G1予想[064]第72回菊花賞(2011年10月23日) 印刷
2011年 10月 19日(水曜日) 01:36

オルフェーヴルの3冠は鉄板。

しかし、買うのはフェイトフルウォーとユニバーサルバンク

 

 ミスターシービーが菊花賞を勝って3冠馬になったとき、まさか翌年も3冠馬が誕生するとは思わなかった。しかも、シンボリルドルフは、シービーと違って、はじめから3冠馬になるために生まれてきたような馬で、まったく危なげなく菊花賞を勝った。ミスターシービー、シンボリルドルフ、そしてカツラギエースなどが活躍した1980年代の半ばが、いま思えば、競馬にもっとも熱中し、もっとも興奮した時代だった。

 それから、もう20年以上、四半世紀が経過した。この間、ナリタブライン、ディープインパクトと2頭の3冠馬が誕生し、今回オルフェーヴルが3冠馬になれば、私はこの目で5頭目の3冠馬を見ることになる。

 その日はもうすぐ。どこから見てもオルフェーヴルの3冠は鉄板に思える。むしろ、来そうもないのはウインバリアシオンだろう。

 

  思えば、競馬予想で鉄板馬を探したのも、ミスターシービー、シンボリルドルフの時代だ。あの頃、なにかと言えば「鉄板、鉄板」と口走っていた。そうして、どこから見ても鉄板なのに、その馬を外して無理やり穴狙いをする競馬仲間を、私は半ば軽蔑していた。しかし、やがて私は、鉄板馬を買わなくなった。というより、鉄板だと信じることが、虚しくなった。競馬も人生も、そういうものではないと思うようになった。

 

  『ギャロップ』の表紙もオルフェーヴルで「いざ3冠へ!」

 

  というわけで、ここ1カ月、世界を揺るがしている「ウォールストリートを占拠せよ」(OCCUPY WALL STREET)デモを考える。最近、日本のメディアはこれを「反格差デモ」と呼ぶようになった。私が、1%と99%、このどちらに属するかは明白だ。ほとんどの競馬ファンも99%に属するだろう。とすると、99%の人々はなにを買うのだろうか?

 間違いなくオルフェーヴル、鉄板馬だろう。なにしろ、損をしたくない。リスクを取りたくないというのが、多くの人間の心理だ。100人の人間がいたら99人はリスクを取りたがらない。しかし、成功するのはリスクを取る1%の人間だ。99%に属しながら、99%堅い馬を買うなら、それは一生99%の側に自分を置くということにつながる。

 

 フェイトフルウォーユニバーサルバンクは、1%の可能性もない馬だ。しかも、それを買う理由は、ウォールストリートからの連想で、フェイトフルウォー(ウォール街のウォー)、ユニバーサルバンク(銀行のバンク)にある。こんなんで買うのだから、フツーの人間なら「どうかしている」と思うだろう。しかし、これが買えるようになると、競馬は全然違うゲームになる。

 フェイトフルウォーとユニバーサルバンクの単・複、この2頭の馬連の計5点。

 とはいえ、どこから見てもオルフェーヴルの3冠は鉄板だ。