[133] 絶対に取り戻せない竹島。韓国に足元を見透かされ、アメリカにも見放されようとしている日本 印刷
2012年 8月 13日(月曜日) 05:03

この10日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島(韓国名・独島)に上陸したことは、日本という国の根幹を揺るがす大事件である。これに対する対応ひとつで、今後の日本の世界での位置づけが決まると言っていい。

   ところが、大手メディアはこれを大きく扱わなかった。オリンピックを隠れ蓑にして、問題から目をそらす道を選んだ。日本政府と同じで、大手メディアの現場も上層部も「ややこしいこと」は大嫌い。難しい問題は極力避けてとおろうとする。

    今回も同じで、「竹島訪問の強行で、日韓関係が急速に悪化するのは必至だ」「日韓の信頼関係の根幹を否定する暴挙と言うほかない」などと、まるで他人事のように論評してお茶を濁すだけになってしまった。

   「竹島は日本領」というのが、日本の立場だ。歴史的にもそれは明白なことだからだ。しかし、いまさらそんな話を繰り返しても意味がない。簡単な話、竹島を「日本領」にしたいなら、韓国と戦争するしかない。なぜなら、竹島はすでに韓国に実効支配されているからである。

    実効支配を止めさせるのは、こちらも実効支配に乗り出す以外に方法はなく、つまり「力対力」となって、これは戦争するしか道がない。こんなことは、誰でもわかると思うが、大手メディアはそれを言わない。

 

李明博・竹島訪問の最大の理由は「日本が衰退している」こと

 

   最悪は、なぜこの時期、李明博大統領が竹島に上陸したかという理由を、韓国の国内問題にして解説することだ。任期があと半年の李大統領は、実兄の前国会議員や側近が金銭スキャンダルで逮捕されるなどで政権の求心力を失っている。そこで、日本による統治からの解放を祝う15日の「光復節」を前に、人気回復を狙ったのだという。

    たしかにそれは理由のひとつだが、最大の理由は「日本が衰退している」ということだ。つまり、弱っているので多少なめたことをしても大丈夫と、彼らが考えたということ。日本人は完全に馬鹿にされ、足元を見透かされているのだ。

 

本来なら「貿易停止」「国内の韓国資産の凍結」「国交断絶」

 

   実際、日本政府はなにもできない。玄葉光一郎外相は11日、国際司法裁判所への提訴を検討すると表明したが、これは実際にはできないので、なにもしないのと同じだ。「領有権問題を国際的に認知させるのが狙い」と言っても、日本と韓国の2国間のことに国際社会は興味はない。

    つまり、これはただの茶番だ。

   本来なら、「貿易停止」「国内の韓国資産の凍結」「国交断絶」などに踏み切らなければならない。そうしながら、竹島に海上自衛隊の船隊を派遣すべきだ。

   そうでなければ「日本領」と主張すること自体がおかしい。自国領が侵略されているのだから、当然のことだ。

    しかし、日本政府にそこまでやれる政治家なんていない。

 

「見て見ぬふり病」「事なかれ主義」を続けたツケ

 

   「大津いじめ事件」ときにも、このブログに書いたが、日本人全体が病気にかかっている。「見て見ぬふり病」「なかったことですませる病」だ。別名では、「事なかれ主義」とも言う。

    この病気にかかると、目の前に問題があるのに問題とは認識できなくなり、すべてを先送りさせるようになる。そうすると、問題はさらに大きくなり、最終的には対処できなくなってしまう。いじめ事件では子供の命が奪われ、領土問題では領土が奪われる。すべては、問題が発生した時点で、きちんと対処していればよかったことである。

  ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問したのも、中国がたびたび尖閣諸島にちょっかいを出すようになったのも、その理由は同じだ。日本が衰退していて、乱暴なことをしても反撃できないと、彼らが判断したからである。

   1989年のバブル崩壊から続く「失われた30年」。いまや日本の国力の衰えは、誰の目にも明らかだ。しかも、日本の政治はほとんど機能しておらず、政治家も一般国民もみな事なかれ主義で、なにが起こっても「見て見ぬふり」ですませている。

   おそらく、この「見て見ぬふり」の無責任体質は、昨年の福島原発事故の対応でピークに達したと思う。あの一件で、日本政府の無能ぶりは、彼らの目にもはっきりとわかったのではないだろうか。

 

問題が起こるたびに穏便に処理をしてきた?

