[059] 英語も経済もITもわからない、そんなリーダーはいらない! |
2010年 6月 29日(火曜日) 21:10 |
今夜はサッカーW杯の日本―パラグアイ戦とあって、大きくは報道されていないが、日本の将来にとって深刻なニュースがある。それは、カナダで開催されたG8、G20を終えた菅首相の「総括会見」。ここで、管首相は、次々と言い間違えをしたというニュースだ。
人がいちばん好きな言葉は自分の名前だから、間違えてはいけない
外国人と付き合うとき、いちばん大事なのは、まずはその人の名前を正確に覚えることだ。そして、それを発音できるかどうか常に気にする。なぜなら、名前はどんな人間にとってもいちばん大切な自分そのものであり、それを言い間違えられたら、気分を害するからだ。発音まで気にするのは、名前はその人の親が付けたものであり、子どもの頃、親からそう呼ばれて嬉しかったからだ。
ジェニファー・ロペスをジェニロペ(本当はジェーロー)と略してみたり、中国首相・胡錦濤はフージンタオなのに「コキントウ」と漢字の日本語発音で通してしまう。管首相の今回の発言は、日本記者団に対してだから救われるが、もし、目の前に本人がいたら大変なことになる。人名はともかくとしても、「エマージング・カントリー」を「エマージェンシー・カンパニー」といいうのはひどい。これで英語がまったくダメであるということのほかに、国際感覚、経済感覚もまったくないないということがわかってしまった。こんな首相では、日本は持たない。
なぜ日本だけ例外的に「財政再建しなくていい」のか?
ここ2、3年が日本にとっての正念場で、ここで失敗すると奈落の底に沈む、とものをわかっている層は考えている。とくに富裕層はそうだ。それは、前回のこの欄に書いたとおりだ。 以上2点が本当にやりきれなくなるニュースだが、日本の一般感覚ではそうでないようだ。どうやら、一般国民は「おカネなど多少なくとも、心が豊かならいい」「豊かさより格差が少ないほうがいい」と考えているようだ。そして、世界の動き、IT情報革命の動きなどを見て見ぬふりをしている。 じっくりと世界を見れば、中国の成長は言うまでもなく、経済は最悪期を脱して企業業績も回復してきた。日本企業もその恩恵にあずかっているが、世界企業と比べたら業績回復はヒトケタもフタケタも違う。アメリカのIT産業やサムスンなどが数千億円という回復を見せているのに、日本企業は数十億円、数百億円単位だ。
経済再生提言に欠けている「クラウドコンピューティング」時代の視点 この5月に読売新聞が発表した「緊急提言 経済再生」という小冊子を、改めて読んでみた。 <日本経済は今、衰退の縁に立たされている。一部に景気の回復傾向は出てきたものの、深刻さを増す「10年デフレ」に克服のメドは立っていない。経済は低成長にあえぎ、財政は破綻の瀬戸際にある。一刻も早く鳩山内閣は財源なきバラマキ政策を改め、成長を促す政策に転換しなければ日本は危機から脱することはできない。法人税実効税率の20%台への引き下げを目指すとともに、新たな通商戦略を策定するなど、読売新聞社は経済再生に向けた5項目の緊急提言をまとめた。> とあるように、ここには相当な危機感がある。しかし、一般国民は、ここまでの危機感はないようだ。
読売新聞社が提言する「経済再生」の小冊子と、デイリーヨミウリの同じく別刷り英文論文 この読売の提言は、かなり現実を直視していて、それなりに説得力がある。しかし、成長戦略で一つだけ、大きく欠けている部分がある。それは、現代がコンピューティングが全産業を動かす情報時代という視点で、それにどう取り組んでいけばいいかほとんど触れていないことだ。 日本には、クラウド時代に、すべての情報を一元化できる巨大なインフラが必要で、それに積極投資しなければ、情報化時代の国家は成り立たなくなる。中国がグーグルと決裂したのは、そうした時代への生き残りを賭けてである。
管首相はもしかしたらIT分野でも無知なのではなかろうか?
中国も韓国も母国語と英語とのバイリンガル国家になろうとしているいま、日本の次世代だけが母国語のモノリンガルでは、就職などない。
いまや日本の若者ですら日本企業には就職できない
今年は、大学生の就職難が深刻化し、超氷河期になっている。この時期、街でリクルートスーツに身を包み、会社回りをしている大学生を見かけると、胸がきゅんとなる。というのは、私の娘もつい3年前、同じように就活し、「どこか私を採用してくれる会社があるかな」と、毎日、不安でいっぱいの生活をしていたからだ。いまや就活のマニュアルは全面的に書き換えられるべきだ。 パナソニックの場合、2010年度新卒採用1250人のうち海外で外国人を採用する「グローバル採用枠」は750人。2011年度は外国人の割合を増やし、新卒採用1390人のうち、「グローバル採用枠」をなんと1100人にする。残る290人についても、日本人だけを採るわけではないという。 こんな状態だから、日本の大学生は、外国企業(外資)となるともっとハードルが高い。外資といっても欧米企業ではなく、たとえば韓国のサムソン、インドのインフォシスなどでもとても無理だ。サムスンはTOIECで900点以上が要求されるし、英語ができなければインフォシスなど相手にもされない。
外資企業にも見捨てられ、日本企業も出ていくという現実
この欄の前の記事でも書いたが、いま、日本は本当に空洞化しようとしている。日本企業はこの先、どんどん国を出ていく。経済産業省の調査によると、日本の製造業283社のうち、生産機能の海外移転を検討している企業は90社にのぼり、「移転しない」とした84社を上回っている。さらに、研究・開発機能でさえ38社が検討中と答えている。
英語も経済もITもわからない、そんなリーダーはいらない 参議院選を前にして、民主党の政策がバラバラの中身のないものだとバレてきた。管首相の消費税発言は党内合意に基ずくものではないこと。小沢前幹事長が、「マニュフェストをいまさら変えるのはけしからん」と発言したことなどが、報道されている。
『FREE』by Chris Anderson 今夜のW杯は、日本を全力で応援するが、菅直人ジャパンだけは応援どころか、一刻も早く消えてほしい。英語も経済もITもわからない、そんなリーダーはいらない。私は、いま新しく挑戦する「電子書籍とソーシャルメディア」ビジネスのために、クリス・アンダーソンの「フリー」を、娘から借りて必死で読んでいる。そして、つくづくIT世界と英語に遅れてしまったことを後悔している。IT関係の英語(テクニカルターム)の概念がわからず、読みながらPCで検索をくりかえしている。バイリンガルの娘はこの本を2、3日で読んだが、私は悪戦苦闘している。 |