[142] 欧州至上主義の競馬メディアよ目を覚ませ! ジャパンカップはジェンティルドンナとフェノーメノ 印刷
2012年 11月 19日(月曜日) 00:21

とうとうジャパンカップの週がやって来た。ジャパンカップといえば、いわずと知れた日本競馬の最高峰レースで、もちろん国際競走。1着賞金2億5000万円も日本最高賞金である。しかし、近年は、海外からいい馬がやって来なくなった。出走経費をJRAが負担してくれる(つまりアゴアシ付き)というのに、こちらからお願いしないと来ないのだ。

 その結果、いまひとつ盛り上がらない、国際レース特有の高揚感も感じられないレースになっていた。

   

  しかし、今年は違うと、メディアもファンも騒いでいる。

  なんと、凱旋門賞の1、2着馬が対決する。2着だが勝ったに等しい内容のオルフェーヴルと勝馬のソレミアのリベンジマッチがある。さらに、ここに3冠牝馬のジェンティルドンナが加わり、3歳牡馬からは最強馬かもしれないフェノーメノも出走する。古馬陣では、実力馬ルーラーシップに天皇賞馬となったエイシンフラッシュなど多彩なメンバーが出てくる。

 だから、メディアは「史上もっとも見どころがあるジャパンカップ」「世界も注目するレース」と前景気を煽っている。これは、本当なのだろうか?

 

 今年もまた外国招待馬は、2流、3流馬ばかり

 

 外国招待馬を見ると、メディアが騒ぐのとは裏腹で、今回もまた2流、3流馬ばかりだ。凱旋門賞馬ソレミアが来るではないかと言うが、この4歳牝馬の凱旋門賞勝ちは重馬場のフロックにすぎない。

  また、ジャッカルベリー、スリプトラ、レッドカドー、マウントアトスの4頭はみなイギリス調教馬で、向こうで勝負付けが済んだ馬だ。つまり、世界的には見どころもないし、注目もされない「いつもどおりのジャパンカップ」なのである。つまり、盛り上がりは日本国内だけだ。

 

凱旋門賞、キングジョージは格下の「田舎のG1」 にすぎない

 

 もちろん、「これでいいのだ」という説がある。私も最近はそう思っている。なぜなら、凱旋門賞やキングジョージなどの「世界のG1」とされるレースが、日本のG1に比べて格下の「田舎のG1」にすぎないからだ。

 とくに凱旋門賞は、中山のダイヤモンドステークスより落ちるのではないかと思えるほどひどいレースだ。そんな田舎のレースを走っている馬たちを、わざわざアゴアシ付きでジャパンカップに呼ぶ理由などないからだ。

 こんなことを書くと、どうかしていると言われるかもしれない。しかし、どう見ても欧州競馬はレベルが落ちる。かつてはアメリカ馬もよく凱旋門賞に出走したが、近年は無視である。これは明らかに格下に見だしたからだろう。アメリカもそうだが、いまの芝の競馬はスピード重視だ。 しかし、欧州はそれを頑なに拒否し、昔ながらのド田舎レースを行っている。

 

東京の固い芝と欧州の思い芝ではどちらが負担か?

 

 ここで、東京芝2400メートルがどんなに素晴らしコースか考えてみよう。ジャパンカップに来た外国馬の調教師たちがよく言うのは、レース前は「東京コースは素晴らしい」であり、負けたレース後は「日本の馬場は固すぎる」だ。つまり、高速馬場は馬に負担がかかりすぎるという愚痴である。なかには「こんな固い馬場では故障リスクが大きすぎて、もう馬を連れて来たくない」とまで言った調教師がいた。

 しかし、はっきりいって欧州の重い芝コースのほうが、よほど馬に負担がかかり、近代のスピード競争とはかけ離れている。クロスカントリーのようなレースのどこが面白いのか? あれは馬主のためのレースであり、スピードマッチや記録を期待するファンのためのレースではない。

 

欧州至上主義に「脳内汚染」されている競馬記者

 

 よく考えてほしい。欧州の競馬というのは、そもそもが貴族、上流階級の趣味であり、20世紀の大衆社会になって、一般庶民に開放して馬券を売ったに過ぎない。いまは、それでも資金が持たず、アラブの王族に援助してもらって続けている。そんななかでかろうじて行われている凱旋門賞のようなレースを「世界最高峰のG1」とし、日本馬が勝つのを「悲願」と書くのが日本の競馬記者である。

 まったく、時代遅れで、欧州至上主義に「脳内汚染」されているとしか言いようがない。

 凱旋門賞もそうだが、先週のブリダーズカップでトレイルブレーザーが負けたときも、日本の競馬記者は「悲願達成ならず」と書いた。これは、30年前の発想で、日本の競馬記者は、たとえば、パリ、ロサンゼルス、ドバイなどに取材に行くたびに、向こうのろくでもない競馬サークルにちょっとでも褒められると有頂天になって、「今度こそ悲願達成だ」などという記事を書く。劣等感の裏返しとしか思えない。

