[155]今年のGWは個人投資家にとって試練のとき。アベバブルの崩壊もありか? 印刷
2013年 4月 10日(水曜日) 13:50

  友人の政治・経済評論家で翻訳家の徳川家広君から次のようなメールがきた。

 ≪インフレ/バブルの兆候の見られるアメリカ経済。

 いっぽうで、雇用は弱く、一部の信頼できる筋は「不況は昨年暮れに始まっている」と断言するところも。

 次のFOMCは4月30日/5月1日。

 次の米国雇用統計の発表は5月3日。

 今回、黒田サプライズでアメリカの景気を下支えした日銀は、GW休暇の真ただ中。

 これで何が起きるのか?≫

 

 徳川君とは1週間ほど前に会い、アベノミクスとアメリカ経済に関して意見交換したばかり。彼は、以前から「いずれアメリカ経済は崩壊する。資本主義は行き詰まっていて、もはや打つ手はなくなっている」と言ってきている。

 リーマンショック以後、世界中で大規模な金融緩和が行われてきたが、それはすべて弥縫策。根本的な解決策になっていない。日本のアベノミクスは、そうした世界的な金融緩和の流れのなかで、最後の矢というのだ。

 その最後の矢、アベノミクスはじつはアメリカを支えるために放たれた。しかし、じきにそれも限界にくると、彼は見ているようだ。

 

 アメリカ経済が、現在、どのような状況にあるかは見解が分かれる。ただ、「シェールガスでアメリカ経済が復活する。それにつられて日本経済も復活する。すごい時代がやってくる」というような見方は、希望的観測に過ぎないのでは?と、私も思う。

 シェールガスはアメリカでは無尽蔵に採掘できる。アメリカのエネルギー100年分はあるというのは、単なるストーリーで、そのストーリーで投資を呼び込んでいるだけだろう。そして、日本は、このストリーに真っ先に乗ってしまい、TPPでアメリカ経済と一体化する道を選んでしまった。

 

 「資本主義がなぜ行き詰っているか?」に関しての徳川君の見解は、すでに以前のブログに書いた( [118] このままでいくと資本主義は滅びるのか? 世界経済の破綻は確実なのか? )のでここではふれない。ただ私たちの毎日の暮らしを支えているこのシステムは、本来、大きな矛盾を持っているということだけは、書いておきたい。

 その矛盾とは、資本主義が発展すればするほど、人間の労働がいらなくなり、大量の失業者と生産過剰が発生することだ。これは、金融政策、財政政策、イノベーションなどでは、解決できない。

 

 ここのところ毎年、ゴールデンウィーク明けの相場は波乱含みである。市場も驚いた黒田日銀総裁の「異次元緩和」「バズーカ砲」炸裂で、アベノミクスはいまや佳境に入ってきているが、このまま佳境は続くのだろうか?

 今後、日銀は国債を買いまくって、市場にヘリコプターマネーがバラまかれる。しかし、誰もこれをいつやめたらいいのか? また、やめたときどうなるかを知らないのだ。

 私の周囲には、「安倍首相は明らかにおびえている。あのハイテンションは自信の現れではない」「政府の人間も、そのブレーンもみなニコニコしているけど、じつは心の底ではおびえている」と見る人間は多い。

 今年のGWは、個人投資家にとっては、試練のときになりそうだ。