[News]新著『2015年 磯野家の崩壊』(徳間書店刊)が3月22日に発売されます 印刷
2013年 3月 12日(火曜日) 07:06

磯野家とは言うまでもなく、サザエさん一家のこと。このサザエさん一家は3世代7人が同居するという大家族です。そこで、聞きたいのですが、あなたの周囲に、こんな大家族がいますか?

 私の周囲には、まったくいません。とすると、なぜ、サザエさん一家が、日本の典型的な家族とされているのでしょうか?

  

   2015年磯野家の崩壊 アベノミクスの先にある「地獄 ...

 磯野家の人々は永遠に年を取りません。フィクションだから当たり前ですが、サザエさん一家がいつまでたっても3世代同居で7人という大家族であることは、いまの日本の現実とは大きくかけ離れています。

 半世紀前は、日本の世帯の約半分が3世代世帯でした。しかし、いまや核家族、単独世帯が一般的で、とくに都市部では3世代世帯は極端に少なくなり、東京23区の3世代世帯が全世帯に占める割合は、なんと2.0%にすぎません。

 

 そこで、本書では、サザエさん一家を、こうした日本の現実のなかに入れ、私たちの将来を考えてみることにしました。家族の将来というより、もっと大きく、この先の日本経済、日本という国の在り方までも、考えてみたのが本書です。

  そうしてみると、どう考えても、磯野家はいずれ崩壊せざるを得ないという結論になります。

  2012年暮れに安倍晋三内閣が誕生し、アベノミクスを打ち出して以来、日本はデフレを脱却して、やがて成長を取り戻すようなムードになっていいます。しかし、これは実体のないバブルにすぎません。とすると、その反動は大きく、今後予定される大増税と併せて、日本の家庭は大変な試練に直面します。

  そこで、本書のサブタイトルを〈アベノミクスの先にある「地獄」〉とし、そのときに日本社会がどうなっているかを描きました。たとえば、「老人しかいない街が都内各所に出現」「大増税が家計を直撃し、家庭が崩壊」「サラリーマン、OLが消滅」などが起こり、日本社会はいままでとはまったく違ってしまうでしょう。

  アベノミクスのついては2章を設け、「安倍バブルはいつ崩壊するのか」に関して私見を述べています。

 

 じつは、私は以前から「磯野家」をタイトルに拝借した本を書いてみたいと、ずっと思ってきました。

  これまで、そういう類の多くの「磯野家」本が生まれてきました。その最初の本、ミリオンセラーになった『磯野家の謎.「サザエさん」に隠された69の驚き』(東京サザエさん学会編 1992)をプロデュースしたのは、じつは、私とは30年近くのつき合いがある杉森昌武(出版プロデューサー、作家)です。だから、彼にならってみたわけです。

  ただし、本書は、これまでの「磯野家」本とは違って、サブカル本、研究本ではありません。経済の本です。私が本書に書いた日本の現実、問題点は、そのまま私の問題でもあり、日本の家族ぜんぶの問題であると思っています。

  以下が、本書の目次です。

 

第1章 アベノミクスで家庭崩壊

■デフレ脱却のためにカネを刷ってばらまく

■アベノミクスでバブルが起きた

■デフレの責任は日本銀行にある?

■日銀はどのように景気をコントロールするのか?

■デフレ退治は熱を下げるのと同じ

■昭和恐慌の高橋是清「積極財政」の教訓

■一般国民の暮らしという視点に欠ける

■円安で輸入インフレが起こり長期金利が上昇

■「景気が悪いのは国のせい」と思っている国民

■政府が支出を増やしても雇用は改善されない

 

第2章 2015年の磯野家

■あれから25年後の磯野家の子供たち

■カツオとワカメはパラサイト・シングル?

■磯野家は2015年を無事に迎えられるのか?

■年金の負担と給付のバランスが崩れる

■もうひとつの2015年問題は非正規雇用者の増加

 

第3章 老人しかいない街

■平均寿命80歳超時代への不安

■超・高齢化社会がもたらす問題点

■「都心の限界集落」都営戸山ハイツ

■年齢別人口でもっとも多いのが70歳代の高齢者

■都会では孤立化が地方より厳しい

■ベッドタウンはいまや本当のベッドタウンに!

