[102] 既存メディアはソーシャルアプリ化するしかないのか?『WSJ 』紙がFacebookアプリを公開 |
2011年 9月 24日(土曜日) 01:48 |
ソーシャルネットワークがますます力をつけているアメリカでは、既存の紙メディアもSNSに進出せざるを得なくなってきたようだ。このほど、『ウォールストリートジャーナル』(WSJ:Wall Street Journal)は、Facebook向けのアプリ「WSJ Social」のβ版を公開した。これにより、「WSJ」の最新記事はFacebook内で購読できるようになった。 いまやソーシャルメディアと言えばFacebookだから、WSJもその影響力を無視できなかったのだろう。しかも、先ごろウェブメディア「Poynter.」が報じたところによると、アメリカのネットユーザーは新聞社サイトのようなニュースサイトをほとんど見ていないのだ。これでは、もっともユーザーがいるSNSで自社コンテンツを発信するしかないと思うのも当然だ。
以下が、その「Poynter.」の調査結果だが、これによると、アメリカではインターネットユーザーは、インターネット利用時間の22.5%を、ソーシャルネットワークやブログ(Social networks & blogs)で過ごしている。これは、新聞サイトのようなサイトを含むCurrent events & global newsの利用時間2.6%のほぼ10倍だ。 となると、このままなにも手を打たないと、新聞社のような既存の紙メディアのニュースサイトはますますユーザー離れが進むのは間違いない。 Activity Percent of Internet time spent on it Other (including porn) 35.1% Social networks & blogs 22.5% Online games 9.8% Email 7.6% Portals 4.5% Videos/movies 4.4% Search 4.0% Instant messaging 3.3% Software manufacturer 3.2% Classifieds/auctions 2.9% Current events & global news 2.6% 今年の7月、Facebookはニュースのプラットフォーム「Facebook Edition」を始めると予告していた。だから、今回のWSJの「WSJ Social」のアプリ化はこれに参加したということになる。しかし、『New York Times』は、「Facebook Edition」に参加するとペイウォールが(課金の壁)が築けないとして、参加を見送っている。 WSJのFacebookアプリの大きな特徴は、表示するコンテンツを“キュレーション”してもらうEditor(編集者)を選べることにある。アプリを開くと、左欄に「Editors」 の表示スペースがあり、ユーザーは「View All Editors」で選んだ「Editor」をここに追加できる。このEditorには、WSJの個人編集者のほか、外部のFacebookユーザーも登録されているので、ユーザーは自分に必要なニュースをパーソナライズ(個人化)できる。 アメリカでは、最近、大手のメディアサイトがパーソナライズド・ニュース・アグリゲーター(ソーシャル・コンテンツ・アグリゲーター)を次々に取りこんでいる。これは、ユーザーが登録しているRSSフィードやTwitter、Facebookなどの利用履歴を参考にして、そのユーザーにパーソナライズしたコンテンツをアグリゲートして提供するサービスだ。 「Flipboard」がその代表だが、つい最近、CNNは、ソーシャ ル・コンテンツ・アグリゲーション・サービスの「Zite」を買収した。また、『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)は「News.me」で、『ワシントン・ポスト』は「Trove」で、このソーシャル・コンテンツ・アグリゲーション・サービスに、すでに着手している。
SNSが進展していくなかで、このようなアメリカの動きを見ていると、紙メディアで長年やってきた身としては、あまりに目まぐるしくて眩暈を覚える。とてもついていけないと、正直、実感する。 日本はまだそこまで行っていないが、電子書籍の普及といい、スマートフォンの発展といい、PCからタブレット機への移行といい、この世界の変革のスピードは、本当に速すぎる。 |