[026] 大関・魁皇を呼んで八百長追及ランチ!外国人記者は相撲が注射だと知っている! 印刷

2009年6月4日

外国人記者クラブメンバーは相撲好きが多い


 2009年6月2日、日本外国特派員協会(FCCJ)は、大関・魁皇(36)を、ランチョン・ミーティングに呼んだ。ランチョン・ミーティングに誰を呼ぶかは、FCCJのボードが決めるが、この日、とくに魁皇を呼ぶ理由はなかった。力士を呼ぶ場合は、だいたいが優勝力士に限られる。
 なのに、魁皇を呼んだのは、一種の座興だ。
 
 外国人記者のなかには、日本人以上に相撲好きがいて、私がびっくりするくらい八百長問題に詳しかったりする。だから、この日も「引退はいつ?」、「朝青龍についてどう思うか?」などというありきたりの質問以外に、ズバリの質問が出た。


なんとかうまくかわし、逃げ切った魁皇

 


 たとえば、夏場所千秋楽で、カド番大関の千代大海が把瑠都を破った一番。あれは、誰が見ても“注射相撲”で、相撲協会も「無気力相撲」として、形式的に2人に警告した。
 このことを取り上げ、「どう思うか?」と聞いた記者がいた。当然、魁皇も何度もカド番を注射で乗り切ってきたことを、この記者はわかったうえでの質問だ。

「まいったなあ、なにも言えないし、言うことないんだけど……」
 これが、魁皇の答えだ。苦笑いして、ときに冷や汗。魁皇は性格がいいだけに、しれっととぼけられない。

 さらに、こんな質問も飛出した。
「千代大海の相撲や、日馬富士が立ち合いの変化で稀勢の里に勝った一番などで、取り組み後に風呂場で一緒になったとき、あなたは『よくやった』と言うのか、それとも『臆病者coward』と言うのか?」
 これに対して、魁皇の答えはこうだった。
「取り組み直後は、みんな興奮が冷めていないし、あまり話をしません。自分も早く家に帰りたいので、話しかけたりしない」。
 なんとかうまくかわし、逃げ切った。

 いずれにしても、外国人記者たちは、質問を楽しんでいた。大相撲の八百長問題を真剣になって追及してきた日本の週刊誌の記者のように、意気込んだりしていなかった。


相撲はスポーツではない。ショービジネスの1つ


 じつは、私もFCCJの会員で、もうずっと昔のことだが、日本に来たばかりの外国人記者に、相撲について質問攻めに会ったことがある。そのとき、私が「相撲はスポーツではない。ショービジネスの1つだ」と言うと、彼は真顔で驚いたものだ。
 それから、何人かの外国人記者に、同じように相撲について説明した。
 
 相撲は全部が真剣勝負ではない。真剣勝負は「ガチンコ」と言い、日に何番もない。たいていの勝負は、力士同士が事前に打ち合わせして、シナリオどおりに演じている、これを「注射相撲」という。
 また、力士同士は星の貸し借りをしていて、この貸借関係で勝敗が決まる……などと教えると、彼らはみな「アンビリーバブル」と言った。

 しかし、いまでは、外国人記者も、相撲がスポーツでないことを理解するようになった。


八百長裁判に『週刊現代』が負けたのは予想どおりだが……


 今年になって、『週刊現代』は「大相撲八百長訴訟」に、次々に敗訴した。まず、日本相撲協会の北の湖前理事長と協会が、発行元の講談社などを相手取り、計1億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決は、記事内容の取り消しと1540万円の賠償命令が下った。
 続いての名誉毀損裁判の判決では、東京地裁の中村也寸志裁判長が「取材は極めてずさんというほかない」と厳しく批判し、なんと4290万円という高額の賠償を講談社などに命じた。

 どちらの裁判でも、証拠はあった。講談社側は関係者の証言テープを公開したりしていた。しかし、これらはいずれも傍証であり、裁判では「関係者から八百長について聞いた」と主張したことを「八百長の合意や金銭の授受についての具体的な内容を明らかにしておらず、真実であると裏付けられない」と指摘された。また、証人として出廷した元小結・板井圭介の証言も裏付けにならないと、無視された。

