[NEWS]新著『すべてを手に入れた「1%の人々」はこう考える』(6月3日発売)の紹介 印刷

『すべてを手に入れた「1%の人々」はこう考える』

 (ヒカルランド、1490円)

 現在、私たちが暮らすこの世界は「格差社会」とされ、「99%1%の差がどんどん広がっている」と言われています。そこで、99%の人々はがどのように誕生し、どのような考え方で生きているのかを、これまでの取材からまとめてみたのが、この本です。

 

 いま、「お金持ちになるための本」「成功するための本」が数多く出ていますが、本書はそういう本とは違って、“お金持ちになる方法”はとくに明確に書いていません。なぜなら、そんな法則も、誰でもがなれる方法などないからです。あるなら、誰もが「お金持ち」「成功者」になっています。しかも、私はお金持ちでないし、ただの庶民です。

 というわけで、本書で描いたのは、主に現代の富裕層の実態とその考え方です。

 とくに、現代の起業家がどんな考え方で生きているのか?は、あまり紹介されていないので、紙幅を割いています。たとえば、アメリカの富裕層が信奉するアイン・ランドの著作や思想、現代さかんに言われている「慈善資本主義」などについても、おそらく日本で初めて触れています。

 

 

 Amazon.co.jp: 99%が知らない富裕層になる方法 すべてを手に入れた「1%の人々」はこう考える

 

 

 ■本書の目次

 

 はじめに  ウオール街リッチの考え方

 第1章       長者番付から見えてくる世界

  コラム1:頭がよくないと1%にはなれないのか?

 第2章       なぜ彼らはお金持ちになったのか?

 コラム2:どれだけお金があれば幸せか?

 第3章       お金持ちと貧乏人、こんなに違う考え方

 コラム3:「上流・中流・下流」と「富裕層」

 第4章       お金持ちと貧乏人、こんなに違う生活習慣

 コラム4:富裕層の投資ポートフォリオ

 第5章       99%が知らない1%の生き方

 コラム5:富裕層の海外移住と税金

 第6章       1%のためのハイライフカレンダー

 コラム6:富裕層が集まる主なイベント

 おわりに なぜ1%と99%になったのか?

 

■本書の「はじめに」の一部を再録 

 

ウォール街リッチの考え方 

 数年前、米ウォール街で大きな話題になった話があります。一人の若き女性が、億万長者(ミリオネア)であるJ.P.モルガンの社長に、「どうやったらお金持の男と結婚できるのか?」というメールを送ったのです。普通、こういうメールは相手にされないものですが、なんとJ.P.モルガンの社長は真摯な返信メールを出しました。この返信メールの内容が、お金持ちはこう考えるということをズバリと表しているので、まず、紹介してみます。

 相談者のメールは、次のような内容でした。

「はっきりと聞きます。年収50万ドル(便宜定期に1ドル100円として5000万円)以上の男と結婚するにはどうしたらいいのですか? 25万ドルくらいの人とは付き合ったことはあるのですが物足りない。私は25歳、見た目は可愛いし、スタイルもいいと思っています。具体的に、1、お金持ちの人はどこで遊んでいますか?(レストラン、バーなど、教えてほしい)、2、どれくらいの年齢層を狙えばいいのですか? 3、何人かお金持ちの奥さんに会ったけど、普通以下なのはなぜ? 4、お金持ちはどうやって結婚する女性を選ぶのですか? どういう女性が彼女向けなのですか?」

 それでは、社長はどう答えたのでしょうか?

 その概要はこうです。

「ボクの年収は100万ドル以上で、キミの条件は満たしている。で、一人の投資家として答えると、キミと結婚するのは悪い選択だ。キミは、“美しさ”と“お金”を交換しようとしている。ここに問題がある。キミの美しさというのはいずれ消えるものだからだ。ボクの収入は年々増えるけど、キミの美しさはいずれ消える。キミは、毎年キレイになることはない。ボクは魅力的な“資産”だが、キミの“資産の価値は低い”と言える。
 つまり、キミは普通の資産ですらなくて、急速に変化する“消耗する資産”ということになる。ウォール街には、トレード(取引)のときに“短期交換”というのがある。もし、交換するモノの価値が将来的に下がると考えると、それと交換するモノは長期的なモノではない。キミの言う“結婚”はこれに当てはまってしまうので、ボクはキミを“レンタル”したほうが賢い選択になる。

 だから、金持ちと結婚する方法を探すことは忘れて、自分自身でお金持ちになって100万ドル稼いだほうが、金持ちのおバカさんを探すよりもいいと思いうよ」

 じつは、このメールのやり取りは、後に誰かの創作と判明しました。しかし、それまでに何千、何万回も転送されたのです。つまり、メールがニセモノとしても、その内容には確かなリアリティがあったのです。お金持ちならこう考えるという「お金持ちの思考法」が、このニセ社長の返信にはあったと言えるでしょう。

 実際のところ、お金持ちは、常に資産価値を考えています。また、返信の最後に「自分自身でお金持ちになって100万ドルを稼ぐ。そのほうがいい」というように、その思考法は常にポジティブであり、誰かの助けによって自分がお金持ちになれるとは考えません。

 この点が、私たち一般人とお金持ちが違う点と言えます。これまで私は、取材をとおして多くの富裕層と接してきましたが、彼らはみなポジティブな考え方の持ち主でした。だから、他人を利用して自分がトクをしようと考える人はほとんどいませんでした。

 現在、私たちが暮らすこの世界は「格差社会」とされ、「99%と1%の差がどんどん広がっている」と言われています。しかし、99%に属する私たちと1%の人々に大きな変わりはありません。変わりがあるとすれば、それは考え方の違いだけです。

 99%だろうと1%だろうと、忙しく働いている人は働いていますし、悩んでいることはほぼ同じです。お金持ちも一般人も、同じように悩みながら、泣いたり笑ったりして生きているのです。

 ウォール街リッチと言うと、映画『ウォール街』の主人公ゲッコーを思い浮かべて、お金のためならなんでもする欲の皮が突っ張った貪欲な(グリーディ)人間ばかりを想像するかもしれません。しかし、ゲッコーはデフォルメされたキャラクターであって、現代の富裕層を代表しているとは言えません。