただ民主党内調整で異論が噴出する可能性がある。21日の国会会期末までの衆院採決を首相が決断できるかが焦点だ」などとメディアは続けているが、今日までのことを見てくれば、交渉はすべて茶番。「大いにもめている」という見せかけショ―が続き、ついに増税案が可決される。そういう流れが、ほぼでき上がった。

 

最後はバンドワゴン効果、「勝ち馬に乗れ」でみんな増税

 

 いまの日本に、真剣に日本の将来を考えて行動する政治家はほぼいない。マニフェストにこだわっている民主党議員、「増税絶対反対」の小沢一郎氏、同じく増税反対の自民党議員などがいるが、いったん「流れ」「空気」ができれば、もうみんな「増税一色」になる。「仕方ない」となる。

  それが、日本という国だ。今日も、議員たちはいろいろなことを言っているが、結局はみな賛成する。反対派もやっても「棄権」までだ。

  最終的には「勝ち馬に乗る」というバンドワゴン効果が働く。日本人は、そういうメンタリティだ。

 

増税してもなにも解決されない。問題が「先送り」されるだけ

 

 現在の「空気」ができたのは、いろいろな意見が噴出したとはいえ、その背景に「日本は危ない」というムードが、じょじょに大きくなってきたからだ。空前の円高、パナソニック、ソニーなどの日本の電機産業の崩壊、貿易赤字の拡大など、「これはなにかおかしい。このままでは持たない」という感じが、日本社会全体に広がった。

 しかも、日本の財政赤字は危険水域に入っている。欧州危機が深まれば、次は日本の番なのは、もはや誰にでもわかるようになった。

 増税してもなにも解決されない。3%、5%という段階的な消費税増税ぐらいでは、プライマリバランスさえ達成できない。国債金利が少々上がったときの利払い費ぐらいにしかならない。「社会保障と税の一体改革」と言っているが、社会保障費は年々1兆円増えるから、そちらに回して、なんとか数年やりくりする。その程度の話で、もう半年以上も政治が空転しているのが、本当に不思議だ。

 ともかく、現在の問題を「先送り」したいという、財務省の悲願の増税がやっと達成される、それだけの話だ。

 

 空気の醸成に決定的な『週刊文春』小沢スクープ記事

 

 この「空気」を決定的にしたのが、現在発売中の『週刊文春』(2012年6月21日号)が伝えた小沢一郎の人間性を疑わせるスキャンダル記事だ。松田賢弥氏の記事のタイトルは、≪「愛人」「隠し子」も綴られた便箋11枚の衝撃 全文公開小沢一郎 妻からの「離縁状」≫となっていて、小沢一郎がいかに和子夫人をないがしろにし、その結果、夫人が「小沢は放射能を恐れ国民を見捨て逃げ出したので離婚しました」「愛人・隠し子もいる」という内容の手紙を、有力後援者に出さざるをえなかったが、詳細に書かれている。

  このスクープ、もし本物なら、近年の政治スクープのなかで最大級のものなのは間違いない。以下は、「週刊文春ウェブ」から、そのイントロ部分だ。

≪便箋11枚にも及ぶ長い手紙の中で、和子夫人は、昨年3月の東日本大震災後の小沢元代表の言動について触れ、「このような未曾有の大災害にあって本来、政 治家が真っ先に立ち上がらなければならない筈ですが、実は小沢は放射能が怖くて秘書と一緒に逃げだしました。岩手で長年お世話になった方々が一番苦しい時 に見捨てて逃げだした小沢を見て、岩手や日本の為になる人間ではないとわかり離婚いたしました」と書いている。
 手紙では、小沢元代表の愛人や隠し子の存在についても触れている。 8年前に隠し子の存在がわかったとき、小沢元代表は和子夫人に謝るどころか、「いつでも離婚してやる」と言い放ち、和子夫人は一時は自殺まで考えたとも記している。≫

 

「これで小沢は終わった」「小沢中心の政治報道も終わった」

 

 この記事の破壊力はものすごい。すでに「これで小沢は終わった」と、私も何人かの人間から聞いた。「小沢シンパもチルドレンも総崩れ状態になっている」と伝え聞いた。「増税反対もなにもない。これで、国民のことなど眼中になく、政局ばかり考えている政治家だとわかってしまったから、もう着いていく人間はいない。小沢中心の政治報道はこれで終わった」と、知り合いの新聞記者は言った。しかし、大新聞は、文春報道も、こうした状況もまったく伝えていない。これは、小沢事務所が記事を事実無根、捏造としているからだ。

 はたして、記事は真実なのか?手紙の主の和子夫人がメディアに語らなければ、真相はわからない。しかし、いずれにしてもこのタイミングで、この記事は小沢一郎(および増税反対派)に決定的なダメージを与えたのは間違いない。

 

ギリシャ総選挙、G20サミット、いまや世界中が問題を「先送り」

 

 17日には結果が見えているギリシャの総選挙があり、その後、EUのさらなる支援策が発表される。18日からメキシコで開かれる20カ国・地域(G20)で、各国首脳の金融危機に関するメッセージが出る。IMFの強化策ぐらいしか出そうにないが、それでも抑止力はある。

 そうして、アメリカもQE3に踏み切る可能性をほのめかす。

 続いて、21日には日本で増税が可決される。このように、動いていくとは限らないが、こうなっていかないと、世界経済が恐慌状態に陥る可能性がある。ともかく、いまや世界中が問題を「先送り」するようになった。