13/01/09●日販の年末年始の売上は1.9%増、トーハンは0.9%減。今年もまた同じことの繰り返しか? 印刷

1月8日、日販は「新春を祝う会」を行い、古屋文明社長が恒例の年末年始(昨年12月29日から1月3日の6日)セールスの結果を報告した。それによると、1722店の売上 は、「書籍」が前年比1.9%減、「雑誌」が同6.0%増、合計1.9%増と、最近の年末年始では珍しく好調となった。雑誌では、「コミック」が同16.8%増、「ムック」 が同3.5%増となり、ほかの不調をカバーしたようだ。

 なお、古谷社長は今年の目標として、(1)不稼働在庫40%を20%にする、(2)基本在庫の充足率の向上を図る、(3)送品比率の適正化、の3施策を掲げた。

  一方、トーハンも同日、新春会を行い、藤井武彦社長が恒例の報告をした。それによると、

  POS調査店1571店の動向は昨年12月29日から31日が1.1%増、今年1月1日から3日が3.5%減となり、こちらはトータルで0.9%減となった。藤井社長は、電子書籍の書店販売施策や責任仕入による書店のマージンアップ、外商施策の強化、複合化による収益構造の改善などを挙げ、今後、リアル書店を支援していくことを強調した。

 

  出版不況は1996年から数えて、今年で17年目に入った。それなのに、毎年、取次大手の新春会では、同じ光景が繰り広げられている。今年も同じだ。流通を守り、小売りを守り、そのため、再販制度、委託販売制度を維持していくことは、もう限界なのに、それをやり続けるしか選択肢はないのだろうか? 電子化は進み、メディアの多様化も進んでいる。そのなかで、紙メディアをどうしていくかが最大の課題だが、そういう大きな視点は業界にはない。

  ふつう、資本主義システムのなかで、これほど劣化が進むと、流通を思い切って合理化してしまい、自社だけは生き残ろうとする出版社、取次、小売りが出てくるものだが、不思議なことに、日本ではそういう動きはない。出版界は、業界各社が仲良く手を取り合って、いっしょに縮小し、衰退していこうとしている。これは、集団自殺の道ではないだろうか?