13/01/16●日本新聞協会が、新聞・書籍・雑誌に軽減税率適用を訴える! 印刷

日本新聞協会(会長=秋山耿太郎・朝日新聞社会長)は1月15日、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用するよう求める声明を公表した。この声明は、知識への課税強化は国の力を衰退させかねないことを訴え、欧州の例を引き合いに出して、新聞などの活字媒体には課税しないように求めている。

  軽減税率は、欧州各国の付加価値税(VAT)において、主に生活必需品を対象に設定されている。 食料品を対象とすることが多く、英国やオーストラリアは食料品の税率をゼロにしている。新聞、書籍、雑誌は生活必需品とは言えないが、文化財、公共財という面から、軽減税率を適用している国は多い。新聞の場合、英国、ベルギー、デンマーク、ノルウェーはゼロ、にフランスは2.1%、スペイン、イタリアは4%、ドイツは7%となっている。

 また、1月16日の日経新聞、産経新聞などは、 日本新聞協会が2012年11月に全国の成人男女を調査した結果を書き、軽減税率導入へのサポートをしている。この調査では、消費税引き上げ時に生活必需品などに対する軽減税率を「導入すべきだ」「どちらかという と導入した方がいい」との肯定的な意見が84.0%を占め、このうち、新聞・書籍に対する軽減税率導入に肯定的な意見は75.3%に達したとしている。

 

 産経新聞1月16日付の紙面に掲載された「欧州の新聞課税」マップ

 今回の声明は欧州の例ばかりを出しているが、アメリカでも新聞は非課税にしている州は多い。アメリカにはEUのような多段階仕入れ控除のある付加価値税はないが、小売時点で課税する.売上税(Sales tax)がある。この売上税で新聞に課税しているのはワシントンDCなど7州にすぎない。

 ただし、アメリカでは売上税の過去の増税時には軽減税率導入の要望はほとんど起きていない。それよりも、現在、問題視されているのは、ネット通販による売上税の徴収をどうするかだ。いまや新聞などのプリントメディアは過去メディアで、メディアの主力はネットに移っている。電子新聞、電子書籍などはどうするのか? プリントメディアと同じにするのか?などの検討も必要だ。

 ネットも含めて、メディアが公共財なら、課税をどうするかは、今後の大きな課題。ただ、日本では、今後消費税が増税され、8%、10%なれば、新聞、書籍、雑誌、いままで以上に「売れなくなる」のは間違いない。新聞不況、出版不況はさらに進むだろう。