12/09/06 ●電子書籍エージェンシー契約の独禁法違反で、米出版大手3社が和解金支払い 印刷

9月6日までの「ニューヨークタイムズ」などの報道によると、アメリカの出版大手3社は、電子書籍の価格操作で独禁法違反(アンチトラスト法違反)を認め、司法省と和解、6900万ドルの和解金を支払うことで合意したという。

 コネティカット州の州検事総長の発表によると、ハシェット(Hachette Book Group)、ハーパーコリンズ(HarperCollins Publishers)、サイモン&シュースター(Simon & Schuster)の3社が連邦政府司法省の告発に応じ、これまで和解条件を交渉してきていた。

  司法省は4月11日に、この3社以外に、マクミラン(Macmillan)とペンギン(Penguin Group)の2社とアップルを、卸売側が価格を設定できる、いわゆる「エージェンシーモデル」を採用したと提訴することを表明していた。 

  今回の和解協定では、裁判所による承認から30日経過した後、損害を被った消費者に対して出版社が払戻金を支払うことになるという。払い戻しを受けられるのは、2010年4月1日から2012年5月21日の間に、これらの出版社から電子書籍を購入した消費者とされる。

 電子書籍の価格操作問題はこれで一部決着したが、残る2社とアップルは、今後裁判で争う構えで、今回の和解には応じていない。アップルは、エージェンシーモデルが採用される以前は、アマゾンが市場を独占したと主張している。

  したがって、エージェンシーモデルが独禁法違反となると、アマゾンの独占が進む可能性が強い。

 ただし、米メディアの見方はアップル側に不利だ。それは、スティーブ・ジョブ氏が、2011年に自身の伝記の著者、ウオルター・アイザックソン氏に自分がエージェンシーモデルを出版社に提案したと明かしているからだという。

 ジョブズ氏はアイザックソン氏に次のように語ったという。

 「われわれは出版社にこう言った。『われわれはエージェンシーモデルに移行する。あなたたちが価格を設定し、われわれがその30%をもらう。もちろん、消費者の払う金額は多少高くなるが、それはあなたたちの望んでいることだろう』 と。そして、彼らはアマゾンを訪れ、『エージェンシー契約を結んでほしい。さもなければ、書籍の提供をやめる』と言ったのだ」