G1予想[020]第34回エリザベス女王杯(11月15日) 印刷

11月13日記

 

新月の前の闇夜の日に、ニシノブルームーンを買う


 今週から、暮れの有馬記念まで7週連続でG1レースが行われる。G1シーズン突入というわけだが、この年になると、競馬に熱中していた若い頃に感じたワクワク感はない。それよりも、このように、庶民のお金を毎週少しずつ巻き上げるシステムをつくった人々に、敬意すら感じる。

 

 日本の競馬システムというのは、一般庶民から広く浅く、そして気づかれずにお金を巻き上げるシステムとしては、本当によくできている。毎週、週末の土日にレースを開催し、負けた人間を1週間かけて癒しつつまたやる気にさせて、ふたたび参加させる。そして、ダービーや天皇賞、有馬記念などというビッグなG1レースは、みな給料日後の月末に設定されている。

 毎週少しずつ巻き上げ、最後にドーンとカモる。とくに有馬記念では、「1年の総決算」などという雰囲気を演出して、さらにカモる。このくり返しは、慣らされると、本当にマヒしてしまい、逆にこのサイクルのなかにいないと不安になってくる。

 

 日本の競馬は、サラリーマンが支えている。だから、サラリーマンの懐具合と、JRAの売り上げは見事に比例している。

 今年、JRAから発表された2008年の年間売上高は対前年比0.3%減の2兆7502億99万400円。これは、1997年の約4兆円をピークに年々減少、11年連続で前年を下回っている。また、今年上半期売上は、1兆2455億4349万 7400円で前年比94.4%だから、通年でも前年を下回るのは確実だ。つまり12年連続ダウンである。

 

 では、サラリーマンの給料のほうはどうだろうか?

 国税庁の「民間給与実態調査」(2008年)によると、給与所得者の平均年収は、1997年の467万円から2007年の437万円へ30万円も減少している。その後も減少しているのは間違いないから、今年も含めれば12年連続ダウンで、見事にJRAの売上ダウンと比例する。

 さらに、この12年で、サラリーマン(とうか正規社員)の数も減った。非正規労働者の数が増え続け、とうとう、年収200万円以下のワーキングプア層が218万人増え1032万人と、1000万人」を超えてしまった。

 そして、いま、今年のサラリーマンのボーナスが史上最低になるという調査が次々と発表されている。たとえば、10月28日、日本経団連が発表した大手企業の今冬のボーナス妥結状況によると、組合員1人当たりの妥結額(加重平均)は前年実績比15.91%減の74万7282円で、冬のボーナスでは調査を開始した1959年以降最大の減少という。しかし、これは大企業の話で、中小となれば、「ボーナスが出るだけマシ」という大不況である。

 

 ちなみに、いまの民主党政権は官僚政治打破で、公務員改革をやっている(とされている)が、国家公務員の平均年収は約662万円、地方公務員の平均年収は約728万円。これに対して、サラリーマンの平均年収は439万円である。

 また、今年の6月に新生銀行系のノンバンク「新生フィナンシャル」が行ったサラリーマンの小遣い調査によると、毎月の小遣いの平均額は4万5600円と、ダウン中である。

 こんな情勢のなか、G1の7連戦で、サラリーマンの懐からどれだけのお金がJRAに流れるのだろうか? 有馬記念が終わったとき、今年もまた、年末派遣村が出現するのだろうか?

 

 さて、では、ここから 本題の競馬予想に入る。

 このような情勢下で、どのように予想すればいいのかは、非常に難しい。ギャンブルは長くやれば胴元以外は確実に損をするのだから、きれいに楽しく負けなければならない。そのためには、本命買いで負けるのと大穴狙いで負けるのとは、まったく意味が違う。

 誰もが勝った理由を知りたいように、負けた理由も知りたいわけで、納得して負けることこそいちばんの美学だと思う。

 とくに、牝馬のG1であるエリザベス女王杯なら、なおさらだろう。

 

     

 

 今年のエリザベス女王杯の主役は、やはりブエナビスタだ。3着降着という秋華賞と同じ京都コースでも、今度は外回りで、さらに200メートルの距離延長がある。しかし、2400メートルのオークスで勝っているのだから、問題はない。また、叩き3戦目は好材料。仕上がり状態もいい。エ女王杯は3歳馬が3連勝中ということ、今年の3歳世代はレベルが高いというデータも、ブエナビスタに味方する。

 というわけで、ブエナビスタはほぼ勝つはずなので、買うと的中してしまう。そこで、出走馬を見渡して、美しく負けるために指名したいのが、ニシノブルームーンだ。

 月は、東の空から上り、西の空に行くのは夜半である。したがって、ニシノブルームーンは、朝の月である。そして、ブルームーン(Blue Moon)とは、普通、満月のことを言う。

 

 Wikipediaによると、《月の満ち欠けは、平均約29.5日を周期として繰り返される。月の長さは2月を除けば30日か31日で、月の初めに満月になると、その月の終わりに再び満月が巡ってくる。1980年以降、このようにひと月のうちに満月が2回あるとき、この2回の満月を「ブルームーン」と呼ぶようになった。 「ブルームーン」は、断定は出来ないものの、3年ないし5年に1度の周期で起こる。満月になった瞬間、さらに見える地域に限定されるので、それぞれの場所、国によって「ブルームーン」だったり、そうでなかったりする。》

 では、エリザベス女王杯が行われる11月15日は、どんな月が見られるのだろうか?

  以下が、2009年11月の「月カレンダー」(yahooより)だ。

       

 なんと、15日は、17日の「新月」前で、ほぼ、月は見えない。真っ暗な夜と言っていい。もちろん、ブルームーンなどどこにもない。こうなると、この馬が激走する要素はほぼないはずだ。

 すなわち、ニシノブルームーンこそ買いだ。そして、今回は、美しく負けるために、ニシノの単勝と、ニシノからブエナビスタとブロードストリートの馬単、馬連だけにしぼってみたい。