[060]ついに『The Times」が有料化、どの記事も課金の壁で読めなくなった! 印刷
2010年 7月 06日(火曜日) 01:58

ラパード・マードック氏率いるニューズ傘下の英新聞「The Times」と「The Sunday Times」のサイトの有料化がスタートした。ネットではニュースはタダという常識に、かねてからマードック氏は反発、傘下の新聞で課金を実施するとしていたが、ついに本格的にスタートさせた。両紙とも、アクセスしてもトップページ(ホームページ)に掲載されている主要記事の見出しと前文しか読めなくなってしまった。

 試しにThe Times The Sunday Times にアクセスしてみてほしい。記事を読もうと、クリックすると、以下のようなポップアップ画面が出てくるだけだ。

        

 どの記事も課金画面が出てきて、ほかのニュースサイトでは無料が常識のブログ記事も同じ。すでに「ウォールストリート・ジャーナル」(WSJ.com)は課金に移行しているが、それでもビジネスにかかわる記事以外の一般記事やブログは無料で閲覧できる。さらに、有料の記事もGoogleの検索エンジンを経由すれば、無料で読める。これは裏技で、なぜか黙認されてきた。

 ところが、今回の「The Times」と「The Sunday Times」は、Googleの検索エンジンから記事に飛んでも、この課金のページが出てくるだけ。ものすごく厳しい課金の壁を構築したと言っていい。ちななみに私は、あまりこのサイトにアクセスしないからまったく関係ないが、これでは閲覧者はガタッと減るのではないだろうか。

 最近は、メディア関係者に会うたびに、課金モデルのことが話題になる。とくに日経新聞がこの4月からウェブ版を完全有料化してからは、「有料化は成功するのか?」と業界の注目が集まるようになった。日経「電子版」は、朝刊と夕刊の最終版に加え、独自のニュースや解説記 事を配信し、携帯電話でも閲覧可能としたが、月額4000円と値段はかなり高い。それでも、サイト開設1か月で有料の登録会員は6万人を突破しているというから、いずれ軌道に乗る可能性がある。

 アメリカではことごとく失敗している有料化だが、日本では日経と同じく有料化に踏み切る新聞社が多い。たとえば、北日本新聞は、この1月に有料版を立ち上げている。こちらは月額2100円。また、ウェブサイトではないが、デイリースポーツは、紙面を画像データに変換し、パソコンで読めるように有料で提供。産経新聞も「iPad」向けの朝刊最終版を月額1500円としてきた。

 このような試みがどうなるか、いまはまったくわからないが、少なくともあと半年後にはある程度の結果が出るだろう。もし、課金モデルが成り立たないとしたら、マスメディアの崩壊は止まらなくなる。