G1予想[135]凱旋門賞(2014年10月5日) 印刷
2014年 9月 29日(月曜日) 00:26

イファンホーヴェ(英語読みアイヴァンホー)で勝負

 

 秋のG1初戦スプリンターズSより、凱旋門賞のほうが、盛り上がっているようです。なにしろ、今年は、日本勢は3頭が出走。ジャスタウェイ、ゴールドシップ、ハープスターとも有力視されているからです。

 というわけで、この予想をやってみます。

 で、まず、現状がどうなっているかですが、次のようになっています。

 

 これまで本命視されてきた44勝無敗でキングジョージを制し英国史上最強牝馬とされたタグルーダが、前哨戦でよもやの敗戦。また、英国ダービー・愛国ダービーを連勝したオーストラリアも前哨戦でザグレイギャッツビーに敗戦して回避。そのザグレイギャッツビーも回避。さらに、独ダービーをぶっちぎった怪物シーザムーンも回避して引退。そして、昨年の凱旋門賞馬トレヴもヴェルメイユ賞で敗戦。つまり、これで確たる馬がいなくなり、日本勢も十分勝機があるという情勢になっているわけです。

 

 そのため、グリーンチャンネルはもちろん、地上波ではフジテレビも中継を決定、その他ニコニコ生放送などでもネット中継予定し、競馬マスコミも大挙して現地入りしています。

 つまり、すでにお祭り騒ぎが始まっているわけで、これで日本勢が3頭とも消えたら、いったいどうなるか?

 結局、そのときは、全員、茫然自失するんでしょうね。

 さて、では、現時点でのオッズを確認。

 

タグルーダ(Taghrooda) 6.50

アヴェニールサーテン(Avenir Certain) 7.00

エクトット(Ectot) 7.00

ジャスタウェイ(Just A Way) 8.00

ハープスター(Harp Star) 8.00

トレヴ(Treve) 11.0

フリーイーグル(Free Eagle) 11.0

ゴールドシップ(Gold Ship) 11.0

キングストンヒル(Kingston Hill)13.0

イファンホーヴェ(Ivanhowe)15.0

ルーラーオブザワールド(Ruler Of The World)15.0

タペストリー(Tapestry)21.0 *回避濃厚

バルティックバロネス(Baltic Baroness)21.0

シャムカラ(Shamkala)26.0

フリントシェアー(Flintshire)26.0

プリンスジブラルタル(Prince Gibraltar)34.0

チキータ(Chicquita) 34.0

スピリットジム(Spiritjim) 34.0

ドルニヤ(Dolniya)34.0

ギャランテ(Gallante)34.0

 

 このオッズが示しているのは、混戦、つまりなにが来てもいいということ。となると、なにが来てもいいなら、日本馬3頭とも来てもいいわけで、メディアから一般競馬ファン、そして一般競馬ファンでない人たちまで、「がんばれニッポン」コールになるわけです。

 しかし、「がんばれニッポン」という言葉ほど、むなしい言葉はありません。最近の日本人は、ともかく日本が勝てば、アジア大会だろうと、全米オープンテニスだろうと、なんでもかんでも日本を応援しまくっています。

 それに影響されて本来の競馬ファン(一般競馬ファンとは一線を画す)も、じつは競馬なんてどうでもよくなり、ただ日本馬が勝つことを願うことになるわけです。

 しかし、お金を賭けるギャンブルに、こんな単なる愛国心を持ち出すことほど、愚かなことはありません。

 

 だいたい、馬自身は、世界には国境があって、いろいろな国があることさえ知らないのです。ホームかアウェイすらわからない。自分が日本調教馬であることすら知らないのに、なんで「がんばれニッポン」なのでしょうか?

