G1予想[124]第74回皐月賞(2014年4月20日) 印刷
2014年 4月 16日(水曜日) 18:15
皐月賞は「カリブ馬券」

イスラボニータとワンアンドオンリーの1点

 

  桜花賞はやはりハープスターだった。本当に、強烈に強かった。この件は、ヤフーニュース「個人」欄(このあとに掲載)に書いたので、さっそく、皐月賞予想に入る。

 といっても、いまもっとも注目されるレースは、STAP細胞レースだ。今日(416日)、理研の笹井芳樹副センター長が記者会見したので、ほぼ、主なメンバーの見解、コメントが出そろった。

 そこで、出そろった主なメンバーを整理すると、次のようになる。

 STAP発見リケジョ小保方晴子さん(理研ユニットリーダー)、論文指導した笹井芳樹氏(理研副センター長)、専門的助言をした丹羽仁史氏(理研プロジェクトリーダー)、マウス作製の実験を担当した若山照彦氏(山梨大教授、前理研チームリーダー)、恩師チャールズ・バカンティ教授(ハーバード大学)。

 皐月賞の出走メンバーに匹敵する豪華メンバー、しかも、大混戦ではないだろうか。こうなると、結果がどうなるかは、まったくわからない。

 とりあえず、言えるのは、論文を真っ黒にしてしまった責任問題は置いておいて、STAP細胞が本当にあるのか?ないのか?に関しては、今後、このメンバーの誰がやったところで信用できない。一度、疑惑の色が着いてしまった以上、やはり「第3者」が検証、結論を出すしかない。

 

 ということで、やっと、「第3者」という話になった。最近、本当になにかあると「第3者による調査員会」などというものができる。ともかく、「第3者」に投げてしまう。そういうことが多くなった。

 よって、皐月賞は「第3枠」に注目するしかない。馬番(3)も要注意だ。

 

 と、ここまで書いてきましたが、じつは買う馬券は、すでに決まっているのです。今回の皐月賞は、「カリブ馬券」で勝負です。「カリブ馬券」とはなんでしょうか?

 それは、イスラボニータとワンアンドオンリーの1点を買って、来たら、この世の天国カリブ海に行き、休日をタップリ楽しむという馬券です。

 イスラボニータはマドンナのヒット曲。スペイン語ですが、その意味は「美しい島」。実際には、カリブ海のサンペドロ島がこの曲の舞台です。

 で、カリブ海といえば、誰もが憧れる高級リゾートが「One&Only」。ここに泊って、青い空、青い海に囲まれて過ごせたら、すべての悩みは消えてなくなるでしょう

 カリブ海のリゾート地、バハマのナッソーには、「ワンアンドオンリー、オーシャンクラブ」があります。バハマはカリブ海の島のなかでも、美しい島、まさにイスラボニータの一つです。

 さあ、イスラボニータとワンアンドオンリーの1点を買ってカリブ海に旅立ちましょう。こんな機会は二度と来ませんよ。

  

桜花賞ハープスターは日本の宝。

凱旋門賞になんか行く必要なし!

 

 競馬界にスターが誕生すると、すぐに凱旋門賞と煽る日本のメディア。もういい加減に、このような単純思考、欧州至上主義から抜け出すべきではないのか? 冷静に考えてハープスターが凱旋門賞に出る意味はない。

 

■スター誕生に湧くだけのメディア

 

 桜花賞をハープスターが強烈な末脚で勝った。予想通り、この世代最強馬だ。このあざやかな追い込み勝ちに、ファンは酔いしれ、メディアも湧いた。そして、これまた予想通り、おバカな話が始まった。

「さあ次は2冠目を取って、秋は凱旋門賞だ」「これなら凱旋門賞に勝てるでしょう」

 本当に、日本のメディアは、スターが誕生すると、ただ煽ることしか能がない。

 

 まず、桜花賞の勝ちタイムをよく見てほしい。1600メートル1333である。では、土曜日に行われたオーストラリアのマイルG1ドンカスターマイルの勝ちタイムは? 13959である。もちろん重馬場だが、それにしても違いすぎる。日本からの遠征馬ハナズゴールは奇才・丸田恭介騎手の手綱で最後方から猛然と追い込んだが、届かず6着。それでもなんと14頭を抜いた。

 

■日本の野芝と欧州の野芝の違い

 

 桜花賞が行われた阪神競馬場とドンカスターマイルが行われたランドウックス競馬場の違いとはなんだろうか? それは、レーストラックの違い、とくに芝の違いである。阪神競馬場は、日本独特の「野芝+洋芝」のオーバーシード法によるトラックだが、ランドウックス競馬場は欧州の競馬場と同じ洋芝のトラックである。

 

 日本の競馬場の芝はほとんどが阪神と同じ、「野芝+洋芝」である。これが、世界に類を見ない日本独特のスピードレースを成立させている。ところが、欧州の競馬場はみな洋芝である。洋芝ではスピードが減殺される。したがって、欧州競馬はスピードより力比べになる。

