14/03/06●電子出版権を認める著作権法の改正が決着。法案提出へ 印刷
 35日に開かれた文化庁の「文化審議会著作権分科会」で、これまで長い間審議されてきた「電子書籍に対応する出版権の整備」問題が決着した。今後は海賊版防止もあって、出版社に電子出版権が認められる方向だ。これにより文化庁は、国会に著作権法改正案を提出するという。

 電子出版権に関しては、その取扱いに関して、意見が分かれてきた。出版社側は、「紙と電子を一体とした出版権」としての整備を求めたが、著作権者団体や日本経済団体連合などは「紙とは別の電子書籍の出版権」を求めてきたからだ。

 しかし、今回の決着はこのことに大きく踏み込まず、とりあえず別個の権利でもかまわない方向で調整がついた。

 そのため、今週の『週刊新潮 』(2014313日号)は、『文化庁「著作権法」改悪で日本の出版文化が破壊される日』という記事を掲載した。さっそく読んでみたが、明らかに出版社サイドに立った記事だった。つまり、紙の出版権と電子出版権が別個の権利になると、電子出版権を出版社以外の異業種が持つ可能性が高くなる。そうなれば、出版社と作家が協力して本をつくってきたという出版文化は崩壊するというのだ。

 たしかにそのとおりだが、これは契約の仕方で回避できる問題でもある。つまり、出版社は編集者の手助けで作品をつくってきた著者からは、出版権以外に著作権の何割かをもらえばいいのだ。そうでないと、著者のなかには編集者に恩義があっても、電子出版はダイレクトにプラットフォームに持ち込む者が出てくる。

 なにしろ、自分でアマゾンにアップすれば、そのほうが料率がいいからだ。

 著者というのは、売れると必ず思い上がる。この辺は、法律ではどうにもできないところだ。