■日本の世帯でもっとも多いのは「1人世帯」

■子供の姿がない街で1人で宅配弁当を食べる

 

第4章 大増税が家庭崩壊

■増税メニューの第一弾は「復興増税」

■増税を和らげようと減税メニューも

■隠れた増税も次々に始まった

■消費税だけではない、増税メニュー目白押し

■取りやすいサラリーマン層を狙い撃ち

■源泉徴収制度のおかげで「思考停止」

■グローバル化に適していない日本の税制

■所得税増税に見る富裕層課税のペテン

■日本の法人実効税率は高すぎるのか?

■日本人の雇用が増えるとは限らない

 

第5章 庶民も払う相続税

■基礎控除の縮小は納税者の数を増やすため

■非課税額が改正前の約4割に圧縮

■磯野家の相続税は400万円に!

■「一次相続」で納税を先送りしてもムダ

■「なぜ死んでまで税金を払うのか?」

■増税して格差を是正することが可能か?

■「相続税100%」でいったいなにが起こるか?

■税金によって国民をコントロールする

 

第6章 年金はもらえない

■2013年10月から年金が消えていく

■消費税増税は年金を安定化させるため

■もともと引き上げ税率は10%ではなかった

■運用金利4・1%でないと維持できない年金

■ネズミ講とまったく同じ詐欺システム

■年金は60歳からもらったほうがトクなのか?

■老後資金は働けるうちにつくっておく

 

第7章 サラリーマン、OL消滅

■史上空前の大リストラに戦々恐々

■「追い出し部屋」記事の向こう側

■サラリーマン社会の崩壊を米紙が報道

■10年以上前から用意されていたサラリーマン消滅

■残業代がなくなる法案を覚えていますか?

■「過労死促進」に法案提出断念

■65歳定年延長でなにが起こるのか?

■2050年の世界はどうなっているか?

 

第8章 女性差別社会

■専業主婦になれない女性が続出

■独身女性の3人に1人が「貧困女子」

■労働現場での男女格差は世界最低レベル

■ダボス会議も日本女性の地位の低さを指摘

■「男女雇用機会均等法」とはなんだったのか?

■女性の非正社員化に拍車がかかっただけ

■安倍内閣の「女性の地位向上」は本気?

■出産と育児で会社を辞めると先がない

■「女性が自由になった」は単なる幻想

 

第9章 日本はどんな国?

■答えは「経済成長ができる国」

■半世紀前の「貿易立国」はいま?

■貿易収支が過去最大の赤字

■日本経済は輸入に頼っていない

■貿易収支より経常収支のほうが大事

■海外の子会社が日本の親会社を支えている

■空洞化が国内雇用を減らしているのか?

■新興アジアに「サザエさん」はよく似合う

 

第10章 安倍バブルはいつ崩壊?

■ケインズとハイエクが対決するビデオ

■政治家はケインズ経済学が大好き

■日銀の「無期限の金融緩和」に一時的失望

■「いつ崩壊するか?」の予想投票

■「日本の円安政策はこれ以上容認できない」

■ターニングポイントは次のIOC総会

■ライバル2都市のうち、マドリードがまず脱落

■イスタンブールが有力なこれだけの理由

■「安全」「コンパクト」にアピールポイントなし

■国家破綻はあるのか?ないのか?

■財政法を無視した国債の大量発行

■小さな政府こそ日本のあるべき姿

■アルゼンチンのように国家破綻?

 

第11章 さよならニッポン!

■サザエさんの最終回はどうなるのか?

■「となりの山田さん」は磯野家の隣人?

■〝会津のジャンヌ・ダルク〞

■心がきれいで学識豊かな女性を伴侶に

■地位が低くとも明治女性は強かった

■「この目で世界を見て回りたい」

■日本人のアメリカ留学生は激減

■新島襄はパスポートなき脱国者だった

■近代日本の発展に貢献したのは誰か?