12/09/25●電子コミックの売上初の前年度割れ!その原因はスマホの表現規制強化?  印刷

9月25日、インプレスR&Dが日本の電子コミック市場規模の調査結果を発表した。これによると2011年度の電子コミックの市場規模は前年度から10億円減少の514億円で、2005年以来、初めて前年度を下回る結果となった。この結果は、9月27日発売の『電子コミックビジネス調査報告書2012』にまとめられている。

 日本の電子書籍市場は、これまで右肩上がりに成長してきた。それを支えたのが、電子コミックである。ところが、2011年度の電子コミック市場規模 は514億円と推計され、2010年度の524億円から約10億円の減少となった。

その原因は、「フィーチャーフォンからスマートフォンへのデジタルコンテンツのシフトがスムースに進んでいないこと」にあるとされるが、実際は、スマホではガラケーのように、BLやTLの過激な表現によるエロコンテンツが認可されないことにある。

インプレスR&Dの報告書には、有料電子コミック利用者が購読している電子コミックのジャンル別の調査があるが、それによると、「青年マンガ誌系」が49.3%、「少年漫画誌系」が48.1%で並んで高く、ほかの ジャンルの比率を大きく引き離している。もっと細かく見ると、「アダルト・成人マンガ」(21.2%)「BL」 (11.2%)、「TL」(10.2%)などとなっていて、これだけで全体の約半数に達している。つまり、ここが規制されれば、売上などすぐ落ちる。

今後、本格的なスマホ時代になると、さらに電子コミックの売上が落ちるから、「電子書気市場が拡大する」などと甘い観測をしていると大変なことになる。電子書籍市場を拡大させるのは、アップルがやっているようなコンテンツの検閲制度を止めさせるしかない。グーグル、アマゾンも同じだ。

なぜ、彼らがコンテンツを検閲する権力を持ち得てしまったのだろうか?このことをもっと真剣に考えないと、電子書籍の未来はない。