 しかし、あえて言うが、直接証拠というなら、金銭授受の領収書、あるいは八百長した本人の証言を出せというのだろうか? それは、無理に決まっている。そこまで、完璧に立証したら、相撲自体が潰れてしまうだろう。したがって、裁判所が八百長疑惑にこのように蓋をするのは初めから予想できた。しかし、名誉毀損の賠償金が4000万円以上とは、驚いた。


取引(星勘定)を読めれば、相撲の勝敗は事前に予想できる


 じつは、いまから20年ほど前、私は独自で相撲に関して調べたことがある、それは、イギリスのブックメーカーが大相撲ベッティングを始めたからだ。日本では法律で禁止されていても、イギリスならOKということで、この相撲ベッティングは、一部でおおいに流行った。

 それで、私は週刊誌の記者仲間を通して、相撲関係者(タニマチや相撲協会の人間など)に当たり、また、一部の力士たちからも話を聞いた。さらに、文献にも当たった。
 なぜ、こんなことをしたかと言えば、そうしないと、優勝力士の予想、また、その日の取り組みの勝敗予想などができないからだ。

 そこでわかったのが、前記したように、相撲がスポーツではないことだ。そうでなければ、千秋楽までに7勝7敗できた力士がほとんど勝ち越すことなどありえない。また、前の場所でまったく振るわなかった力士が、次の場所で見違えるように活躍することもありえない。
 つまり、星は取引されているのである。この取引(勘定)を読めれば、相撲の勝敗は事前に予想できる。

 今場所は日馬富士が初優勝したが、彼が千秋楽で、琴欧州、白鳳と2番続けて勝てるであろうか? この答えは、来場所の日馬富士の星を見ればわかる。
 ちなみに、今場所、カド番を脱出した千代大海は13回もカド番を経験し、すべてクリア。魁皇も12回カド番を経験し、すべてクリアしている。


20年ほど前に相撲の内幕の本を書いたが出版せず


 話を戻して、私たちイギリスのブックメーカーで相撲ベッティングをしていたころ、『週刊ポスト』が大相撲の八百長告発を長期にわたって連載していた。あのころは、『週刊現代』ではなく、『週刊ポスト』がこのジャンルを独走していた。
 そのポスト連載のなかで、八百長を告発していた大鳴門親方(元・高鉄山)は、その後ズバリ『八百長』というタイトルの本を出し、じつに不可解な死をとげている。

 そんなこともあり、その後、私は相撲の内幕についてまとめようと思い、それまで取材したデータに基づいてほぼ1冊の本を書き上げた。もちろん、大上段から八百長を告発するようなスタンスはとらず、あくまで相撲をベッティングの見地から楽しむと、どう見えるかということを書いた。
 しかし、この本は出そうと言ってくれた仲間もいたが、結局、断念した。
 
 ただし、本にしようとして書いたのは10年以上前のことなので、いまなら一部を公開してもいいと思いいたった。それで、以下、目次を載せたうえで、この中の「まえがき」「2章」「3章」を、このウエブサイトの「GAMING WORLD」→「ギャンブル関係コンテンツ」→「3、相撲」で公開することにした。
 興味がある方は、クリックして読んでみてほしい。と、いったんはしたが、今日(6月14日)から、非公開にした。いずれは公開するが、もう少し待ってほしい。


ぜんぶガチンコならけが人続出で千秋楽まで持たない


 さて、当時、話を聞いたなかで、いまでもよく覚えているのは、ある関係者のこんなコメントだ。

「考えてもみてください。相撲は一場所15番、年間6場所で90番もあるんですよ。これ全部をガチンコでやれますか? そんなことをしたら体が持ちません。だいたい、ひと場所15番だって、ぜんぶ真剣勝負をしたら、体はぶっこわれます。150キロを超える力士同士が、毎回全力で激突したら、どうなるかわかるでしょう。
 けが人続出で、千秋楽まで興行は持ちませんよ」

 相撲がスポーツでないことは、このコメントでわかると思う。だからこそ、こんなに面白いものはないのだ。目くじらを立てて「八百長告発」をしても得るところはない。それよりも、力士たちが、その場所をどのようにつくっていくのかを推理しながら見ていくと、相撲は100倍楽しめる。

