G1予想[028]第40回高松宮記念(3月28日) 印刷
2010年3月24日記

馬連でサンカルロから総流しすることに決定

 

 今回の高松宮記念には、「エイシン」「エーシン」の冠号馬3頭が出走する。「エイ」「エー」と表記は使い分けているが、同じこと。「エイシン」は昔から馬主として有名な(株)栄進堂会長の平井豊光氏の馬であり、「エーシン」は(株)栄進堂という名義になっているが、こちらは豊光氏の子息で、(株)栄進堂社長の平井宏承氏の馬である。

 おそらく、レース当日は、エイシンファミリー総出で愛馬を応援するに違いない。

 エイシンファミリー3頭のなかで、もっとも人気を集め、勝ち馬候補の1頭として有力視されているのが、エーシンフォワード。トライアルの阪急杯を差し切って絶好調と言っていいから、おそらく2番人気になるだろう。

 では、1番人気の最有力馬はといえば、これはキンシャサノキセキで間違いない。重賞3連勝中で調教も抜群、調子もいいのは明らかだからだ。

 となると、この2頭のどちらかを軸にして買うか、2頭とも買ってしまうかない。常識的な馬券予想では、必ずこうなる。そうして的中すれば、メデタシメデタシだ。

    なぜ、散髪なのか?なぜ、こんなキャッチコピーなのか?

 でも、それが本当にめでたいだろうか? もう何十年も競馬に付き合って、毎回「うん、やはりこの馬しかない」などと、新聞記事やデータを見て結論し、ほぼ人気どおりの馬券を買い続けて的中したとして、それがめでたいのだろうか?

 そんなことは、専門家から素人まで馬券プレーヤーなら、みんなやっていることだ。私も15~16年ぐらい前までやっていた。もちろん、穴馬探しもしたが、どうしてもそれが見つからないときは、「これしかない」と人気馬で絶好調と言われる馬を買った。

 しかし、それで的中してもぜんぜんめでたくない。超確信で、そこに10万円以上の単位で入れて的中したときだけは、たとえ配当が2倍でもうれしかったが、いまはそんなことをする気も起らない。

 

 なぜ、こんなふうになったかと言えば、それは、長年、競馬の世界を見てきて、競馬予想には情報格差がないことを知ったからだ。経済の世界には、「効率的市場仮説」(Efficient Market Hypothesis)というセオリーがある。これは、市場にある情報がすべてのプレー ヤーに行き届いているかぎり、市場では自動的に価格が形成されるということ。

 たとえば、株式の場合、効率的な市場では、相場形成に影響を与える情報はまたたく間に市場参加者(プ レーヤー)に行き渡り、株価は新しく登場した情報を瞬時に反映して変動する。

 つまり、こういう市場では、特定のプレーヤーがほかのプレーヤーを出し抜いて、持続的に儲けることはできないように なっているのだ。なぜなら、どのプレーヤーもほかのプレーヤーを出し抜くような情報を持っていないからである。

 株価を競馬の世界に置き換えれば、オッズである。オッズは、あらゆる情報をもとにして絶えず変動する。しかし、その情報というのは、誰もがこうであろうとした予想である。競馬予想の世界でも、誰もほかのプレーヤーを出し抜くような情報を持っていないからだ。

 投資の世界にプロがいないのと同じように、競馬予想の世界にもいない。まして、競馬はギャンブルであるから、持続的に勝つということは不可能だ。ところが、「G1全レース的中を目指す」などという予想家がいる。救いがたい方々である。こういう方々が、じつはいちばん負ける。

 

 さて、今回買うのは、サンカルロにした。多分、近走の着順からいって人気になるが、これまで1200メートルを1回も走っていないという点で買い目がある。

 相手はどうでもいいのだが、いくら「効率的市場仮説」のようなゴタクを述べても、やはり少しでも当てたい気持ちは抑えられないので、エーシンフォワード、キンシャサノキセキは買う。あと、エーシンのほかの2頭も……なんて思いだしたので、やはり、馬連でサンカルロから総流しにすることに決めた。