[240]雑誌衰退加速、このままだとじきに週刊誌が成り立たなくなる!? 印刷
2015年 11月 14日(土曜日) 14:52

先日発表された9月の出版物推定販売金額を見ていて、焦燥感が強まった。書籍雑誌の推定販売金額は1416億円(前年比6.1%減)で、その内訳は書籍が741億円(同2.3%減)、雑誌は675億円(同9.9%減)となっているが、週刊誌の17.8%減は異常だ。月刊誌8.1%減と高いが、その倍以上というのは、週刊誌を読むという行為が急速になくなっていることを裏付けている。読者の中核はすでに高齢者になったが、その層ももう購読を止めているとうことなのだろう。

 さらに、出版市場全体の落ち込みも、もう慣れっこになっているので驚きはないが、トータルで見ると、「これは本当に危ない」のではと思う。なぜなら、1〜9月計が前年比で4.8%と高いからだ。2014年は消費税による落ち込みが顕著だった年である。それなのに、そこからさらに4.8%も落ち込んでいる。

 

 そこで、2014年度の年間販売金額の16064億円に、この4.8%のマイナスを当てはめると、今年2015年度は771億円の減となり、15300億円前後になる。そして、この先もこのような落ち込みが続いていくとすると、東京オリンピックがある2020年には、1兆円を割り込んでしまう可能性がある。1997年から市場が縮小し始めて1兆円を失うのに18年かかった。しかし、あとたった5年でまた5000億円が失われる計算になる。

 本当にこうなるかどうかは、もちろん、わからない。落ち込みがどこかで減速、あるいは止まる可能性もないとは言えない。しかし、その可能性は、「デジタル社会の進展」+「人口減社会」「高齢社会」を考えたら、ありえない。

 とくに週刊誌は「死」が近づいている。2桁マイナスを続けているのだから、これが止まらなければそういう日は確実に訪れる。高齢層は、老いによって購読を止め、若年層、中年層はスマホによって紙媒体そのものから離れているので、これを元に戻すことはできない。

 

 こうした傾向に、書店の減少が拍車をかける。すでに、中小書店の経営は成り立たなくなり、「脱書店」化が進んでいる。書店は書店ではなく、文化雑貨店になろうとしている。また、コンビニの書棚も減っている。

 つまり、どうせ「死」を迎えるのが自明なら、そのジャーナリズムをどのように継続させていくか(デジタル化だけでいいのか?)を考え、それを早急にやる必要があるだろう。

 現在、出版界を歩くと、誰もが紙出版がこの先も存続できるか確信を持てなくなっているのを強く感じる。この先、中小出版社の経営は確実に行き詰まる。すでに、倒産した社も数多い。

 となると、出版、とくに雑誌のジャーナリズムをどう継続させていくか、その責務は漫画(コミック)と不動産などの出版外収入を持つ大手にのしかかってくる。大手がここから撤退してしまえば、ジャーナリズムを担ったことがないウエブメディアやポータルサイトがその責務を担うことになるが、そんなことができるどうか疑問だ。

 週刊誌や月刊誌がなくなった後の世界を、私たちは想像してみなければならない。もちろん、同じ紙媒体としての新聞も同じだ。現在のウエブメディアだけでは、発表情報以外の裏情報、調査情報、スキャンダルなどは得られない。

 この先、必要とされるメディアとはなにか? その収益方法まで含めて、アイデアを絞り出さなければ生き残れない。