 

日本は凱旋門賞馬とキングジョージ馬の墓場

 

  欧州と日本の馬場差によってなにが起こったかというと、ジャパンカップが「凱旋門賞馬、キングジョージ馬の墓場になった」ことだ。

 これまで凱旋門賞馬では、トニービン、キャロルハウス、アーバンシー、エリシオ、モンジュー、バゴなどがジャパンカップにやって来た。キングジョージ馬では、ベルメッツ、ペンタイア、ゴーラン、コンデュイットが来日した。いずれも勝てなかった。また、両レースとも勝っているディラントーマスも07年に来日したが、JRAの不手際で出走不能となり、関係者が激怒したという話もある。

 こうしたことが続けば、外国一流馬(とくに欧州調教馬)が招待されても来なくなって当然だろう。だから、今年来るイギリス調教馬4頭は、「アゴアシ付きだから入着すれば儲けもの」と考えているに決まっている。

 ところが、日本の競馬メディアは、いまだに「近代競馬では日本が世界一」「日本の競走馬のレベルは世界一」という事実を認めず、欧州のド田舎競馬を日本競馬より上に見ている。だから、調教師も馬主も、欧州遠征病にかかり、世界一強い日本馬を向こうに持って行ってしまう。「日本最強馬=世界最強馬」であるオルフェーヴルが凱旋門賞に出走する理由などどこにもない。

 

ダービー馬ディープブリランテはなぜ故障引退したのか?

 

 ここで、考えてみてほしい。今年の春シーズンはキングジョージにダービー馬ディープブリランテが遠征した。そうして、案の定、惨敗。東京2400メートルを制した馬をなぜ、英国のタフな芝コースで勝たせたいのか?

 私には、その理由がわからない。英国の競馬は日本のスピード競馬とは異質の競馬で、いまや英国はただの競馬後進国である。競馬発祥の地という伝統だけで、ろくでもないレースを世界最高峰の競馬だと思い込ませているだけだ。結局、本当にかわいそうなことに、ディープブリランテは故障引退してしまった。 

 欧州はドイツをのぞいて、もう見るべきものがない。21世紀は欧州の没落の世紀だ。同じく、日本も没落必至だが、競馬だけは現在のところ、世界最高峰である。

 

ジャパンカップを 「カーニバル開催」にして世界の一流馬を惨敗させよ

 

 ジャパンカップに、本気でもっと欧米の一流馬を呼びたいなら、ロイヤルアスコット、凱旋門賞ウィーク、ブリーダーズカップのように、世界的G1を土日で5、6レースやってしまうことだ。ジャパンカップダートはもとより、マイルチャンピオンシップ、スプリンターズステークス、天皇賞・秋、エリザベス女王杯などをまとめてやれば、もっと一流馬がやって来る。

 こうした1、2日間に複数の大レースを開催することを「カーニバル開催」というが、現在のJRAのお役所体質では、これを実行できないだろう。

  しかし、もしこれが実現して海外一流馬が大挙してやってきたら、なにが起こるか? 欧州馬はことごとく惨敗するだろう。そうしてみて、初めて日本競馬が事実上の世界一だとわかるはずだ。

 

ド田舎G1の凱旋門賞で負けたショックが尾を引くオルフェーヴル

 

 オルフェーヴルは遠征する必要もない凱旋門賞に行って、日本では条件レースしか勝てないようなフランス牝馬に負けた。しかも差し切られている。このショックは相当なものだから、今度のジャパンカップはホーム戦とはいえ、全幅の信頼を置けない。

 私は、最強の世代と思う今年の3歳馬の牡牝、フェノーメノ、ジェンティルドンナの組み合わせ1点に絞った。

  これは、日本が少子高齢化社会になり、老害によってなにもかもうまく行かなくなっているから、それを若い世代に打破してほしいという願いも込められている。

 現在、暮れの選挙に向けていろいろな動きが起こっている。日本では選挙になるたびに、「改革」と「再生」が叫ばれてきたが、これまでそれが実現したことはない。なぜか? それをやると言う政治家がみな老人だったからだ。

 60歳以上なんてもってのほか、50歳でももう必要ない。この際、政策なんてどうでもいいのだ。ともかく、若い世代の政治家が過半数以上になれば、それだけで日本は変わる。そのためには、3歳馬に投票するしかない。

 

オルフェーヴルをフェノーメノ、ジェンティルドンナの3歳世代が負かす

 

 それから、3歳世代1点勝負の理由は、もうひとつある。

 それは、ファンも競馬メディアも世界最強と信じているオルフェーヴルをフェノーメノ、ジェンティルドンナの3歳世代が負かす。そうなれば、日本の競走馬のレベルが世界一だと、ファンもメディアも目を覚ますからだ。