 

   今回の竹島問題をさかのぼると、李明博大統領に竹島訪問を思い留まらせることは、案外簡単にできたはずである。

   つい1カ月前、2012年7月9日にソウルの日本大使館の正門に、小型トラックが突っ込んだ事件が発生している。これは竹島問題での抗議だった。日本大使館はこれまでたびたび、韓国の愛国過激派からのいやがらせを受けてきた。たとえば、2012年1月には、慰安婦問題で火焔瓶を投げ入れられている。

    しかし、いずれの場合も、日本政府は「見て見ぬふり」でとおしてきた。さらに、昨年12月、京都で行われた日韓首脳会談でも、李明博大統領は慰安婦問題を持ち出している。が、このときも日本政府は事なかれ主義に終始した。野田首相の問題を解決しようとしない姿勢を見て、、李明博大統領は「行動で見せるしかない」と、すでにこの時点で今回の竹島上陸を決めていたという。

    これでは、足元を見透かされて当然だろう。

 

問題を解決したいならワシントンでロビーイングを!

 

    日本が近隣諸国と抱える領土問題は、誰もが知っているように、当事者同士では解決できない。日本国はアメリカの属領と言っていいので、アメリカが相手国と話をつけてくれなければ無理だ。つまり、解決したいなら、ワシントンでのロビーイングが欠かせない。しかし、日本政府はこれが苦手のうえ、できればやらないですませたいと思っている。これでは解決しようがない。

    そればかりか、最近の日本の風潮は、大メディアが煽ることもあり、反アメリカ色が目立つ。米軍普天間飛行場に配備予定のMV22オスプレイをめぐっては、政府のアメリカに対する弱腰を批判する。たびたび事故を起こしていることを取り上げ、日本配備の停止を要求せよと迫っている。原発再稼働と同じように、ありえない100%の安全を政府に求めようとしている。

    事なかれ主義で無責任。それなのに他人に対しては厳しい要求する。こんな国民しかいない国に対して、誰が安全を保障するだろうか?

 

ロムニー氏が「わらわれは日本のようにはならない」と演説

 

    8月9日、共和党のアメリカ大統領候補ロムニー氏は、ニューヨークで日本を引き合いに出した演説を行なった。「われわれは日本と違う。十年あるいは百年にわたって衰退と困窮に苦しむ国にはならない」と述べたのである。これは、日本の経済低迷が100年に及ぶとも受け取れる、信じがたい発言だ。

    つまり、アメリカの上層部の人間には、日本の衰退ぶりは、もはやあきれるしかないレベルに映っているのだ。

    ロムニー氏はこうも言った。

「日本の将来は悲観的であり、われわれ共和党はまもなく、米国民が過去3年間に見てきたものとはまったく異なる経済の将来像を示す」そうして、オバマ大統領再選ならば、米国は日本のように衰退すると主張した。

今後のアジア政策で日本を重要視する必要はない

 

このロムニー演説を聞けば、アメリカ人が日本をどう考えているかが見えてくる。最近のアメリカは、日本の領土問題に関してはまったく関心を示さないか、わざと無関心を装っている。メドベージェフ大統領の北方領土訪問にしても、中国との尖閣諸島問題にしても、日本に助け舟を出さなかった。それもそうだろう、普天間問題で鳩山元総理は、オバマ大統領に「トラストミー」と言って、結果的に騙し打ちをしたからである。あんなことをされたら、誰だって怒る。そして、今度はオスプレイである。

すでに、ワシントンの空気は「今後のアジア政策で日本を重要視する必要はない」に変わっているのだ

北朝鮮が代替わりして改革開放化の動きを見せるなか、北と南との朝鮮統一国家の誕生をにらんで、アメリカの新しいアジア外交は動きだしている。このまま、日本が衰え続ければ、アメリカの日本の扱いは北朝鮮以下になるかもしれない。