09/09/03●グーグルの和解案から中小出版76社が離脱を宣言 印刷

  「グーグル」による書籍の全文デジタル化問題で、9月2日、中小の出版社から成る出版流通対策協議会(会員99社、高須次郎会長)が東京都内で会見し、76社(うち非会員14社)が、グーグルと米作家らが集団訴訟で合意した和解案を拒否、和解からのオプトアウト(離脱)を宣言することを明らかにした。

 9月2日に開いた会見で、高須次郎会長(緑風出版社長)は、「和解案は日米の著作権法に違反した違法行為で、泥棒、海賊行為だ」と強く批判した。
グーグルの和解案は、アメリカ国内でのサービス提供のみを対象にしているため、国内では特に問題にならないと見られてきたが、日本の中小版元は死活問題と捉えたようだ。グーグルの書籍デジタル化は、じつは、著作者には有利な点もある。

 しかし、自力ではデジタル化できない出版社にとっては、脅威なのは間違いない。 
 「和解案の文中では場所も時間も限定 していないため、和解案に参加してしまえば、日本国内でサービス提供が始まっても文句が言えなくなる。和解参加は日本の出版産業の自殺行為」と、高須次郎会長。続けて、「和解案から離脱することで、グーグルを訴える権利を保持する」とも語った。

 同協議会は、すでにニューヨーク南部地区連邦地裁、米グーグル本社らに、49社の代表者の署名入り文書を送付。グーグルは9月4日をオプトアウト期限としており、意思表示しないと自動的に和解に参加したことになる。

 日本写真著作権協会(田沼武能会長)も、8月27日付で米グーグル本社、同日本法人に対し、「書籍に挿入された写真を著作物と認めないのは遺憾だ」とする声明文を送っている。