10/01/13●アマゾンが怖くて出版社21社が電子書籍開発の新団体を発足 印刷
  このほど、講談社、小学館、新潮社、文芸春秋など主要出版社21社が社団法人「日本電子書籍出版社協会」(仮称)を2月に発足させることになり、その協議会が開かれた。それで、朝日や日経などの大手メディアはこぞって報道した。

  しかし、この協会が、いまの出版界の苦境を打開できる可能性は低い。というのは、そもそも発足の本当の理由が、「電子端末をやらないと時代遅れになる」「アマゾンに市場を独占される」という怖れからだからだ。

  なんとしても新市場をつくり出そう。まったく新しいことをやろう。などという気概は、いまの出版界にはない。あるのは、このような守りの姿勢だけだから、情けなくなる

  今回発足する協会は、2000年 に主要出版社で設立した任意団体「電子文庫パブリ」を発展させたもの。で、そこでなにをやるかというと、まずは、電子出版の規格共通化。続いて著作権団体との交渉。さらに、官公庁との意見交換などだ。

  しかし、出版界で規格統一をしたからといってそれが主流になる決め手はない。また、著作者をどのようなかたちで出版社につなぎ止めていくのかは、個別の企業の問題だ。出版界の本音は一刻も早く電子書籍端末によるデジタル書籍市場の主導権を握りたいということだが、これも、全体でやればうまくいくというものではない。

  「キンドル」のような電子書籍リーダーとして消費者に支持されるデバイスをいかに早くつくれるか、映像や音と組み合わせたデジタル書籍の新しいかたちを本当につくれるのか、などということのほうが、よっぽど重要だ。

   このことに関しては、私の視点ブログ[047]で、もっと詳しく書く。