[171]世界的な金融危機の再来か? そんななか国家管理化が進む日本の金融市場 印刷
2013年 6月 24日(月曜日) 00:56

このところの金融市場、世界経済の動きを見ていて、非常に嫌な予感がする。

 たとえば、FRBが金融引き締めに入ることを示唆したら、NY株が大幅に下がった。ドル高になり、新興国から資金が引き上げられた。中国では上海のオーバーナイトの銀行間取引金利が13%台にまで暴騰した。欧州ではギリシャ国債の金利がふたたび10%を超えた。

 こうした動きを見ていると、どうやら世界は、景気後退に向かっているとしか思えない。アメリカだけが復活し、それ以外の世界は低迷する。そんな感じもする。いずれにせよ、リーマンショック以後、世界中で行われた大幅な金融緩和のツケが回って、再度、世界が金融危機、不況になる可能性が高まっているように思える。

 ところが、日本では異次元緩和が始まったばかり。これから、まだまだお金を刷り続けるのだから、経済も金融も非常に不安定な状況が続くだろう。アベノミクスによる日本再生物語が、一気に崩れるときがくる可能性もある。


 世界の論調を見ると、日本より中国のほうが爆弾を抱えている。すでに金融危機が始まっていると見る向きもある。上海のオーバーナイトの銀行間取引金利が13%台に暴騰したが、一部では30%でも借りる銀行があるという。それほど資金需要が逼迫している。

 これは、借金による開発をやり過ぎたツケだ。いまや中国中に、リターンを生まないインフラが溢れている。

 日本の株式市場は、一時1万6000円近辺まで行ったが、いまでは1万3000円台に戻った。1万3000円割れもあったが、戻しもあるので、どうやら1万3000円が、現在、日本政府が考えている底値ラインのようだ。

 参院選を控えた安倍政権は、選挙まではこのラインを死守するつもりなのだろう。

 株価は連日のように乱高下にしているが、たとえば下げると後場の終了間際に大量の買いが入って、1万3000円割れが阻止されている。これは、日銀のETF(上場投資信託)買い取りや、年金基金の買いだ。それでもダメなら、今後ゆうちょマネーがつぎ込まれるだろう。

 つまり、これは国によるPKO (price keeping operation):株価維持だ。

 黒田バズーカ砲によって国債市場は、国家管理になったが、いまや株式市場も国家管理になってしまった。これまで東京株式市場を動かしてきたのは外国人だが、彼らは5月23日の1000円以上の暴落局面を演出した後は、様子見となっている。

 ただ売れば、バックが日本政府の機関投資筋が買ってくれるので、安心して売買できるようだ。

 現在の日経平均の値動きの鍵を握っているのは、ユニクロ(ファーストリテイリング)株だと言われている。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が拮抗する相場で、ユニクロ株が買われるか売られるかで日経平均が上がるか下がるかが左右されているからだ。

 いずれにしても、FRBが出口戦略(金融引き締め)に入りそうなので、今後、世界的に株式市場は値下がりし、債券市場の金利は上がっていくだろう。そうなると、このまま日本の国家管相場がどこまで続けられるのか、非常に不透明だ。

 今後、投資家は、この点をもっとも注目していかなければならない。