 つまり、洋芝に適応力のある馬でなければ、欧州に連れていく意味はない。まして、勝つ可能性は限りなく低くなる。

 

JRAが開発した日本独特の芝コース

 

 野芝は、日本古来のものである。日本という温暖な風土でいちばん繁殖する芝だ。野芝は暖かくなる5月ごろから成長を開始し、8月の一番暑い時期に最盛期を迎える。そして、秋が深まると枯れ始め、11月を過ぎると完全に冬枯れの状態になる。これは、欧州の洋芝が寒さに強く、ほぼ一年中青さを保っているのとはまったく違う。昔は暮れの中山は、ほとんど芝がはがれて土がむき出しになっていた。

 

   そこで、JRAでは1981年の第1回ジャパンカップ以後、欧州の競馬場を手本にして、寒冷に強い洋芝を導入した。洋芝は最適の気温が1624℃で、低温にはめっぽう強く、23℃あたりまで耐える。この特性を活かし、洋芝を野芝と混合させることで編み出された技術が「ウィンターオーバーシード法(WOS)」だ。このオーバーシード法では、高温多湿に適応した野芝をベースに寒冷に適した洋芝の種をまいて育成するので、翌年の春まで青々とした芝を保持できる。洋芝には、ケンタッキー・ブルーグラス、イタリアン・ライグラス・トールフェスク、ペレニアル・ライグラスなどの種類がある。

 現在、日本の各競馬場では、この洋芝は次のように使い分けている。

 

  札幌:洋芝100%(ケンタッキー・ブルーグラス、トールフェスク、ペレニアル・ライグラス)

  函館:洋芝100%(ケンタッキー・ブルーグラス、トールフェスク)

  福島:野芝+洋芝(イタリアン・ライグラス)

  東京:野芝+洋芝(トールフェスク、イタリアン・ライグラス)

  中山:野芝+洋芝(イタリアン・ライグラス)

  新潟:野芝100

  中京:野芝+洋芝(イタリアン・ライグラス)

  京都:野芝+洋芝(イタリアン・ライグラス)

  阪神:野芝+洋芝(イタリアン・ライグラス)

  小倉:野芝+洋芝(アニュアル・ライグラス・フェアウェイ)

 

■なぜ、ディープインパクトは通用しなかったのか?

 

 ハープスターは桜花賞を含めて、これまで5戦し、いずれのレースでも最速の上がりタイムを記録している。彼女が走った競馬場は順に、中京、新潟、阪神、阪神、阪神である。このうち野芝100%の新潟で、最後方から18頭をごぼう抜きするという強烈な末脚を発揮した。つまり、ハープスターは野芝の天才ガールである。

 

 これまで凱旋門賞において、多くの日本馬は負けるべくして負けている。これは、こうした日本独特の芝を走ると、洋芝にはすぐに適応できないからだ。そう考えると、エルコンドルパサーやオルフェーヴルは偉大な馬だった。

 凱旋門賞でいちばん期待された日本馬はディープインパクトである。しかし、ディープインパクトは、武豊騎手がいつも感じていた「飛ぶ感覚」を発揮できなかった。ハープスターはディープインパクトの産駒である。

 

 芝の違いばかりではない。欧州の競馬場はコースの形態も日本とは大きく違う。日本の競馬場がほぼ平坦なのに比べ、欧州の競馬場は起伏に富んでいる。 

 とくに凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場の2400メートルコースは、スタートして400mまではほぼ平坦。そこから300m7mを上る上り坂、さらに残り1400m地点(3コーナー)までに3m上る。頂上までの高低差は約10mもある。日本で最も高低差がある中山競馬場ですら約4mだから、この差は大きい。

 

■中東マネーで運営される斜陽G1

 

  そもそも、競馬のように、その国の気候風土、文化によってかなり違うものを、一体として捉えるのはおかしい。世界最強馬を選ぶなら、すべての条件を一緒にしなければフェアではない。

 とすると、レースは一種のイベント、フェアとして楽しむ、そういう精神が必要だ。ところが、メディアはそういうことを無視して、欧州を「競馬の本場」と崇拝し、「世界の頂点を目指せ」などと煽る。

 日本競馬のいいところは、庶民文化そのものである点で、貴族文化の流れを汲む欧州とは大きく違っている。

 

 それに、凱旋門賞はいまや斜陽G1だ。フランスは経済低迷により、まずカルティエがスポンサーから降りた。そして、1999年からはカジノを経営するルシアンバリエール社がスポンサーになったが、いまではカタールがスポンサーだ。中東マネーがなければ、世界一の賞金を払えないのだ。

 

 こんな状況なのに、ハープスターが凱旋門賞に挑戦する意味があるのだろうか? スピード馬に力を要求しすぎると、故障する可能性もある。ハープスターはジェンティルドンナに次ぐ、日本競馬界の宝だ。どうか、関係者はもっと日本競馬にプライドを持ち、欧州至上主義を捨ててほしい。