09/02/08●出版不況のなかで携帯コミック市場が急伸 印刷

  出版不況が続くなか、携帯コミック市場だけが伸びている。
 出版科学研究所の調べによると、2008年の出版物の販売額は、前年(2007年)を約3%下回る計2兆円強と落ち込んでいるが、「電子書籍」の販売額は2007年度が前年度のほぼ2倍の355億円に増え、このうち携帯が8割の283億円を占めた。携帯で販売した書籍の8割がマンガで、若い女性がけん引している。
 インプレスR&Dによると携帯サイトの電子書店は2008年6月で574店と、3年間でほぼ10倍に急増。これに、パソコンのサイトを加えると、電子書店は600店を大きく上回る。

「市場拡大には2003年末からのデータ通信の高速大容量化や料金の定額制が貢献した」と、KDDI。
 この流れに、携帯各社と大手出版社も乗り、マンガの一部を無料公開するなどのキャンペーンを展開、市場拡大は続いている。また、携帯電話の画面の大型化も市場拡大に寄与している。
 集英社では400作品以上の電子マンガを携帯で直販するが、その2割がカラー作品。講談社は新人作家などの書き下ろしマンガを電子化して販売、その中で魅力的な作品を単行本に仕立て直して売っている。

 電子書店に圧迫される街の本屋さんも電子書籍に命運を託す。
 都内の約660の書店でつくる東京都書店商業組合は2008年10月、携帯サイトに新たな電子書店「Booker’s(ブッカーズ)」を開いた。「ふだん書店に来ない人たちが活字に触れる機会を提供、本に関心を持って欲しい」と話す。(2009年02月08日「日本経済新聞」記事より要約)