[NEWS]新著『「中国の夢」は100年たっても実現しない』 印刷
 私の新著『「中国の夢」は100年たっても実現しない』
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  「中国の夢」は100年たっても実現しない(Amazon

  

 本書は、私にとって初めての「中国」の本です。これまで、私は、旅行者として、ジャーナリストとして中国とかかわってきました。また、娘がアメリカからの留学生として中国の南京大学大学院に留学していたこともあって、そのときは、多くの中国の若者たちやその家族たちと触れ合いました。

 何度も中国に行って思うのは、この国は短期滞在、旅行者としてならつきあっていけますが、もしここで暮らすとしたら、まっぴらごめんだということです。現在の中国は、世界一の環境汚染が放置され、水も飲めない、空気も吸えない、食べ物も信用できないというひどい状態です。しかし、北京政府は「中国の夢」(建国100周年2049年に、アメリカを抜いて世界一の覇権国家になること)に向かって邁進しています。

 本書は、前半では中国の現状を、私の体験をふまえ、主に環境問題、人々の暮らしの面から見ています。そして、後半では、ジャーナリストとしての視点から、中国の現在と未来を、経済的、政治的に見ています。

 そうして出た結論は、いまの中国は「14億人の絶望国家」ということです。

 以下、本書の目次を掲載し、その後、「はじめに」全文を掲載します。

 

■これが、目次です

 

はじめに

1章 汚染まみれ、中国は地球ではない

2  暴動、事故、爆発、なんでもありの毎日

3  中国は「あらゆるコンテンツの墓場」

4  信じられるのはカネとコネと身内だけ

5章 おカネができた順にグッバイ・チャイナ

6  この反日国家にどう対処すべきか?

7  2020年、中国人が月に立つ衝撃

8  人民元の国際化と「中国の夢」

9  起こるわけがない「米中逆転」

おわりに 

 

■「はじめに」全文掲載

 

 今後、さらに膨張する中国とどうかかわっていけばいいのか? これはいま、私たち日本人の最大の問題と言ってもいいだろう。

 20147月、またしても中国で食品偽装事件が発覚し、マクドナルドなどを巻き込んで大騒ぎになった。そしてその直後、序列9位という最高幹部だった周永康氏の粛正事件も起こったのので、とくにそんな思いが強くなった。

 中国問題を考えるポイントは、はたしてこのまま中国は成長と拡大を続けていくのかどうか? それとも、自己矛盾から中国は崩壊してしまうのか? そもそも中国とは、どんな国なのか? それを見極めることにあると、私は思う。

 しかし、これは本当に難しいことだ。だから、現在の日本では、ありとあらゆる種類の「中国論」が溢れている。

 

 歴史認識問題、尖閣諸島問題から、現在の日本政府は、日米同盟を強化し、この膨張する中国と対決していく姿勢を鮮明にしている。しかし、この姿勢が本当にいいのかどうかも、私にはよくわからない。

 ただ、私が思うのは、そもそも中国は私たちにとって、それほど脅威なのだろうか? ということだ。

 何度も中国に行って思うのは、この国は短期滞在、旅行者としてならつきあっていけるが、もしここで暮らすとしたら、まっぴらごめんだということだ。

 現在の北京政府は大国意識丸出しだが、それは口先だけのように思える。国内では世界一の環境汚染が放置され、水も飲めない、空気も吸えない、食べ物も信用できないからだ。おまけに、毎日のように暴動、爆発、事故が起こるし、不動産は高すぎて一般庶民には手が出せない状況になっている。

 だから、人々は政府を信用せず、信用しているのはカネとコネと身内だけ。その結果、カネをつかんだ者からあっさり国を捨て出て行くということが起こっている。

 

 こんな国が、はたして脅威と言えるのだろうか?

 中国の真実は、じつは「お笑い国家」「大バカ国家」なのではないかとさえ、私は思う。なぜなら、こんな国が国際社会で信頼され、人類の未来に貢献できるとはとても思えないからだ。とすれば、そんな国の挑発に乗るのは、もっとバカげている。

 そして、こんな国に暮らし、反日教育を受け、カネの奴隷にされている人々を、本当に哀れだと思っている。

 

 中国は、食品偽装事件が頻発するように、こと食ベ物に関してはまったく信用できない。食べ物ばかりか、前記したように「水」も「空気」も汚染されているから、14億人の生存は常に危険にさらされている。世界でも、こんな国はない。

 つまり中国は、見方を変えれば、「絶望国家」である。

 カネが回っているから、なんとか持っているが、人々がこの現状を意識すれば、「絶望」しか残らないはずだ。私も中国の庶民なら、たとえ祖国でも、なんとかここから脱出しようともがくだろう。

 

 習近平主席は、就任以来「中国の夢」をさかんに唱えている。2049年、つまり中華人民共和国の建国100年までに、アメリカを逆転し、中国が世界一の覇権国家になることを目指している。これは、1840年のアヘン戦争の敗北から1949年の中華人民共和国の建国までを「屈辱の百年」と位置づけ、その後を「栄光の百年」とするという、とんでもない野望の実現化だ。

 つまり、北京政府は、2049年までに「中華民族の偉大なる復興」を成し遂げようとしている。しかし、たとえそうなったとしても、そのとき、中国には健康な人間は一人もいなくなっているのではないだろうか。

 

 というわけで、本書は、前半では中国の現状を、私の体験をふまえ、主に環境問題、人々の暮らしの面から見ていく。そして、後半は、ジャーナリストとしての視点から、中国の現在と未来を、経済的、政治的に見ていく。

 本書は、私にとって初めてのまとまった「中国論」だが、他の中国論と違うのは、学者が机上で組み立てた論ではないこと、政治家や企業人などに特有な上から目線で書いたものではないことだ。また、エコノミストがデータから書く中国経済論とも一線を画している。もちろん、保守言論のように、中国人を反日民族としか見ないようなことは、私にはできない。

 

 私は、最初は単なる旅行者として中国を知った。その後、出版人として中国の出版ビジネスとかかわり、また、その間、ジャーナリストとして中国を取材してきた。さらに、娘がアメリカからの留学生として中国の南京大学大学院に留学していたこともあり、そのときは、娘をとおして多くの中国の若者たちやその家族たちと出会った。

 そのような経験をふまえて、たどり着いたのが、本書である。もちろん、私の視点には偏りがあるかもしれない。また、私よりはるかに中国を知っている方は多いと思う。

 それで、そういうところは割り引いていただき、こういう中国論もあると、読んでいただければ本当にありがたいと思う。