09/11/27●毎日新聞が共同通信・加盟社と包括提携。マスメディア再編が加速 印刷
  11月26日、毎日新聞社と共同通信社、共同通信社加盟社の3者は、編集、事業など包括的な業務提携の合意を、記者会見で発表した。この会見には、なんと120名の記者が訪れ、今後起こるとされる「マスメディアの再編」が、いかに関心が高いかを証明した。

  新聞をはじめとするプリント・メディアは、ネットの発展で厳しい経営環境に置かれているので、この提携は「苦し紛れ」という見方もある。しかし、大きなメリットもあるのも事実だ。会見では、全国紙と通信社、地方紙が連携する新しい提携方式の可能性が示された。

 

 会見にのぞんだ朝比奈豊・毎日新聞社長は、「新聞はより深い内容、分析・解説力がこれまで以上に要求される」と指摘し、「官公庁や企業などの発表記事で共同通信を活用することにより、これまで以上に独自に深みのある取材をすることが可能になる」と述べた。また、現時点で十数社の地方紙と、記事提供を受けること で協議が進んでおり、これによって毎日新聞各地域面の充実が図れるとも述べた。

 確かにそのとおりである。

 というのは、日本の新聞はなぜか「自前主義」に陥っており、一般読者から見て同じような紙面をつくっているにもかかわらず、すべて自社で取材・制作をすることをモットーとしてきた。そのため、記者は日々の発表モノに追われ続け、独自の取材がなかなかできない。特オチを恐れるあまり、どんな会見にも顔を出す。そうして他社の記者がそろっていることを確認して、横並びで記事を書くのが習慣化してきた。

 

 ある種の調査によれば、日本の新聞紙面は6割が発表モノだ。とすれば、それに費やす経費と記者の数は、まったくのムダである。しかも、発表モノは、ネットの時代にはすぐにアップロードされるので、新聞記事化してもニュース価値はない。欧米では、新聞社は発表モノには力を入れていない。それは、ワイアーサービス(通信社)の配信記事ですむことなので、その分を調査報道やスクープに力を入れている。

 そういった意味で、今回の毎日と共同の提携は意味がある。これで、毎日の記者は、特オチの呪縛から解放され、調査報道やスクープに力を入れることができる。ただ、それを新聞のような斜陽化した紙メディアでやる時代かどうかは、また別問題であるが……。