クリスマス前の有馬記念だから クリスマスカラー「グリーン」で勝負 今年の有馬記念は、オルフェーヴルの引退レース。そのせいか、有力馬はことごとこく回避し、最後まで残っていたキズナも出走を取りやめて放牧に行ってしまった。残ったG1馬は、前走のジャパンカップで15着惨敗のゴールドシップ、エイシンフラッシュ、それにトーセンジョーダンだけ。 これでは、「どうか有終の美を飾ってください」と言っているのと同じだ。 しかも、オルフェーヴルの池江寿厩舎は、オルフェーヴルを含めて5頭出しだ。トーセンジョーダン、トゥザグローリー、ダノンバラード、ラブリーデイが、オルフェーヴルを負かしにいくだろうか? いくとしたら、外国人騎手ルメールが乗るトゥザグローリーだけだろう。 というわけで、今年は黙って見ているのがいちばん。終わったら、勝ったオルフェーヴルに、「お疲れさん」と労をねぎらって言い、静かに1年間の競馬の幕を閉じるべきだ。 「終わりよければすべてよし」「1年の総決算」などという言葉に騙されて、ふだんより馬券を買い過ぎてしまうのは、競馬サークルの思うつぼだ。 と言いつつ、気にかかることがある。 それは、有馬記念史上、最大の番狂わせ、大穴を出したダイユウサクが、先日死んだことだ。ダイユウサクが勝ったあの年は、大変動の年だった。 バブルが崩壊し、湾岸戦争が勃発し、雲仙普賢岳が噴火して火砕流で犠牲者が出た。証券金融不祥事が続発し、南アではアパルトヘイトが撤廃され、ソ連はついに崩壊した。そうして迎えた年の瀬だった。 じつは、この年の夏、うちの娘は初めてハワイのサマースクールに行き、ハワイがすっかり気にいって、暮れも家族で行こうとになった。年末年始のハワイは、航空券やコンドの予約がなかなか取れない。それで、早めに行くことにしたら、出発が12月21日の土曜日になった。 有馬記念は翌日である。当然、自分では馬券を買えない。それで、仕事仲間であり競馬仲間である川端光明氏に、馬券を頼むことになった。 「なにを買っていおけばいいの?」 「1−2(枠)の1点」 「1点だけ?」 「どう見てもメジロマックインーンは鉄板で、相手はナイスネイチャしかないでしょう」 「そうだろうね」 ということで、私は川端氏に相当な勝負額を渡して、ハワイに行った。 結果を知ったのは、翌日のハワイの日本語新聞「日刊サン」。当時はネットなんてないし、日系テレビのニュースも見逃していた。無料スタンドで新聞を取り、「有馬で大穴!ダイユウサクが勝利」の見出しに、超確信1点勝負がはずれたことを知り、目眩がした。新聞はくしゃくしゃにして、カピオラニビーチの入り口のゴミ箱に投げ捨てた。 武豊のメジロマックインーンは、あの年、天皇賞秋を降着、ジャパンカップは4着に終わっていたが、メンバーから見れば間違いなく勝てる。ナイスネイチャは4歳馬(現3歳)だが、菊花賞4着の後、直前の鳴尾記念で古馬を一蹴していた。ほかは、ヤマニングローバル、プレクラスニー、カリブソング、メジロライアンなどが有力視されたが、相手はナイスネイチャしかいないと思っていた。 ダイユウサクは直前のオープン、それもマイルを勝っただけだったから、15頭立ての14番人気。それが、内らち沿いをするすると抜け、脅威の末脚でマックイーンを差し切った。単勝は137.9倍もついた。 ハワイに向かう飛行機のなかで、競馬新聞を何度も読み返したので、いまでも枠順、馬番まで覚えている。1枠1番がメジロマックイーン(武豊)、2枠5番がナイスネイチャ(松永昌)、ダイユウサク(熊沢)は5枠8番だった。2枠3番にヤマニングローバル(河内)、4枠6番にプレクラスニー(江田)、カリブソング(柴田政)とメジロライアン(横山典)は14番、15番でともに8枠に入っていた。 私の馬券の買い方が変わったのは、たぶん、この有馬記念のあとからだと思う。それまでは、検討に検討を重ね、確信が持てる馬券を買っていた。オッズがどうであろうと、人気があろうとなかろうと、自分なりに予想して納得がいく馬券を買っていた。 しかし、そういうことがだんだんバカバカしくなっていった。そうして、いまのような買い方になったのは、1995年の阪神大震災以後だ。あの年の有馬記念をマヤノトップガンが勝って以後、私は競馬をデータに基づいて予想するのをやめた。 今年の有馬記念もあの1991年の有馬記念と同じように、オルフェーヴルが断然の人気になる。メジロマックイーンの単勝1.7倍を上回るのは間違いないだろう。どう考えても、メジロマックイーンより固い本命馬だ。 しかし、当然だが、オルフェ−ヴルは1ミリも買わない。オルフェ−ヴルを買って、それで有馬記念の馬券を取って、「終わりよければすべてよし」と1年を締めくくれるだろうか? それなら、外れ馬券を買ったほうが、よほど意義がある。 買うのはヴェルデグリーン。クリスマス前の有馬記念なので、クリスマスカラーのグリーンに的を絞る。ヴェルデもイタリア語でグリーンだから、この馬はグリーングリーンだ。 クリスマスカラーと言えば、白と赤も必要。そこで、ヴェルデグリーンが入った枠(6枠=緑に入るのが最高)から、1枠(白)、3枠(赤)を厚目の、枠連総流し。 続いてヴェルデグリーンから馬連総流し。厚目はカラー馬券で、ムーア騎手が乗るゴールドシップが最有力。グリーン—ゴールドの組み合わせだ。続いて、外国人騎手が乗るデムーロのエイシンフラッシュ、ルメールのトゥザグローリー。この2頭がもっとも恐い。 さて、ダイユウサクが勝った有馬記念は12月22日だった。クリスマス前、こんなに早い有馬記念は珍しかった。今年も有馬記念は12月22日である。 《朝日杯回顧》キンキンテレビ「スマート競馬」コメント うーん、ベルカントはやはり撃沈しましたね。勝ったアジアエキスプレスですが、これは強い。この世代の最強馬の出現です。じつは、この馬を買おうかと思ったのですが、ボクの場合、買うとなると相手は当然テイエムキュウコーになる。エキスプレスならキュウコーに決まっているからです。しかし、キュウコーはなんとビリ16着。ホント、競馬はうまくできています。 というわけで、オルフェーヴルが来ない、絶叫の有馬まであと1週間です。
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