[NEWS] 拙著『円が消滅する日The Doomsday』(日本文芸社)、3月20日発売! 印刷
2012年 3月 14日(水曜日) 04:49

昨年の秋に出した『資産フライト』(文春新書)の背景には、日本の財政が破綻に向かっていることがある。ギリシャのような国債デフォルトによる国家破産が起こることへのリスクヘッジとして、富裕層から一般層までが、資産を国外に移しているのだ。

 そこで、では、本当に国家破産は起こるのだろうか? 起こるとしたらどのように起こるのか? その後日本はどうなるのか? というテーマを、突っ込んで書いたのが、この本だ。

  

 Amazon.co.jp 円が消滅する日 (日文新書): 山田 順(定価840円)

 私の考えでは、もうこの時点で日本は財政破綻していて、なにをしようと無駄なところまで来ている。だから、円という通貨はいずれ大きく減価するというのが、この本で言いたいことだ。この本は3月20日に発売される。

 

 国が借金を返すには、3つの方法しかないが、増税は最悪の選択

 

  本来なら、日本国はいますぐ財政破綻宣言をして、破綻処理(企業で言えば倒産して清算し、再建プロセス)に入ったほうがいい。そのほうが、国民にとってはずっと痛みが小さくてすむ。ところが、民主党政府と財務省は、この破綻を先送りしようと増税を目論んでいる。

  国が借金を返すには、3つの方法しかない。1)増税して債務返済に充てる。2)国債(借金)を棒引きするか、踏み倒す。3)紙幣を刷ってインフレを起こし、貨幣価値を無くして、債務を圧縮する。

  となると、このうち、1)の増税が最悪の選択だ。なぜなら、財政破綻は先送りされ、今後も国の借金生活が続くだけ続き、国民の暮らしはどんどん貧しくなっていくだけだからだ。しかも、増税は、一般層から底辺層までを直撃する。

 

 これ以上続かない年金や健康保険制度を維持してどうなる?

 

 つまり、財政破綻するなら、早いのに越したことはない。資産をたいして持っていない一般層や、資産をなにも持っていない底辺層は失うものがほとんどないからだ。破綻していったんリセットしたほうが、やり直せる。借金という重荷が取れて楽になり、日本は再生するだろう。

  これ以上続かない年金や健康保険制度を維持し、その上で増税を受け入れても国民にとっていいことはなにもないに、なぜ、増税をするかしないか議論しているのかまったく不思議だ。大マスコミも「増税はやもうえない」などと言っているから、さらに不思議だ。そのうえ、「財政破綻はない」「日本は復活する」と言っている人々は、もっと不思議だ。この状況をわかってそう主張しているなら、彼らは国民を地獄まで連れて行くことになる。

 

武士国家が倒れたように官僚支配国家が倒れるだけの話

 

  国家破産というのは、単にいまの官僚支配国家という体制が崩壊するということだけだ。もちろん、これまでの制度も崩壊する。徳川幕府が借金がかさんで倒れ、武士がリストラされ、新しい明治政府ができた。これと同じようなことだと思えばいい。だから、考えによってはどうってことはない。

  公務員400万人のうち、おそそらく半分ぐらいが失業し、その分政府の債務は減る。官僚支配の体制が崩れ、新政府ができる。そのプロセスで、いまの円が価値を失い、インフレになる。生活レベルは落ち、混乱は続く。しかし、新政府ができて2、3年もすれば、日本はリセットされて再生していくはずだ。

 だから、国家破産は早く来てもらったほうがいい。いまのままだと、毎日、希望もなく、しかも怯えながら生きなければならないので、本当に体に悪い。そうは思いませんか?

  以下は、本書の「目次」。

 

円が消滅する日The Doomsday

 ドゥームズデイはいつ来るのか?

