12/11/08●ブックライブの電子書籍専用端末「Lideo(リディオ)」12月に発売。「Kindle」は500円値下げ 印刷

電子書籍ストア「BookLive!」を運営する凸版印刷グループのブックライブは、11月7日、電子書籍専用端末「Lideo(リディオ)」を12月10日に発売すると発表した。価格は8480円。これは、アマゾンの「Kindle Paperwhite キンドル・ペーパーホワイト」、楽天の「Kobo glo(コボ・グロー)」より500円高い。そのため、発売までに引き下げられる可能性もある。

  「Lideo」の最大の特徴は、毎秒最大40メガビットの通信が可能なWiMAX(ワイマックス)の通信モジュールを 内蔵していること。WiMAXなら、SSIDやパスワードなどの設定が必要なWi-Fiに対して、サービスエリア内なら、なにもせずに「BookLive!」にアクセスできる。これは、漫画をダウンロードするためには、最適の環境のように思える。だから、「Kindle」「Kobo」との差別化を図ったとも思える。なぜなら、「Kindle」も「Kobo」も漫画を読む端末としては優れていないからだ。

 ただし難点もある。「Lideo」の内蔵メモリは4GBと少ない。「Kindle Fire」シリーズや、楽天「kobo glo」(Micro SDカード拡張可能)の32GBに比べると、その差は大きい。また、自炊したPDFを読むこともできない。ということは、 「Lideo」は、まったくのクラウド型の電書籍専用端末ということになる。淡野社長も「ブックライブ のクラウド書庫(My本棚)には無限に本をストックしておける。必要に応じてダウンロードすれば問題ない」と述べている。

 現在の日本の電子書籍市場の約8割が漫画コンテンツである。この読者を取りこまないことには、電子書籍専用端末は売れないはずだ。コミックは、1巻で40MB以上はある。だから、今回の「Lideo」にしても、漫画を気軽にダウンロードできても所有はできない。「Kobo」にしても「Kindle」にしてもそうだが、漫画を読むための最適な端末は、いつになったら登場するのか?

  ブックライブの端末「Lideo」

  ブックライブは当初、リディオを家電量販店では販売せず、国内36店舗を展開する三省堂書店と直販サイトだけで販売するという。端末販売やコンテンツ販売から得られる収益を書店にも分配する仕組みをつくり、リアル書店との「ウイン・ウイン」の関係でいくという。

  いずれにせよ、この「Lideo」の登場で、この年末に、国内における電子書籍専用端末のすべてが出そろうことになった。各端末とも、年末商戦を見据えての販売合戦になる。それを見越してか、アマゾンは急遽、11月7日、当初8480円だった「Kindle Paperwhite」の価格を500円引き下げることを発表した。