12/08/08●小学館が全社員に「Kobo Touch」を配布。創業90年記念として 印刷

小学館は創業90年を迎える8月8日、楽天が販売中の電子書籍端末「コボタッチ」を全役員と全社員計777人に配布した。朝日新聞記事によると、「紙の本を中心にした発想にとらわれがちな社員たちに、デジタル時代に適した新しい出版の形を考えるよう意識改革を促す」ためとなっている。

  昨年、講談社がソニーの電子書籍端末「リーダー」を全社員に配布したときは、「在庫を引き受けた」と評判は最悪だったが、今回はおおむね歓迎する声が強いようだ。

  「コボタッチ」は、発売直後から不具合が続き、ユーザーの評判は最悪。期待されたタイトル数も前宣伝より少なく、「10万台出荷した」と三木谷社長は強気だが、どうやらあまり売れていないようだ。

  ただ、この楽天の挑戦で、日本の電子書籍市場がやっと動き出しそうな雰囲気だから、創業90年記念品としては最適だったといえる。

 小学館では、今秋以降に『新編日本古典文学全集』(88巻)など本格的な古典・教養の本の電子版を刊行することを決めている。また、『日本民俗文化大系』(15巻)なども電子化していくという。そんななかで注目されるのは、新進作家に電子書籍のためだけに妖怪などをテーマにした小説を書き下ろしてもらう「九十九神曼荼羅(つくもがみまんだら)シリーズ」。これは1点105円で、月5点ずつ刊行される。