 

第1章:ジャパンリスク

ジャパンプレミアムが復活する可能性 20

リセット願望と子供を日本で生まない女性 22

主要国の株価のなかで日本は一人負け 25

買い手は国家、上場企業も個人投資家も去る 30

経済指標のほぼすべてが下降した国 32

貿易収支の赤字で問われる日本モデル 36

日本のピークは1980年代、すべては過去の栄華 39

ゴールドマン・サックスが日本国債暴落を指摘 42

市場は国家予算の茶番を見抜いている 47

ダボス会議での間抜けスピーチと増税のお約束 49

「明けない夜はない」というのはウソである 51

 

第2章:増税でも破綻確実

朝日新聞が一面トップで国家破産を警告 54

重税は反乱を招くという歴史の教訓 58

当初は年金を安定化させるための増税案 61

もともと引き上げ税率は10%ではなかった 63

消費税だけではない、増税メニュー目白押し 64

消費税率のアップは確実に弱い者イジメ 67

取りやすいサラリーマン層を狙い撃ち 69

源泉徴収制度という名の「思考停止」制度 72

運用金利4・1%でないと維持できない年金 74

ネズミ講とまったく同じ詐欺システム 76

官僚たち自身も無理だと気づいている 78

世界のマネーの流れを無視した日本の税制 81

所得税に見る富裕層課税の嘘のカラクリ 83

大震災で先送りされた法人税の引き下げ 86

 

第3章:ドゥームズデイ

ドーマーの定理さえ実現できない国 90

財務副大臣自らが「その日は近い」と発言 94

名目利子率を上回るGDP成長率の達成 97

いまさら聞けない国債と国家破産 98

国債発行はそもそもが法に違反する 101

でっちあげ、根拠なしの60年償還ルール 104

「財政破綻する」「いやしない」論争の不毛 106

最後は貨幣を際限なく発行するしかない 108

国民は政府債務と心中するしか道がないのか? 110

31年ぶりに貿易赤字国に転落という衝撃 113

日本は外から借金するしかなくなる 115

「経常赤字転落2015年」「早ければ2年後」 117

経常赤字が見えてくると国債金利がじわじわと上昇 120

それでは誰が日本国債を持っているのか? 121

国債引き受けは「借金を返さない」宣言と同じ 125

「永久国債」という奥の手で債務消滅 128

現代の「徳政令」で債務帳消しは可能か? 130

 

第4章:IMFの占領政策

財政が破綻したら日本もIMF管理になるのか? 134

欧米主導の再建政策はワンパターン 136

「ハーバード・レポート」というハードランディング案 140

「アッシャー・レポート」は第2の戦後復興計画 144

日本が迫られている構造改革を列記 147

IMFの管理が書かれた「ネバダ・レポート」 150

 

第5章:国家破産の教訓

《国家破産の教訓①:ギリシャ》 156

《国家破産の教訓②:アルゼンチン》 163

《国家破産の教訓③:韓国》 173

《国家破産の教訓④:ロシア》 178

 

第6章:国債vs.ヘッジファンド

ヘッジファンドは「悪」なのか? 188

専門家、プロの予測はなぜ外れるのか? 190

悪いのは無制限に債務を積み上げた政府 192

「日本国債を売り崩す」というヘッジファンド 197

財務省理財局はいまや「国債防衛局」 199

財務省と日本の金融機関は運命共同体 203

暴落を見込んだ「X-day プロジェクト」 205

個人向け国債が安全というのは本当か? 208

ヘッジファンドvs.財務省理財局 210

安住発言で思い出すソロスのポンド売り崩し 212

為替は常に変動するのがいい状態 214

投資とは退屈なものと知るべし 217

パッシブ投資とアクティブ投資 219

産業資本より金融資本のほうが強い 222

 

第7章:円は紙くず、ドルは不滅

財政破綻を前にして貯金に励むのは無駄 226

なぜ貯金をしてはいけないのか? 228

お金とはドルのこと。日本円はお金ではない 231

通貨が不安定な国では資産はドルで持つ 233

アメリカは凋落するのか? ドルは暴落するのか? 236

投資家はドルの崩壊など望んでいない 238

アメリカには貿易赤字は存在しない 240

ニクソンショックという帝国の横暴 243

アメリカの意図がわからなかった日本 246

ニクソンショックの教訓とはなにか? 248

「アメリカの51番目の州」ならシアワセ 251

日本脱出がもっとも簡単なリスクヘッジ 253

家族と暮らしを守るための資産フライト 255