 日本調教馬だけに、ロンシャンと日本の競馬場の違いぐらいわかるでしょうが、それは走り始めて、おや、ここの芝生、なんかいつもと違って、脚を取られるな、とわかるぐらいの話です。

 したがって、同じ日本人として、馬主、調教師、騎手などの日本人チームを応援するのは当たり前ですが、日本調教馬を馬券で応援する意味はありません。もっともまともな凱旋門賞の予想は、圧倒的に有利なホームの馬から買う馬を選ぶことです。

 とすると、ホーム馬でしかも無敗のアヴェニールサーテンとエクトットとなるのですが、どちらも3歳とはいえ人気になりすぎです。今年はいつも以上に、3歳馬が多いのが気になります。フリーイーグル、キングストンヒル、タグルーダ、日本のハープスターと、3歳の斤量が有利としても、出てきすぎではないでしょうか?

 

 というわけで、3歳馬は全部捨て、昨年の英ダービー馬ルーラーオブザワールド、そしてバーデン大賞でシーザムーンを差し切ったドイツ4の歳馬イファンホーヴェ(英語読みアイヴァンホー)の2頭が浮かびます。

 で、どちらかなれば、私はアイヴァンホーを買います。最近のドイツ調教馬は日本と同じようにレベルが上がっています。アイヴァンホーからルーラーオブザワールドを厚めに、3歳馬以外の全部に流すこともやってみます。

 

 さて、日本のスポーツメディアには、すでに凱旋門賞の記事があふれています。しかし、そういう記事のほとんどが日本馬の動向に関するもの。

 で、そんな記事ばかり読んでいると、ほんと、アホになってしまいます。と思っていたら、そんななかで画期的記事がありました。『スポニチ』(925日付け)の「ロンシャン芝の真相 草丈は日本より短かった!」という記事です。 

 で、以下、引用します。

 

《凱旋門賞の舞台となるロンシャン競馬場の芝は、よく「深い」と表現される。日本(JRA)の競馬場と比べ、単純に芝の草丈が長いと思っている読者も多いはずだが、実はそうではない。昨秋のロンシャンの草丈は約9センチ。一方、現在開催が行われている新潟は約1214センチ。目に見えている芝の“長さ”だけを比較すれば、新潟の方が「深い」ことになる。

 なぜ「深い」と感じるのか――。

 理由は目に見えない部分にある。芝は地面に「地下茎」と呼ばれる茎を張り巡らせて生育する。日本の競馬場で主に使用されている野芝は地下茎が太く、がっちりした網目を形成している。一方、ロンシャンはペレニアルライグラスという種類の洋芝。野芝とは対照的で、糸くずのような地下茎が土が見えないほど密集して草を支えている。極端に例えれば、野芝の地下茎はテニスやバレーボールに使うような目の粗いネットがピンと張り詰められた状態。洋芝は細かい目の網を丸めて、いくつも敷き詰めたような状態と言える。

 このため野芝は、馬の蹄が着地するとはね返すような性質がある。日本に遠征してきた外国馬の陣営が「日本の芝は硬い」と口をそろえる要因だ。一方の洋芝は着地した蹄が沈み込むような感触。その状態から引き抜く際に、細かい地下茎が蹄に絡み付く。実際に現地の芝を視察したJRA馬場土木課の東良剛氏は「この絡み付く感じが、ロンシャンの芝の最大の特徴」と話す。》

 

 つまり、日本の野芝に慣れた馬は、本当に怪物級でないと、ロンシャンでは通用しないのです。エルコンドルパサーは、半年前に現地入りして前哨戦を走らせています。オルフェーヴルも前哨戦を使いました。しかし、今回の3頭は、ぶっつけ本番です。とくに、いちばん強いはずのジャスタウェイは休養開け。ゴールドシップとハープスターは前哨戦が札幌記念。ここは洋芝といえ、このスポニチ記事にあるように地下茎の張り巡らせ方が日本式で、ロンシャンとは違うのです。

 だから、本当に記事を真面目に書くなら「3頭とも不安いっぱい」と書くべきです。「今回はいける」と、毎回やってきたお祭り報道で、「がんばれニッポン」と叫ぶおバカたちを、煽るのは、いい加減にしてほしいものです。

 というわけで、日本馬3頭が消えたら、この予想は的中する可能性が高まります。ただ、レース後のメディアのお通夜報道だけは見たくないので、いまからどうしようか悩んでいます。