13/03/16●海外向けに日本漫画を発信する「J.Manga」が事業終了を発表! クールジャパンの完全挫折 印刷

日本の漫画出版社が連携し、凸版印刷の関連会社ビットウェイが2011年8月に設立した「J.Manga.」は、3月14日、コンテンツの販売(3月13日)、閲覧(5月30日)のすべてを停止すると発表した。「J.Manga.」(ジェイマンガ株式会社)は、集英社、小学館、講談社など国内出版社39社からなるデジタルコミック協議会の協賛を受けて、日本の漫画を翻訳し、電子書籍として世界に 発信するサービス。スタート当初は、クールジャパンの担い手として大いに期待されたが、わずか1年半で挫折してしまった。

  「日本の漫画出版社が連携して海外展開を目指す」「出版社各社が参加しやすいポータルサイトの構築を目指す」「海外の違法サイトに対抗し、海外ユーザーが安心して使える公式サイトを目指す」と、かけ声だけは立派だったが、内容がともなわず、ビジネスとしてもまったく成り立たなかった。

 さらに、せっかく日本漫画のファンになった海外ユーザーも裏切ることになってしまった。

  そもそも「JManga」は、実は日本漫画のディープなファンである海賊版ダウンロード・ユーザーを、排除するところから始まった。国内の出版社向けに海賊対策を謳い、DRM付きの電子版を高価格で配信した。これでは、ファンは逃げる。そこで、慌てて価格を下げたが、人気タイトルが少ないのが致命的だった。海外で人気の高いタイトルは、すでに現地の翻訳出版社などにライセンス供与されており、他社の電子漫画配信のビジネスとも競合もした。

  さらに、モバイルへの対応が遅れに遅れた。Android版の提供も非常に遅く、iOS版は存在しなかった。ここに、北米市場、欧州市場での日本漫画の売上が落ちていることも重なった。

 日本の漫画は、日本が誇るべき輸出品であり、クールジャパンを代表する商品だ。これを、こんなかたちで傷つけてしまったことは、本当に残念だ。日本語の文芸、ノンフィクションなどをいくら電子化しても海外では通用しない。しかし、漫画だけは通用する。この失敗から学び、再度日本漫画の電子版をどうやって海外展開するかを考えないと、日本は電子書籍ガラパゴスを続けるだけだろう。