G1予想[148]桜花賞(2015年4月12日) 印刷
2015年 4月 10日(金曜日) 14:25
ルージュバックから馬単で5頭に流す

   たまには“まとも”に考えてみようと、競馬新聞を買って喫茶店に入ってみた。コーヒーを頼み、タバコを取り出して火をつける。そうして、買ったばかりの競馬新聞を広げる。若いときは、ここから“至福の時間”が始まった。毎週、毎週、週末にこうした時間がくるのを楽しみに、1週間を過ごした。

 競馬は競馬場で馬券を買って観戦しているときは、じつは本当は楽しくない。まして、馬券で負ければ、もっと楽しくない。本当に楽しいのは、予想をしているときだ。

 

 さて、今年の桜花賞は、前走、牡馬相手のきさらぎ賞を圧勝した「男勝り」のルージュバックで断然の声が強い。3戦無敗で文句なしの戦績だから、1番人気になるだろう。

 「男勝り」で思い出すのが、1975年の桜花賞馬テスコガビーだ。テスコガビーは桜花賞馬というより、史上最強の牝馬だった。ルージュバックと同じように、牡馬相手の京成杯で朝日杯3S2着馬イシノマサル(のちの菊花賞馬)を下して優勝し、桜花賞前は東京4歳ステークスでカブラヤオー(皐月賞、ダービーの2冠馬)のクビ差2着となった。

 もちろん、桜花賞は断然の1番人気となった。

 

 当時は、馬券は枠連。テスコガビー(菅原泰夫)は単枠指定で3枠に入った。「3から買えば必ず当たる。考えなくていいから楽だ。オレは総流しにしておくよ。2着に人気薄がくれば儲かるからさ」という、友人の結論が気にいらず、私は、相手を絞ることにした。

「そんな、運頼みにする買い方なんかするなら、競馬なんかやる意味ないだろう」と、私は彼に毒づいた。

 友人と別れ、一人で喫茶店に入った。競馬新聞を隅から隅まで読んだ。テスコガビーの2着馬探しに2時間は費やした。そうして、2番人気5枠トウフクサカエ(福永洋一)を切り、3番人気8枠サウンドカグラ(武邦彦)で勝負することを決めた。馬券は3-8。この1点に絞った。

 

 レースは、当日、友人とテレビで見た。テスコガビーは逃げ馬ではないが、他馬とはスピードが違うのですぐに先頭にたち、楽々と逃げた。4コーナーで後続を離すと、直線では後続との差が開く一方。カメラはテスコガビーを映しているだけなので、後続馬は画面から切れてしまった。

 杉本清アナの実況は「後ろからはなんにも来ない、後ろからはなんにも来ない、後ろからはなんにも来ない」の連呼で、なにが来ているのかわからなかった。

 レース後、2着にはジョーケンプトンが入ったことがわかった。ジョーケンプトンは8番人気の抽選馬。着差は「大差」と表示され、なんと時計は1.9秒差。馬券は2-3810円だった。

「ほうら、人気薄が来たじゃないか。でも810円じゃあな。7000円買って1100しか儲かんない」と、友人は言った。

 私はといえば、3-81万円入れて、パーである。

「なに言っているんだよ。ソンしなかっただけよかっただろ」

 それだけ言うのが精一杯だった。

 

 それからは、1点勝負をやめた。3点買いを基本とし、ときには総流しもした。もちろん、それ以外にも、あらゆる方法を試みて馬券を買った。しかし、儲かったことはほとんどない。

 その後、テスコガビーはオークスも“ぶっちぎり”で勝った。しかし、秋は故障して休養に入り。翌年、復帰戦となった平場のオープンで負けてまた故障した。そこで引退という案も出たが、馬主の意向で、再度、復帰に向けて調整を続けたが、19771月、調教中に心臓麻痺で死んだ。

 

 喫茶店に入り、“まとも”に予想したので、ルージュバックが本命だ。ただし、相手はまったくわからない。3連勝馬がまだ2頭いるが、本当に強いのかわからない。それ以外の有力馬も甲乙つけがたい。

 それで、やはり、好みで選ぶことにした。ムーンエクスプレスは夢があっていい。月急行に乗ってみたいものだ。ノットフォーマルは、カジュアルでいいわけなので、これも落とせない。アンドリエッテはノーベル賞の生みの親ノーベルの母親の名前だというから、ダイナマイト級か。キャットコインは、「猫に小判」を連想させる。テンダリーヴォイスは天国の声(母の声)なので、これも聞きたいものだ。

 というわけで、この5頭に馬単で流す。