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ベッティングプレイヤーのための
大相撲の大研究
−愛すべき力士の世界−
WINNING REGULATIONS FOR SUMO BETTING

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■まえがき PROLOGUE
 愛すべき虚構(フィクション)の世界−それが大相撲

■CHAPTER1
    A RESEACH FOR SUMO BETTING
第1章 ベッティング(賭け)の対象としての大相撲


●優勝力士は場所前にわかっている!
●こんなにある懸賞付き大相撲クイズ
●ネット上の相撲予想“愛好家”たち
●スポーツ紙、専門誌の企画も楽しめる!?
●英国のブックメーカーで本格ベットを!
●ブックメーカーもまっ青の大事件
●あまりに予想が簡単で掛け金ダウン!
●これがブックメーカーの大相撲ベット(賭博)だ
●ワレメ杯という“絶妙”なシステム
●暴力団の相撲賭博も参考になる

■ CHAPTER2
     HISTORY OF “CHUSYA” SYSTEM
第2章 スターシステムと注射の歴史


●場所ごとにあるテーマの研究
●テーマ完成への露骨な援護射撃が!
●スターシステムという商業主義
●テレビ文化の申し子、大横綱「大鵬」の出現
●大鵬の輝く大記録には理由がある
●注射は日本古来の伝統的な知恵
●八百長シナリオで誕生した横綱「北の富士」
●輪島と高見山の奇妙な関係
●千代の富士の“国民栄誉賞”受賞の意味
●実力と知恵による八百長支配の確率
●注射53連勝と大一番2000万円
●注射に潰されたKONISHIKIの悲劇
●横綱審議会というけったいな組織
●ガチンコのヒーロー貴花田の登場
●横綱・曙の1000万円“復活”八百長

■ CHAPTER3
    SUMO WRESLERS, THE GREAT WONDERFUL PEOPLE
第3章 欲がすべて! 愛すべき力士の世界


●カネ、チカラ、オンナの3大欲望で成り立つ集団
●フェアなスポーツではない。フェアリー(マカ不思議)だ!
●ゼニを生み出す年寄株とは何か?
●相場があって相場がない年寄株の売買
●曙と出島は年寄株問題で好対照
●改革しようにもできなかった年寄株の売買
●親方もそうなら力士も金と女まみれ
●酒と女に溺れ、ついに追放されたある優勝力士
●海外でも頭の中は「女・女・女」でいっぱい
●いつでもどこでも“バクチ天国”
●序列社会のハケ口としての欲望の肥大化
●なんと注射の星をマリファナで精算
●力士はスポーツ選手ではない。男芸者である
●“欲”というフィルターですべてがガラス張り

■ CHAPTER4
    WINNING REGULATIONS FOR SUMO BETTING
第4章 こうすれば勝てる 大相撲ベッティング勝利の法則


●データが示す八百長相撲の実体とは
●あざやかに決まる技はほとんどが注射
●優勝は序列どおり横綱・大関が独占している!
●単勝の大穴、平幕優勝のメカニズム
●テーマ性を背負った力士は優勝する
●1999年秋場所の優勝シナリオをこう解く
●武蔵丸・曙のどちらにベットしても儲かった!
●横綱・曙をとりまく環境を読む
●なぜ若・貴の体はボロボロになってしまったか?
●ガチンコ横綱V20限界説
●ガチンコ力士も歓迎すべき存在である
●注射のメカニズムを知らねば予想はできない
●星の買い取りは80万円、借りは20万円が相場
●平幕互助会の“星回し”というシステム
●番付昇降のエレベーター力士とは?
●注射を仕切る“中盆”の重要性
●不況のせいか懸賞金狙いの注射もある
●7勝7敗千秋楽での星回し
●素人でもわかる注射相撲の見分け方
●初公開! 注射力士&ガチンコ力士の一覧表
●相撲ベッティング−勝利のポイント
●真実を書くと必ず黙殺される

■付録1 主な力士のパーフェクト・データ
■付録2 年間表彰力士一覧表
■付録3 相撲協会の陣容(1999年現在)
■付録4 系統別相撲部屋一覧表
■付録5 用語辞典 SUMO WORDS INDEX

■あとがき PROLOGUE