13/10/18●出版大手10社中7社が減収(2012年度売上高)、出版不況継続中 印刷

帝国データバンクが1017日に発表した出版業界の決算調査によると、 大手出版社の2012年度売上高は、10社中7社が減収。 売上高トップは集英社(1261億円)で前期比4.4%減。 以下順に、講談社(2位)、小学館(3位)、角川書店(4位)、日経BP 5位)、宝島社(6位)、東京書籍(8位)が減収で、講談社と小学館、日経BPの減収は2期連続。文藝春秋(7位)、光文社(9位)、ぎょうせい(10位)は増収だった。

 ただし、減収のなか、損益は10社すべてが黒字で、うち9社が2期連続黒字となっている。

  また、書店経営業者(301)の状況を調べたところ、2012年度売上高1位の紀伊國屋書店を含め、売上上位10社中6社が減収。このうち、紀伊國屋書店、フタバ図書、文教堂の3社が2期連続減収となっている。それに対して、売上31位以下では46.5%(126)2期連続減収となり、小規模の書店経営業者ほど売上減に歯止めがかかっていない現状が浮き彫りになった。なお、全体では68.8%(207)が減収だった。

  

  出版科学研究所によると、2013年上半期の推定出版物販売部数は、書籍が36489万冊(前年同期比0.1%)、雑誌が87627万冊(前年同期比6.3%)で、書籍よりも雑誌の落ち込みが激しい。

 このような書籍・雑誌の落ち込み=出版不況に関して、帝国データバンクは、「出版社、出版取次、書店」という出版流通の"川上"から"川下"に至るまで、いずれも減収傾向に歯止めがかかっていない現状があらためて浮き彫りとなるとし、各社ともに、今後の成長が期待される「電子書籍」への対応・展開を進めているが、売り上げへの寄与は限定的なものにとどまっていると指摘。現状ではむしろ、「電子書籍の台頭が紙媒体の一部需要を奪う"負の側面"が大きいようだ」としている。

 この分析は、「まさか!」である。電子書籍が紙書籍を食うという「カニバリズム論」は、すでに否定されている。アメリカでは、そうなっていないし、実際、日本でもそうなっていないからだ。むしろ相乗効果で「紙の売上も伸びる」というのが定説になっている。

 ただし、紙(雑誌・書籍)が、ネットの影響で売れなくなっているのは間違いない。とくにスマホの普及で、そちらに読書時間が奪われている事実がある。