14/07/22●アマゾンが電子書籍読み放題(月9.99ドル)サービスを開始も、ビッグ5は参加せず 印刷

メディアが先行して報道していたアマゾンの新サービス「キンドル・アンリミテッド」が、18日から開始された。これは、月額9.99ドルでアマゾンの抱える60万冊以上の電子書籍が読み放題となるほか、数千点のオーディオブックにも無制限にアクセスできるというもの。タブレット端末「キンドル」に加え、キンドルのアプリが使える他の端末機器から利用できる。

 すでにデジタルコンテンツの世界では、音楽や映画の会員制定額サービスは当たり前。だから、今回のアマゾンの「キンドル・アンリミテッド」は、電子書籍版の「Netflix」と称された。

 アマゾンは電子書籍の世界ではほぼ寡占状態にあるので、定額で読み放題となると、そのインパクトは大きい。

 しかし、読み放題リストにある作品には、ビッグ5の本が含まれていない。つまり、現在のところ、独立系や専門出版社しか参加していない。これだと、いくら読み放題といっても、すぐには広がらないかもしれない。なぜなら、読み放題というのは、そろえた作品の人気度と数に大きく左右されるからだ。

 ただ、そうはいってもこのサービス(「電子図書館」と言っていい)が進めば、コンテンツ提供側は大きな選択を迫られることになる。

   

 というのは、アンリミテッドに参加するには「Kindle Select」への同意が条件となり、他のストアへの出品を断念しなければならなくなるからだ。その代償としてリターンは販売価格の70%になるが、そのメリットをどう評価するかは難しい判断だ。ミッドリスト・クラスの作家や新進のライターにはかなりの魅力だが、出版社としては魅力に乏しい。その意味で、ビッグ5は参加していないのだろう。

 また、このサービスが日本でできるかどうかは、今後の状況次第だ。