[259]日銀は「支離滅裂」FRBは「ヤルヤル詐欺」、それでも資本主義は終わらない 印刷
2016年 9月 23日(金曜日) 05:32

注目されていた日銀の政策決定会合と、FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)が終わった。ひと言で言うと、日銀は「支離滅裂」で、FRBは「ヤルヤル詐欺」だ。

 まず、日銀だが、結局、総括するというのは見せかけで、いままで通り「緩和」続行となった。2%の物価目標も続行である。しかし、そのために10年物国債金利がゼロ%になるようにもっと買い入れるというのだから、よくわからない。金利ゼロ、マイナス金利を続けて、どうして物価が2%も上昇するのだろうか? 説明してほしい。 まったく「支離滅裂」だ。

  次にFRB。こちらは、利上げがないことは、大方が予想していた。で、その通り見送った。しかし、毎回「利上げをするかもしれない」とし、これまで何度見送っただろうか? これでは「ヤルヤル詐欺」としか思えない。ドルは基軸通貨なのだから、ちゃんと金利を付けなければ、世界経済は回らない。

 

■資本主義の終焉を唱えるバカ人間たち

 

 メディアには、専門家と称する人々の予想が溢れている。エコノミスト、アナリストと言われる人から経済学者、投資家まで、やれ、経済はどうなる、相場はどうなると、やっている。もっともかっこよく見えるのは「資本主義は行き詰まっている」と資本主義の終焉を唱える人間たちだ。

 新自由主義がどうのこうの、アベノミクスはまだ途上、日本国は破綻しない、デフレ脱却は難しいなど、みな勝手なことを言いまくっている。

 しかし、確かなのは、世界経済は成長エンジンを失っていて低成長に陥っていること。そのなかで、日本経済は衰退を続けていて、この先も復活などないことだ。

 最近は、毎年9月になると、2001年の9.11テロ後の暴落と、2008年のリーマンショク後の暴落のことをよく思い出す。9.11のときNYダウは8000ドルまで下げ、同じくリーマン後も8000ドルまで下げた。しかし、その後は市場最高値を更新している。

 カネを刷れば、見せかけで株価は上げられるのだ。

 

■世界中が集まってカネを刷る相談を

 

 アメリカのFRBは、緩和を縮小した。しかし、欧州ECBと日銀はまだ続けている。ようするに、21世紀は、中央銀行がカネを刷りまくる時代になった。

 そして、潰れそうな金融機関、大会社は政府が税金で助ける。世界中でこれをやってきた。

 これがいまの資本主義なのだから、どうして終焉してしまうのか、教えて欲しい。こういう資本主義は終わるわけがない。税金をつぎ込むのだから、終わりようがないだろう。

 世界では、G7とかG20とか、あるいは中央銀行・蔵相会議などをやっているが、すべてがどうカネを刷って、なんとかしようという相談だ。

 だから、真剣な経済対策など出てこない。

 

■ヒトは幸せになるためにカネを使う

 

 ただ、この先も同じことが続くどうかはわからない。こんな資本主義が続くと、すべてが麻痺し出す。だから、エコノミストたちは毎回、「市場はさらなる緩和を求めている」と言い続ける。いったい、彼らが言う市場とはなにか?教えてほしい。

 経済、景気が上向くのは、需要が増えて供給が追いつかなるときだ。需要とは消費だ。人は単にモノが欲しいのではなく、幸せになるために消費する。つまり、カネを使う。 

 それなのに、政府はカネをばらまいて買いたくもないモノを買わせようとする。政府は余計なことをすべきではない。これでは、景気はよくならないばかりか、さらに落ち込むだろう。政府が経済に介入すればするほど、おかしくなる。

 

■なぜ誰も社会主義を「止めろ」と言わないのか

 

 それにしても、日本の市場は本当に異次元になってしまった。通貨発行量は増え続け、それが日銀にブタ積みされている。日銀をはじめGPIFなどの公的資金(クジラ)が、株を買って株価を支え、日銀の大量ETF買いで日本の有力企業は事実上、国営企業になってしまった。

 もともと日本は社会主義国家なのだから驚くに当たらないが、この状況を誰も、「おかしいから止めろ」とは言わない。この状況で、株価予想や為替予想がなにか意義があるだろうか?

 クジラが買えば上がるのだ。ただ、クジラの資金がなくなることもある。

 

■世界に石油もカネも有り余っている

 

 そう言えば、商品相場は下げている。石油も下がっている。当たり前だ、需要に比べて供給があり余っている。カザフスタンやナイジェリアがどんどん生産している。石油価格の下落の影響をもろに受けて、ベネズエラはとうとう国家崩壊してしまった。

 そう言えば、9月の初めの日経新聞に、米エネルギー市場調査会社ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチの社長、マイケル・リンチ氏のインタビュー記事が載っていた。この記事で、リンチ氏は「原油生産は頭打ちになる」と言い、これまでの「ピークオイル論」は無効だと言っていた。

 石油は有り余っている。そして、カネも刷すぎて有り余っている。この状況はまだまだ続くだろう。これが、いまのリアルな世界だ。